猫のアクネ(ニキビ、挫瘡)の予防法5つ

猫のアクネ(ニキビ、挫瘡)の予防法5つ

アゴの下にノミの糞のような黒いツブツブが付いていることがあります。ノミの糞ではない事を確認できたなら、それはアクネという皮膚疾患のまだ軽い段階の可能性が高いです。軽症のうちに自宅でケアをし、予防策により再発を防ぐ事で膿皮症へと進行する重症化を抑えましょう。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫のアゴの下が黒く汚れていたら

猫のアクネチェックをする飼い主

猫のアゴの下に小さな黒いツブツブをみつけたことはありませんか?ノミの糞によく似ているので確認が必要です。

そっと1つ取り、濡れたティッシュの上に置き約1分、周囲が血で赤くなればノミの糞です。違った場合、猫のニキビとも呼ばれているアクネの可能性が高いです。

アクネの正式な疾患名は「挫瘡」と言います。毛穴に皮脂や汚れが詰まった状態で、猫の場合はアゴの下にできることが多いです。

口唇や口角にできることもあります。軽症の場合はあまり問題になりませんが、重症化しないように注意が必要な疾患です。

アクネの原因

食事をする猫

アクネが発症するメカニズムは分かっていません。おそらくこれが原因だろうといわれているいくつかの要因を紹介します。

1.食器の素材
プラスチックは多孔性で表面も傷つきやすいためバクテリアが繁殖しやすく、それが食事の時に猫のアゴに付くと考えられています。また、ステンレスにアレルギーを持つ猫もいます。

2.自分でグルーミングできない
アゴの下は皮脂腺が多く皮脂が分泌される場所なのに、セルフグルーミングできません。そのため、皮脂と汚れが毛穴に詰まりやすいと考えられています。

3.ニキビダニ症
ニキビダニが猫の毛の根元にある毛包に寄生して発症する皮膚の炎症です。ニキビダニは常在菌の一種なので、免疫力が低下した時などに発症します。

4.その他
ホルモンバランスの乱れ、高ストレス、食物アレルギー等が原因となる場合もあると考えられています。

アクネの症状と治療

軽症

猫のアクネ

アゴの下に黒いツブツブが付着している状態。赤く腫れたり脱毛したりといった症状はなく、猫も特にかゆがるそぶりは見せません。

この程度なら、ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンで拭き取り、清潔な状態を維持させる自宅ケアで十分です。ゴシゴシと擦らずに優しく拭き取りましょう。

中等度

毛が抜けて赤く腫れている状態。かゆがる、痛がるといったそぶりを見せることもあり、患部を家具などにこすりつける場合もあります。

重症

治療を受ける猫

患部がただれ、出血したり膿んだりしている状態。細菌に二次感染しており、さらに重症化すると膿皮症に進行します。

治療

中等度以上の場合は自宅ケアだけではなく、動物病院での治療が必要です。患部の毛を剃り、抗生剤や抗炎症薬を塗ります。抗生剤の内服もあるかもしれません。2〜3週間程で治癒します。

予防法

窓の外を見る猫

1. 食器素材の見直し

プラスチックやステンレス製の容器を使っている場合は、ガラス製や陶器製の食器に変更する事をおすすめします。

2. 飼い主によるケア

アゴの下は、セルフグルーミングできません。毎日のお手入れに組み込み、飼い主が清潔な状態を維持するようにしましょう。

3. アレルゲンの排除

食物アレルギーやアトピーのある猫の場合は、食事内容や生活環境を見直し、できるだけアレルゲンを排除しましょう。

4. ストレスの軽減

猫に与えているストレス要因を見極め、ストレスを軽減できるように生活環境やライフスタイルを見直して改善しましょう。

5. ノミやダニの予防

動物病院で予防薬を処方してもらい、必要な期間中は継続して予防しましょう。

まとめ

セルフグルーミングする猫

アクネは、年齢、性別、品種等の差がなくいつでもどのような猫でも発症します。軽症のうちは特に問題ありませんが、重症化すると細菌感染から深在性膿皮症になりかねません。軽症のうちに自宅ケアで進行を止め、予防を継続することが肝要です。

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