「エンジェルタイム」とは?
病気で寝たきりだった猫が、突然元気になることがあります。このまま元気に過ごせるのではないかと期待してしまいますが、実際にはお別れの兆しであることが多いです。
とても貴重な時間を「お別れの合図」と捉えてしまうと余計に悲しくなってしまいますよね。
往診専門の動物病院を運営している江本獣医師は、「天国へ旅立つ前の大切な時間」として最期の時間を「エンジェルタイム」と呼んでいます。
まるで魔法にかかったかのような、あたたかい時間なのです。
エンジェルタイムで起こること
冒頭でも紹介したように、エンジェルタイムを迎えた猫は現状では有り得ないような行動を見せてくれます。ここでは、その例をいくつかご紹介いたします。
いつも以上に甘える
「猫は死期を悟ると隠れてしまう」と言いますが、家猫の多くはむしろ甘えっ子になります。野生の猫とは異なり、危険な環境ではないからです。
大好きな飼い主さんに思いっきり甘えることで、安心すると共に感謝の気持ちを伝えたいのでしょう。
ご飯を食べてくれる
もう何も口にできなかった猫が、最後にご飯を食べてくれたり、水を飲んでくれることがあります。これも愛猫からの感謝のメッセージです。
最期に食事を求めてくれたときは、愛猫の好物を食べさせてあげてください。
挨拶をして歩く
一緒に過ごしてきた家族一人ひとりに擦り寄り、挨拶をしてくれる猫もいます。就寝中に全ての部屋を回って歩いたという話もよく耳にします。家族のことが大好きなのです。
猫は素っ気ない態度を取りながらも、本当はとても愛情深い動物ということが伝わってきます。
鳴き声をあげる
お別れの瞬間に立ち会うと、最後に鳴いてくれることがあります。大きな声で鳴いたり、「ゴニョゴニョ」と何かを語るように鳴くこともあります。
これは恐らく「ありがとう」と言ってくれているのでしょう。
愛猫が最期に望んでいること
旅立ちが近い猫が最期に望むことは、穏やかな時間を過ごすことと、家族の幸せです。
とても辛いときですが、愛猫がエンジェルタイムを迎えたら、できる限り笑顔でいてあげてください。
エンジェルタイムに立ち会えなかった後悔
全ての猫にエンジェルタイムがあるわけではありません。また、その瞬間に立ち会えなかった方もいらっしゃるでしょう。
これが後悔として大きな心の傷になってしまうことがあります。でも、ご自身を責めないでください。
愛猫にはエンジェルタイムがなかった、もしくは立ち会えなかったということにも、きっと意味があるはずです。そのヒントは、これまで過ごしてきた思い出の中に隠されていることでしょう。
まとめ
エンジェルタイムは、愛猫からの最期の贈り物です。おそらく、まだ伝えきれていない思いがあるのでしょう。逆にエンジェルタイムがない猫は、その時を許されなかったのではなく、ご家族に自分の気持ちを伝えきった証なのかもしれません。
もしも愛猫がエンジェルタイムを迎えたら、飼い主さんも魔法にかかったような気持ちで、あたたかい時間を過ごしてください。