1.敵に襲われないようにするため
野性では単独で行動する猫にとって、排泄することは、すぐに逃げることのできない無防備な状態になることでもあります。家の中で飼われているのであれば、無防備な状態であってもいい、敵なんていないじゃないかと思われるかもしれませんが、家の中の環境をよく考えてみてください。特に同居猫がいる場合、その猫が下位になっていませんか?同居の他の動物がいる場合にも、その動物が猫のストレスになっていることはないか考えてみてください。。
自分を襲ってくる敵ではなくても、そのような同居猫や動物が、猫が「トイレから早く立ち去りたい!」と思う原因になっているかもしれません。
2.興奮状態になるため
ここで言う「興奮状態」とは、ストレスが貯まってそれを発散させるための興奮を言っています。トイレが気に入らず、用を足すのにストレスを感じている場合に、トイレの後興奮状態になって走り回ったりすることがあります。
トイレが気に入らない理由には、トイレが狭すぎる、トイレの砂の材質が気に入らない、トイレの砂が少なすぎる、トイレが汚れているなど、様々なものがありますが、どれも飼い主が改善してあげられるものばかりです。
また、 1.敵に襲われないようにするため、とも関連しますが、トイレの屋根の有無は猫の好みによっても分かれますが、基本的に猫のトイレには屋根がない方が良いようです。野生の猫は、辺りが見渡せて敵が来ればすぐに発見できるような場所で用を足すそうです。屋根に覆われて周囲の安全を確認できないトイレだとストレスを感じ、用を足すのもそこそこに早くトイレから出たい、と思う猫がいるそうです。
猫のトイレには、問題なく猫が体を動かせる大きさが必要で、目安としては猫の体長の1.5倍の長さが必要だと言われています。猫の好みによっては、もっと大きなトイレが必要になることもあります。トイレのふちに前足をかけたり、前足をトイレの外に出して用を足している場合には、トイレの大きさが小さすぎることが考えられます。もし市販の猫用のトイレでは大きさが足りない場合には、衣装ケースを利用しても良いでしょう。
トイレ砂の材質や量については猫の好みのものを見つけてあげましょう。用を足した後は、しっかりと砂をかいて排泄物を隠すのが正常な猫の行動です。排泄物を隠さずに出てきてしまう、トイレの壁をかく、トイレから出てからじゅうたんやカーテン、部屋の壁をかく、といった行動が見られる場合には、砂の量と材質を含めて何かトイレに気に入らない点がある可能性が考えられます。またまれに、砂が好きではない、シーツや新聞紙の上で用を足すのが好きな猫もいるようです。
3.飼い主さんに知らせるため
猫は不潔なトイレが嫌いです。汚れているトイレで用を足した後はストレスを感じて走り回ってしまうことがあるそうです。「トイレしたよ!」と飼い主さんにアピールしているわけではないのですが、普段はそんなことないのにトイレをした後に走り回っている場合にはトイレが汚れていないか、きれいな砂が十分に入っているかチェックしてあげましょう。
我が家の猫も、走り回ったあとに、私の顔を見て「ニャー」と鳴きます。「掃除して!」と訴えているのかもしれませんね。
排泄物をきれいに取り除くだけでは、猫のトイレの掃除としては不十分です。定期的に砂を全部出して洗剤を使ってトイレを洗い、新品の砂を入れてあげましょう。ただし、においが強い洗剤を使った場合に、猫がその洗剤のにおいを嫌がってトイレを使いたがらなくなることがあるようです。特に柑橘系の臭いを嫌がる猫は多くいますので、猫のトイレを洗う時には洗剤のにおいにも注意してあげましょう。
システムトイレを使っている場合、システムトイレの説明書通りに使っていてもトイレを不潔に感じてしまう猫もいるようです。システムトイレを使っていて猫がトイレを気に入っていない様子がある場合には、砂やチップ、マットやシーツの交換をもっと頻繁にしてあげましょう。
まとめ
このような行動は「トイレハイ」なんて呼ばれていますね。飼い主さんの間でも、「猫あるある」として、話題になる行動の一つでしょう。
しかしこの行動は多くの場合、猫がトイレを気に入らない、安心してトイレができない場合に見られるようです。部屋の中をドタバタ走り回っても決して叱ることなく、トイレに何か問題はないかチェックしてみましょう。
また、膀胱炎があって痛みのせいで様子がいつもと違う、またはトイレを失敗してしまうこともあります。猫はおしっこに関係する病気が多い動物で、特に膀胱炎はストレスも大きくかかわっているそうです。あまりにもいつもと違う様子であれば、病気があって痛みや不快感を感じている可能性もあります。病院で一度診てもらってくださいね。
猫のトイレの数は、猫の数+1が基本だと言われています。1匹しか飼っていなくても、トイレは2個置いてあげるのが良く、多頭飼いの場合には最低でも(猫の数+1)個のトイレを置いてあげたいものです。猫がたくさんいてそんなにたくさんのトイレを置けないという場合には、猫の関係性をよく見極め、劣位の猫も安心してトイレができるようなグループ分けをしてあげたりトイレの置き場所を工夫してあげましょう。