猫のしっぽを分類すると5つに分けられる
イエネコの祖先種にあたるヤマネコのしっぽが長いことから、基本的には猫のしっぽは長いのが基本形だと考えられています。しかし、しっぽの形状は遺伝することもわかっており、現在の猫のしっぽは大きく分けると次の5つのタイプに分類できます。
1)長尾
鞭のようにしなやかなしっぽのアビシニアンやシャム、ベンガルなど
2)短尾
丸くてポンポンのような尾で有名なジャパニーズ・ボブテイルなど
3)中尾
長尾と短尾の中間
4)かぎ尾
先が曲がった形をしている尾
5)無尾
イギリスのマン島で突然変異として現れたマンクス
猫のしっぽの構造
猫のしっぽは、長さや形状が異なっても構造は基本的に同じで、中心に尾椎という骨が複数個あり、その周囲を左右対象に6本ずつ、計12本の筋肉が根本から先までを覆っています。また、尾骨神経もしっぽ全体に分布しており、これらの神経と筋肉が連携してしっぽの先まで細かい動きをコントロールしています。
尾骨神経は、骨盤神経、陰部神経、下腹神経などの他の重要な神経とつながっています。そのため、しっぽを掴んで引っ張ったり、踏んでしまうとこれらの神経を傷つけ、内臓や後ろ足に障害が出てしまうこともあるので注意が必要です。
猫のしっぽの4つの役割
1. バランスを取る
猫にとってしっぽの最も大切な役割が、バランスを取ることだと言えるでしょう。高くて細い塀の上を歩く時、低い所から高い所へジャンプをする時、暗い所を歩く時などは、しっぽを使って上手にバランスをとります。
2. マーキング
猫の体には、臭腺といってその猫特有のにおいがする分泌物を出す腺がいくつかあります。有名なのは、額、顎の下、口の周りなどですが、しっぽにも臭腺があります。猫は、しっぽを飼い主の脚や家具などに巻きつけてマーキングを行います。
3. 寒い時には上手に活用
寒い時にはしっぽを上手に活用します。体を丸めてしっぽで顔を覆うようにしたりマフラーのようにして寝ることで、暖を取るのです。
4. 感情表現
猫の主となるコミュニケーションツールは声ではなく、全身です。中でもしっぽは、感情をよく表すことが分かっています。ピンと立てている時は機嫌が良い、左右にゆっくりと動かしている時はリラックスしている、激しく左右に振っている時や座って床に叩きつけるように振っている時は不機嫌であるといったように、しっぽで飼い猫の気持ちを推し量ることができます。
しっぽが無くても大丈夫なの?
しっぽが丸いボンボンのような短尾種や無尾のマンクスたちは、どうしているのでしょうか。
しっぽの長さや形が異なっていても、また無い場合でも、しっぽの役割は基本的には変わりません。不足する部分は他で補うことで、生活に支障をきたすことはないようです。ただし、猫同士や飼い主とのコミュニケーション手段が減ってしまうという点では、短尾や無尾の猫たちは不利だと言えるでしょう。
まとめ
今日のねこちゃんより:ゆず♀ / 3歳 / キジトラ
細くて真っ直ぐに長いしっぽも、先が曲がったしっぽも、また短くて丸いしっぽやしっぽのないお尻も、それぞれの猫の個性であり、それぞれが飼い主さんにとっては愛おしいものだと思います。
特に長いしっぽを持つ子の場合は、大切なしっぽをうっかり踏んでしまって傷つけたりしないように気をつけましょう。