猫にも心の病気があります
猫にも感情があり、様々なことを考えています。そのため、人と同様に猫も心の病気に罹る可能性が十分あります。ところが、猫の生活環境は飼い主さん任せです。そのため、猫の心の病気の予防には、愛猫のSOSのサインをキャッチし、対処することが欠かせません。
今回は、猫の心の病気を見逃さないために、飼い主さんに知っておいて頂きたい猫のストレス源と代表的なSOSのサインをご紹介します。
猫はどのようなことをストレスと感じるのか
まずは、猫がどのようなことにストレスを感じるのかについて、知っておきましょう。
猫は何よりも縄張りが大切
室内飼いの猫の縄張りは家の中です。縄張りでは安心して過ごせる必要があります。しかし実際には、飼い主さんや、場合によっては他の動物達とも縄張りを共有することになります。そのための配慮に欠けている環境は、猫にとってとても強いストレス源です。
強い刺激
猫の五感は人の何倍も敏感です。特に、においや音は、人にとって心地良くても猫には嫌悪の対象になる場合があります。芳香剤、化粧品、アロマなどの人工的な香りや、掃除機、外の騒音などは猫の強いストレス源になり得ます。
強すぎる愛情
飼い主にべったりの甘えん坊の猫もいれば、触れ合いを好まない猫もいます。前者の猫には構ってもらえないことがストレスになり、後者には構われることがストレスになります。また、過度に構われすぎると前者であってもストレスに変わることがあります。
猫が発するSOSのサイン
1. 食欲や活動性の低下
食べない、遊ばない、周囲に興味を示さない、隠れて出てこないなどの行動の変化が見られます。
2. 胃腸障害
下痢、嘔吐の他、便秘や血便が見られる場合もあります。
3. 不適切な排泄
過度なマーキングを行う場合と通常の排泄をトイレ以外の場所にする場合があります。それぞれ理由が異なるので、まずはこの見極めが必要です。
4. 攻撃的な行動
飼い主さんや一緒に暮らしている他の動物達に攻撃的な行動をとることが増えます。
5. 常同行動
同じ行動を延々と繰り返します。行動の内容は猫によりますが、過剰なグルーミングはよく見られる行動の一つです。この場合、舐めすぎた場所に脱毛や炎症が起きることもあります。
ストレスから発生する心の病気
一般的に、猫の心の病気は、問題行動を起こすことであると定義されています。問題行動とは、攻撃行動、不適切な排泄、常同行動のことを指します。また、飼い主への依存度が極端に高い場合は飼い主の不在時にのみ問題行動を起こす、分離不安症といった病気も知られています。
最近は、これらに加えてうつ病の猫も増えてきているようです。次のようなサインが全て見られる場合はうつ病かもしれません。
- グルーミングをしない
- 眠ってばかりいる
- 食欲不振でやつれた
- 暗い場所などに隠れて出てこない
- 性格が変わった
- 飼い主さんや他の動物に攻撃的
- 粗相をする
- よだれが垂れている
先に紹介したSOSのサインとの重複もありますが、上記のサインが見られる場合は、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
まとめ
ストレスのサインを見つけたら、愛猫のストレス源を突き止め、問題を解決することが大切です。しかしそれだけでは改善せず、問題行動がひどくなったりSOSのサインが出続ける場合には、動物病院で診てもらいましょう。
心の病気の治療は、環境改善と行動療法が基本です。投薬が行われる場合もありますが、環境改善と行動療法についても、きちんと専門家の指導の下で適切に治療することが、愛猫を早期に楽にしてあげることにつながります。