引越しは猫の大敵!?環境の変化で起こるストレスと対処法

引越しは猫の大敵!?環境の変化で起こるストレスと対処法

変化に敏感な猫にとって、引越しは大きな負担のかかるイベントです。多かれ少なかれストレスがついて回ります。今回は引越しにおけるストレスと、その対処法についてご紹介いたします。

猫にとって引越しは一大事!

警戒してダンボール箱の中に隠れる猫

猫は急激な環境の変化が苦手です。だから引越しは猫にとって一大事なのです。とはいえ、仕事の都合や結婚などで引っ越さなければならないこと はあります。

猫と暮らしている場合、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか?ここでは、引越しによって生じる猫の変化や注意点についてご紹介いたします。

準備の段階からストレスがかかる

引越しが引き金で起こるストレスは、慣れない新居だけではありません。今現在住んでいる住宅の中で起きている変化によるものも大きなストレスになります。

当然のことながら、新たな環境へと移り住むには荷造りや大掃除などが必要になります。普段は見かけない大量のダンボールが積まれ、部屋からは次々と慣れ親しんだものがなくなっていきます。

また、掃除をする過程では猫が苦手な音を頻繁に聞くことになります。安心して避難できる場所は確保しなければなりません。

尚、具体的なストレスサインについては次の項でご紹介いたします。

脱走のリスクが高くなる

準備段階における大掃除のときは窓を開け、当日の荷物の運び出しの際には扉を開けっぱなしにします。これは脱走の危険性が最も高い状況です。掃除中はケージがあればケージに、移動の際はキャリーケースに入れることを忘れないでください。

そして新居に到着してからも、しばらくの間は脱走のリスクが高まります。新たな環境が落ち着かず、以前住んでいた家に帰ろうとしたり、実際に帰ってしまった猫もいます。よって、窓の開閉には細心の注意を払いましょう。

引越しだけで命を落とすこともある!?

海外のことわざに「Care kills even a cat(心配事は猫をも殺す)」というものがあります。猫は高い適応能力を持ち合わせているものの、冒頭でも紹介したように大きな環境の変化は苦手です。

引っ越すだけで命を落としてしまうことは稀です。ただし、高齢の猫や子猫の場合は若い猫に比べると体調不良を起こす可能性はあります。やや緊張気味でありながらも食欲はあるか、下痢をすることがないかなど体調の変化に気をつけましょう。

また、転居後は動物病院も変更しなければならないことが多いでしょう。かかりつけだった病院に事情を伝え、持病がある場合はカルテのコピーを貰っておくと便利です。そして、転居後の病院も前もって候補を挙げておきましょう。

見逃さないで!ストレスサイン

窓辺でうなだれている猫

引越しに限ったことではありませんが、次に紹介するものは猫の身にストレスがかかったときに見られる行動や症状です。

鳴かなくなる若しくは頻繁に鳴くようになる

猫は、我々人間が言語(猫流に言うならば鳴き声)によってコミュケーションをとっていることを理解しています。本来、ボディランゲージによって会話する猫が鳴いて訴えかけるのは人間に合わせているのです。

日頃から、鳴くことをメインに飼い主さんと交流している猫が泣かなくなるのは不自然です。日増しに変わりゆく環境と、不慣れな場所での生活によって不安や緊張に強いられると一時的にこのようなことが起こります。

また、逆にこれまで物静かだった猫が頻繁に鳴くようになることもあります。理由としては、先ほどと同様です。不安やストレスから黙るのではなく、むしろ口数が多くなってしまうようなイメージです。

ほとんどの場合は新たな環境になれ、通常の生活リズムに戻ることで落ち着きます。しばらくは様子を見て、優しく声をかけてあげましょう。改善が見られない場合は病気の可能性も視野に入れ、動物病院を受診しましょう。

室内をうろついたり隅で固まってしまう

猫の仕事はパトロールです。これは自身の縄張りに変化がないかを確認する行為です。住み慣れた家は縄張りとして確立し、荒らされることもほぼありません。

しかし、新居ではまだ縄張りとして定着せずにこまめなパトロールが欠かせません。さらに一説によると、猫は初めて来た場所では非常時に避難する場所を探すといわれています。脱走には十分注意したうえで気が済むまで見回りをさせてあげましょう。

