譲渡会常連だった保護猫「そら」との出会い

譲渡会常連だった保護猫「そら」との出会い

なかなか譲渡先が決まらず、譲渡会の常連になってしまった保護猫との出会い。でもそれはとっても素晴らしい、身体が大きくて心根の優しい雄猫との出会いでした。

先代猫が亡くなって、それから...

譲渡会での保護猫そらの様子

我が家の先代猫が亡くなったのは2016年の7月。おそらくうまれつきであっただろう持病があり、最期は闘病の末に亡くなった形でした。先代猫は保護猫で、幸いにもとても親切な保護団体さんと保護主さんとのご縁があり我が家に迎え入れることができた子でしたので、先代猫が亡くなった旨とあらためてのお礼を添えて、落ち着いた頃に保護団体さんに連絡しました。

こうして先代猫が旅立ってから数日、悲しいのと同時にやはり猫がいない生活は寂しいと感じるようになり...同時に、こうして過ごしている間にも新たな家族を探している保護猫を迎え入れたいという気持ちも出てきて、迷いつつも里親募集のインターネット掲示板を覗くようになっていきました。

幾つかの掲示板を覗いたり、中にはお話させていただいたり...といったこともありましたが、いろいろあって話がまとまらず。そんな時にふと思いついて先代猫がご縁をいただいた保護団体さんのホームページを覗きました。するとそこには譲渡会開催のお知らせが出ており、明日開催されるとのこと。

へえ、そうなんだ...と思いながら参加猫を見た時、パッと目に入ったのが白黒の大きな猫「そら」でした。紹介文を見ると、こちらの条件にピッタリ。すぐに主人に話しをして、翌日譲渡会に行くことにしました。

賑やかな譲渡会の片隅で

来たばかりの頃のそら

譲渡会は穏やかに、そしてとても賑やかに開催されていました。清潔で明るく、アットホームな会場。たくさんの人が猫のケージの間を行き来していて、あぁこれじゃあもう決まっちゃってるかな、と思いながら声をかけてくださった会場スタッフの方に「あの、そらくんに会いたいんですけど...」とお話すると「え、そらくん!?そらくんですね!?そらくんいますよ、よかったねそらくーーーん!!!」と何やらテンション高めのお返事が。スタッフの方に案内されるままに行くと、優しそうな保護主ご夫妻と一緒に、ケージの中におっきな猫が。。。

聞けばそらくんは生後数ヶ月、ひどい猫風邪に侵された状態で保護されてきちんと治療したもののなかなか譲渡先が決まらず、もう3年ほどになっているとのこと。本人の性格的に気が小さいほうなので、知らない場所で知らない人がたくさん集まる譲渡会に連れ出すのは本当に気の毒なんだけど、もう大人になってしまったし、こうしないと余計に決まらないから...というようなお話でした。

そんなこんなで気づけば譲渡会の常連になってしまい、日によっては誰も目を向けてくれないような時もあったため、最初のスタッフさんの嬉しそうなお返事はこのような理由からだったようです。

この日はその場で保護主さんと話しを進めることができましたので、我が家が何故大人の猫を希望するのか、そしてなぜそらくんを希望するのかを保護主さんにお伝えしたところ、保護主さんも納得してくださり、その後のお話はさらにトントン拍子に進みました。そしてその日のうちにトライアル決定し、スタッフさんにもお伝えしたところ「そらくんよかったねー!本当によかったね、頑張ってね!」と満面の笑みで喜んでくださっている姿がとても印象的でした。

途中で起きた小さな奇跡

譲渡会会場には私が先に到着し、主人が後から来ることになっていました。そんなこんなで私が一旦会場を出て主人に合流し、会場に戻ろうとしたところ、なんと先代猫をお世話してくれたYさんに偶然お会いすることができたのです。そこで先代猫が病気で亡くなったこと、そしてまた猫をお迎えしたく思って譲渡会に来た旨を手短に説明すると、Yさんも同じ譲渡会場に子猫を連れて来ていたことを教えてくれました。全然気づかなかったね、でもあの人混みじゃね〜...などとお話しつつご挨拶してお別れし、会場に戻ると、会場のスタッフさんから「いまYさんから電話があってね、筆者さんは信頼できる方だから安心してお話進めてって電話があったのよ」と教えてくださいました。既にトライアルの手続きは済ませていましたが、Yさんのその気持ちが本当に嬉しかったです。

そらくん、我が家へ!

