1.症状
ウールサッキングとは「羊毛(ウール)」を「しゃぶる(サッキング)」という意味です。直訳する羊毛をしゃぶるということですが、猫の中に羊毛だけでなく毛布や絨毯、レジ袋や紐、輪ゴム、段ボールなど色々なものをしゃぶったりかじったり、場合によっては食べてしまったりします。
食べてしまった場合には排泄できればいいのですが、腸閉塞を起こし命を落とす危険もあります。この場合、内視鏡で取り除いたり開腹手術をすることになってしまいます。
特に欲求不満や不安を感じたりした猫がこのような問題行動をしてしまうことがあります。ウールサッキングは常同障害に分類される疾患です。
子猫を保護した場合などに寂しそうだからと温かい毛布やフリースなどを敷き詰めていたら目を離した隙にウールサッキングをしてしまった、という事例があります。
2.原因
早い時期に母猫と離れ、母乳をしっかりと飲んでいない子にウールサッキングが多い傾向があるようです。またストレスやミネラル不足、体内に寄生虫がいる場合も嘔吐を誘発するためにウールサッキングをする場合があります。
母乳を飲む行為は子猫に安心感をもたらすと言われています。そのため母猫と早くに離れて母乳を飲む期間の短かった子は何かをしゃぶる行為が多くなり、ぬいぐるみや布のようなものに吸い付くウールサッキングを行うようになってしまいます。その結果毛布などを吸っているうちにかじってしまい、飲み込んでしまいます。
人間で例えるなら「口寂しい」といった感覚が近いと思われますが、母乳を飲んだ経験の少ない子猫だけでなく、何らかの病気による代謝異常に陥った猫が食事以外のものを食べたりウールサッキングをしてしまうこともあります。
3.予防法
病気が原因でない場合にはウールサッキングは治療することができないとも言われています。対策としては猫が過ごす部屋の中や猫の目の届くところにウールサッキングをしてしまいそうな毛布やビニール袋などを置いておかないようにすることが大切です。ウールサッキングをしていまった時にやめさせようと怒ったりするのは逆効果です。
またストレスが原因の場合には猫と遊ぶ時間をしっかりと作り、猫が満足するまで遊んであげることが大切です。ですが遊ぶ時のおもちゃの素材にも気を付ける必要はあります。
ウールサッキングをしそうな気配がある場合には、始まってしまう前に遊ぶなど別の行動をさせるようにすることも対策と言えるでしょう。
まとめ
ウールサッキングは命の危険もある問題行動です。毛布などを吸っている子猫を見ると「可愛い」と思うかも知れませんが、時には死に至ることもあるほど危険な行為のためやめさせなくてはいけません。
子猫のほうが死に至るケースは多いですが、実はウールサッキング自体は子猫特有のものではありません。成猫であっても何かしらの原因でウールサッキングをしてしまう子はいます。
飼い主が出かけたりする時にはケージに入れるなどの安全対策を行い、目の届くところに食べてしまいそうなものを置かないようにすることが一番良いと思います。
しっかりと対策をして猫が安心して暮らせるおうちにしてあげてくださいね。