そして猫は、慣れない場所で大胆に寛ぐことができません。これは野生の本能による行動です。引越し後は、隅で固まってしまうこともあるでしょう。食事や排泄が問題なくできているのであれば、それほど心配はいりません。

お気に入りのおもちゃで遊ばなくなる

普段から気に入っているものに対して、急に興味を示さなくなるのは代表的なストレスサインです。これも一時的な場合が多いため、遊べる心境になったらいつでも遊べるように、分かりやすい場所に置いておきましょう。

その他にも、気になる行動や症状がないか様子を観察するようにしてください。

グルーミングの様子がいつもと異なる

グルーミング(毛繕い)は、猫にとって大切な習慣です。具体的な順序までは把握していないにしても、愛猫のグルーミングパターンは何となく分かるのではないでしょうか?この一種の癖のようなものが明らかに乱れている場合はストレスを抱えている可能性があります。

ストレスを感じている猫に起こりやすいグルーミングの特徴は、過剰にするか頻度が減るかの二つになります。

過剰な場合は、同じ部位を繰り返し舐め続けます。結果的に被毛が禿げてしまうこともあります。これは落ち着きたいという気持ちの表れや、必死に気持ちを切り替えようとしている様子を表しています。

逆に頻度が減る場合は、今まで日課にしていたグルーミングをする精神的な余裕がなくなっている状態です。これも慣れるにつれて、少しずつ以前の様子を戻るでしょう。

引越しにおけるストレスの解消法

頭を撫でられて眠っている猫

愛猫に全く負担をかけずに引越しをすることは困難です。しかし、ストレスを軽減させる方法はあります。転居までに少し時間がある方は参考にしてみてください。

準備は少しずつ!愛猫に気づかれないように

基本的に、愛猫が拠点としている空間は最後に手をつけるようにしましょう。まず優先すべきは、愛猫とは無関係の場所からです。

そして、少しずつ荷造りをしていきましょう。最初はできるだけ愛猫に悟られないように自然な形で行います。これを日々繰り返し、最後に愛猫の居住スペースを整理するようにしましょう。

愛猫のお気に入りのものはなるべく捨てない

破損して怪我の恐れがあるものや、全く使用していないものを除き、愛猫の生活用品はそのまま持っていきましょう。新たな環境でも変わらないものがあるということはにおいで判断する猫にとっては重要です。

転居先でも可能であれば家具の配置を似せる

間取りが全く同じ家に引っ越すことは不可能に近いことです。また心機一転、新たな家では家具の配置をガラッと変えたいと思うかもしれません。

ただし可能な範囲で、愛猫の拠点は以前に似た配置を心がけましょう。最初は違和感を覚えるでしょう。それでも似た環境を演出することで、安全な場所だと認識してくれるようになります。

引越しだけじゃない!リフォームの落とし穴

キャットタワーの上で横たわる猫

家にまつわる大きな変化は引越しだけではありません。年末の大掃除やリフォームも思わぬストレスが愛猫にのしかかります。猫は人間とは異なり、大掃除やリフォームの目的を理解することができません。よって、突然忙しなく人が動き、見知らぬ業者が出入りを始めてしまうのです。

これらも引越しと同様に、少しずつ行うのが理想的です。家具の配置は極力変えず、愛猫の日用品はできる限りそのままにします。そして、大切なのは脱走防止です。ケージやキャリーケースを上手に活用しましょう。

猫は慣れるまでが引越し

ダンボール箱に仰向けに入ってくつろぐ猫

よく「帰宅するまでが修学旅行」と言いますよね。猫の場合は新居に慣れるまでが引越しです。住み慣れた環境を離れ、新たな場所に移り住むのは誰でも不安です。まずは飼い主さんが落ち着くように心がけましょう。

飼い主さんが余裕を持って接するだけでも心強いものです。普段以上に様子を見て、声をかけることを意識しましょう。

また、移動するためには乗り物に乗らなければなりません。その手段が飛行機の場合は特に慎重に判断しましょう。航空会社によって猫をはじめとする動物の位置づけは異なります。事前によく確認しましょう。

猫は環境の変化に敏感な反面、優れた適応能力を持っています。新居が我が家として定着するまでに要する時間は個体差があります。しかし、時間はかかっても慣れてくれる日は訪れます。あたたかく見守ってあげてください。

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