抱っこされるそら

我が家へは飼育環境のチェックも兼ねて、保護主さんご夫妻ご自身がそらくんを連れて来てくださいました。お風呂に入ってきちんとブラッシングして、前日の夜には保護猫仲間と卒業パーティー(保護主さん宅での恒例行事だそう)までしてもらったそらくん。「今日は泣きません、昨日たくさん泣いてきましたから」と少し涙目で仰る保護主さんの言葉に、本当に大切に保護されてきたんだなと感じました。

そらくんは我が家へきて「そらきち」という名前になりました。保護主さんには確認したい時に確認できるSNSを通じて日常の報告をすることになり、私もしばらくの間はできるだけそらきちの画像をupするようにしました。

新しい猫が慣れるまで

犬と寄り添って寝る猫そら

先代猫は我が家に来た当日にご飯も食べて排泄も済ませ、2〜3日で新しい環境に慣れた様子でしたが、そらきちは1週間ほどかかりました。特に排泄に関しては翌日までまったくしてくれず、あまりにも心配だったので保護主さんと相談して獣医さんに連れて行ったほどです。獣医さんでは診察の際に緊張が爆発したためか?思いっきりおもらししてしまい、それをきっかけに自宅でも排泄してくれるようになったので、結果的にはよかったのですが。。。苦笑

新しい環境への適応度合いは、本当に個体差があります。そらきちのようになかなか慣れない場合には、無理やり構うのではなく、体調と様子をよくよく観察しつつ猫のペースを守ってあげてほしいと思います。またそらきちのように、まずは隅々まで自分の目で見ないと安心できない子もいます。入って欲しくない場所に入り込むこともあると思いますが、そういった時にいきなり頭ごなしに怒るのではなく、まずは見せてあげてください。自分の目で確認してしまえば、その後はさほど興味を示さず入り込むことがなくなる場合も多々あります。

まとめ

すらっとした立ち姿のそら

そらきちの保護主さんもおっしゃっていましたが、譲渡会などでは子猫に人気が集中してしまい、成猫は本当に里親が決まりにくいそうです。確かに子猫の可愛さは何にも代えがたいものがありますが、どうか成猫の良さにも目を向けてあげてください。性格やクセもある程度固定しているのでわかりやすいですし、成猫でも充分新しい環境に慣れてくれます。もちろん、新しい家族にも。迎え入れる家族がきちんとお迎えできさえすれば、成猫でも立派な家族の仲間入りをしてくれます。

では、新しくお迎えした成猫と仲良くなるにはどうしたら良いのでしょうか?筆者の思うコツはただひとつ、「待つ」こと。積極的に声をかけたり触ったりするのではなく、新しい環境に来た猫がまず何をしたいのか?どこを見たいのか?待ちながらひたすら観察し、必要な時に必要な手を差し伸べること。そして、猫のほうから人間側に興味を持って寄ってくるのを待つこと。これが一番なのではないかな、と思っています。

そらきちが我が家にきて約8ケ月後、先住犬のミニチュアダックスが虹の橋に旅立ちました。
その後7歳の保護犬(ミニチュアダックス)をお迎えしましたが、そらきちは先住猫として立派にやってくれています。少し気が小さくて困ることもあるけれど(笑)もう新入りでも保護猫でもありません、立派な家族の一員です。

またトライアルについて少しだけ...トライアルはこの先新しい家族の元でやっていかれるかどうか?という、いわばお試し期間のようなものですが、トライアルについて少しだけ考えてみてください。「見た目が亡くなった猫に似ていたからトライアルで来てもらったけど、やっぱり違うから返します」「子供のヒザの上で大人しくしていてくれないから要りません」...これは実際に猫の保護をされている方々から聞いたトライアルで断られた理由です。これでは行ったり来たりさせられる猫自身が一番辛いのではないでしょうか。

いくらトライアルでも、当然ながら保護主さんは真剣かつ非常に心配されますし、何より猫たちにとって新しい環境は大きなストレスがかかること。短期間で生活環境がめまぐるしく変わるのは決して良いことではありません。ですので、トライアルは「飼えるかどうか様子を見る期間」ではなくあくまで「期間中、特に大きな問題がなければ飼う」という前提で、真剣に考えて真剣に臨んでもらいたいと思います。

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