人の手によって捨てられた三姉妹
愛猫は生後2ヵ月頃、三姉妹で広い道路を横断しようとしていたところを保護主さんによって保護されました。後に行った動物病院で、体がキレイで人に慣れている事から、飼い猫が出産したが面倒を見れず、離乳と同時に捨てられたのではないかと言われました。
保護主さんは、危なっかしい子猫達を見て見ぬ振りする事はできず、思わず保護してしまったものの、猫アレルギーの祖母と同居しており、急ぎで里親さんを探さなくてはならないため、急遽里親募集サイトで子猫達3匹の里親を探し始めたそうです。
私自身、長年「猫を家族に迎える」という事を夢見ながらも、あまり具体的に考えた事はなく、縁があればいいなと思っていた程度で、ひなを家族に迎える1ヵ月程前まで里親募集サイトの存在も知りませんでした。
偶然目にした里親募集サイトが気になり始め、何度かお見合いに申し込んでみたもののメールの申込みの時点で「小さな子供がいる家庭はお断り」という里親条件に引っ掛かり、里親募集している猫達に会うことさえも叶いませんでした。
里親募集サイトで運命の出会い
猫の里親になる事を諦めかけ、里親募集サイトを見る機会もかなり減っていた頃、久々に開いてみたサイトに1分前に掲載されたばかりの里親募集記事がありました。保護主さんのご自宅も近く、子猫3匹の写真をみた時、この子だ!もしかしてついに運命の子に出会えたのではないか!と、ドキドキしながら連絡しました。
保護主さんはすぐに返事を下さり、こちらの家族構成や生活環境、子供のアレルギー検査結果や、小さい頃からわんちゃんや猫ちゃんと接しているという事、伝えられる事すべてをお伝えしました。こちらの熱意が伝わり、数日後に動物病院に同行させて頂く事になりました。
5歳児の子猫へのプロポーズ
何より、実際に保護主さんに息子と会ってもらい、安心して頂きたかったのです。家族が増えるという事はどんな事か、命を迎える責任とはどんなものか、当時5歳だった息子とたくさん話し合い、息子自身も子供なりに一生懸命考えていたように思ったからです。
そして三姉妹の子猫達と初めて会った息子が「この子と家族になりたい」と言ったのは、私が写真を見てこの子だ!と思った子猫と同じでした。その時はやっぱり、運命ってあるのかもしれないと思いましたね。
保護主さんには動物病院へ行く前に自宅へ来て頂き、たくさんお話をしました。保護主さんが「こんなに素敵な家族さんなら、猫ちゃんも絶対に幸せになれますね」と言って下さった時は心底嬉しかったです。
その時息子がピシッと正座をしながら「僕が絶対に幸せにするので、家族になってくれますか」と、まるでプロポーズの様に子猫にお願いをしているのを見て、保護主さんと思わず涙を流してしまったのを今でもハッキリと覚えています。
その後、保護主さんと一緒にノミダニ駆除やワクチン接種のために向かった動物病院では獣医さんに「痛いことしないでね!」と涙を流して呟く息子と「こんなに優しい人達に出会えてよかった」と涙を流して喜んでくださる保護主さん、そんな状況に私までもらい泣きをしてしまい、先生方を困らせてしまったのも今ではいい思い出です。
プロポーズの後に
あの日の約束通り、今でも息子は愛猫ひなを幸せにするため日々奮闘しています。兄妹のような関係で、時には喧嘩をしたりする事もあるけれど、お互いとても大切に想い合っているのが伝わります。
我が家へ迎えた時、1番体が小さく600gしかなかったひなも今では6キロを越え、大きな大きな箱入り娘になりました。わがままで、気分屋で、家族からの愛情を疑わない、まさに愛され猫に育ってくれています。
愛猫とは、出会うべくして出会ったと家族全員が信じています。偶然でも何でもなくて、運命だったと。息子が初プロポーズを捧げた子猫は、今では息子を尻に敷いて元気に暮らしてくれています。