昔から信じられてきた
ヘミングウェイキャットとは通常よりも指が多い、いわゆる「多指症」の猫のことです。近親交配などが原因で生じる奇形で、猫には割と良く見られます。ただ特別治療が必要なわけではなく、日常生活にも問題ありません。
むしろ器用なので、移動手段として帆船が使われていた時代にはネズミ取りとして重宝されていたそうです。その為、海岸沿いで良く見られます。マストに渡したロープを軽々と歩いたり船にとって大敵であるネズミを取ったりするので「幸運の猫」としてもてはやされていました。
ヘミングウェイも信じていた
ヘミングウェイは友人の船長から「スノーボール」という猫を譲り受けました。その時にもしかしたら幸運の猫というとを聞いたのかもしれませんね。
ヘミングウェイはスノーボールをとても可愛がりました。そして幸運の猫ということも信じていたようです。大切にしていたのでしょう。
今も子孫が住むヘミングウェイホーム
ヘミングウェイが愛したスノーボールの子孫たちは、今もヘミングウェイが晩年を過ごした家、現在のヘミングウェイ博物館(ヘミングウェイホーム)に住んでいます。場所はアメリカ・フロリダです。
その数実に50匹以上。そのうちの約半数がヘミングウェイキャット、いわゆる多指症の猫です。猫たちはとても大切にされています。一部の猫を除いて不妊手術を受け、数が増えすぎないように管理もされています。
多指症の猫は実は日本では残念ながらほとんど見かけません。アメリカ北東部やグレートブリテン島で多く見られます。
その代わりと言っては何ですが日本には海外ではあまり見かけない、鍵しっぽの猫がたくさんいます。国によって猫にもそれぞれ特徴があり、興味深いです。
1.メインクーン
ヘミングウェイが愛した猫、スノーボールはメインクーンだったのではないかといわれています。この猫種は多指症が良く見られることで知られています。
なぜ多指症が多いのかは未だはっきりとはしていませんが、「Pd」遺伝子の不完全優性遺伝という説が有力だそうです。一時は骨の形成不全ではと疑われたこともあったようですが、遺伝的な疾患との関連は証明されていません。
たとえ多指症であったとしても日常生活には特に問題がなく、何か治療が必要というわけではありません。ただ爪とぎがしづらい面があるので肉球に伸びた爪が食い込んでしまうことがあるようです。飼い主さんがきちんとカットしてあげる必要があります。
2.ピクシーボブ
日本ではあまりメジャーではないピクシーボブ。しっぽが短くずんぐりとした体格をしています。アメリカでは人気のある猫種で「人の言葉を理解する」といわれています。性格はそのワイルドな見た目とは裏腹に甘えん坊で犬のような側面があります。構って貰えないとしゅんとしてしまうこともあるのだとか。
ギャップ萌えしてしまうピクシーボブですが、多指症が多いのです。実にピクシーボブの約半数は多指症なのだとか。そのことからか猫種の中で、唯一多指症が猫血統登録団体によって認められています。
まとめ
ヘミングウェイキャットとは、そのような猫種の猫がいるというわけではなく、多指症の猫の愛称だということが分かりました。疾患ではあるものの生活する上で特に問題はなく、治療も必要ありません。逆に器用な面がありネズミ取りも上手なので「幸運の猫」として大切にされてきました。
もしヘミングウェイキャットを飼いたかったらメインクーンかピクシーボブを中心に探してみると良いでしょう。運命の出会いが待っているかもしれませんよ。