出会い
夏の暑い日でした。14歳で旅立った愛犬のお葬式を済ませ、写真を現像してもらうまでの間、気分転換に海の公園に立ち寄りました。その公園は、野良猫が多く、猫が捨てられる場所として有名でした。
ベンチで野良猫達を眺めていると、年配の女性が話しかけてきました。他愛ない話をしていると、女性は持っていた紙袋を地面に置きながらこう言ったのです。
「孫が拾ってきたのだけれど、うちも猫がいるから…仕方ないのよ」
紙袋の中身はなんと子猫!
ガサガサ袋から出てきたのは、生後1ヶ月にも満たない子猫でした。おまけに風邪気味なのか、目やにが酷く体もガリガリでした。
しかし、そんな姿に反して私の足に必死によじ登り、しがみついて離れません。近くにいた野良猫が子猫を見つけ、近寄ってきましたが、威嚇し攻撃しようとしたので、その場に置いていく訳にもいかず、そのまま自宅に連れて帰りました。
通院生活、そして現在
動物病院へ連れて行き、猫ウイルス性鼻気管炎と診断を受けました。栄養状態も悪く、体重も300g程度しかありませんでした。
流動食とミルクをスポイトで1日3時間おきに与えることで、少しずつ体重は増えていきましたが、目の炎症はなかなか治りません。根気よく目薬をさすことと、免疫力が低下することを防ぐために体調管理を整えることで次第に鼻水や涙がなくなり、回復の兆しがみえました。
この猫と出会った日にちなんで、この子を瑠璃と名付けました。
可愛らしいお顔の女の子
体重が1㎏を越え、体調が安定した頃、血液検査をしました。幸い、猫にとって怖いエイズや白血病は陰性でした。しかし、右目の炎症は残るかもしれないと言われました。拾った時は目も腫れていたので分からなかったが、よくみるとおめめパッチリの可愛らしい女の子でした。
現在
瑠璃が我が家にきて2年経ちました。
今ではすっかり、元気になり家の中を走り回っています。カーテンによじ登ったり、オモチャで遊んだり、拾ってきた当時の弱々しい姿はどこにもありません。これからも愛情をいっぱいに受けて長生きしてほしいです。
最後に
子猫にとって外の世界は常に死と隣り合わせであり、一人では生きていけません。餓死、交通事故死、カラスなどの外敵…運良く拾われることなんてほんの一握りなのです。
新たな命を望まないのであれば、望まれない命を増やさない為にも、避妊去勢手術を受けましょう。安易に捨てられる猫が少しでも減ることを願うばかりです。