1.美味しいものを食べること
食べることは生きるための最低条件の1つです。しかし、ギリギリの生活で、何でも食べると思われている野良猫ですら、実は嫌いなものは残します。まして飼い猫なら、茹でたササミだったり、極上のマグロのお刺身だったり、様々なイチオシがあることでしょう。
ただ、最近、そんな伝統的なご馳走を尻目に、絶大なる支持を集めているおやつがあります。そう。あの液体タイプのおやつです。CMを見ているだけでも、猫たちの熱狂ぶりが伝わってきますから、猫にとってはよほど素晴らしい味がするものなのでしょう。
その顔を見ていると、猫も人間も変わらないとつくづく思います。やはり美味しいものを堪能することこそが、最高に気分を上げてくれる、最高に嬉しいことなのだ、と。
美味しいものはほどほどに
ただし、美味しいものには欠点があります。嬉しさのピークは食べた瞬間で、食べ終わると食べる前より切望感が増してしまうという欠点が。そして、期待値の上がったおかわりは、最初の時ほど美味しくはない。
おやつを追加して結局残されるのは、しばしば見られる光景です。執拗なおかわり攻撃をかわすのは大変ですが、「美味しいものは、物足りないくらいが1番いいのよ」と、猫にも自分にも言い聞かせた方がいいのかもしれませんね。
2.人間と楽しく遊ぶこと
実は、猫にとって美味しいおやつより嬉しいのが、誰かと一緒に遊ぶことです。猫は遊びが大好きですが、そのベースになっているのが狩猟本能であることはご存じの通り。つまり、猫にとっての遊びとは、「狩りごっこ」に他なりません。
しかし、もし、その時の動く遊び相手が「猫」だった場合、良い結果も期待できますが、悪い結果をもたらすこともしばしばです。出会いが上手くいかないと、「戦争ごっこ」に発展してしまうからです。また、極端な性格の差がある場合、一方的な「キツネ狩りごっこ」、つまりイジメに発展してしまう可能性もあり得ます。ですから、完全なネズミを演じてくれる飼い主さんとの遊びは、猫にとってはこの上もなく安心で、嬉しいことなのです。
おもちゃを使って
とにかくおもちゃを準備して、一緒にたくさん遊びましょう。遊ぶ時にはネズミや鳥になりきって自分も動き、長距離をダッシュさせたり、タンスの上に登らせるのがポイントです。もし思い切り運動させることができるなら(つまり「ちょっと待って。くたびれたから」と猫にいわせることができるなら)、遊ぶ時間は1日20~30分で十分です。
そうやって日常的に遊んでいれば、身体にも心にもいい効果が得られます。たまったストレスがあれば発散できて、もちろん飼い主としての株も大いに上がること間違いなしです。
3.グルーミングをされること
猫同士のグルーミングは、コミュニケーションの1つです。これは、相手を舐めてきれいにするというよりは、相手の気持ちをなだめ、争いを避けるためのツールです。しかも、「大好きだよ」という気持ちの表明でもありますので、舐めてもらう方は最高に嬉しい気分を味わっています。
ただし、人間が猫にグルーミングを行う場合、舐めてあげるわけにいきません。猫のようなザラザラの舌も持っていませんので、くしかブラシで代用するしかありません。そして、大抵の場合、ここで問題が発生するのです。
人間の下心が仇に
飼い主のもくろみとしては、せっかくブラシを使うのだから、ブラッシングをして毛並みを整えたいというのが本音でしょう。しかし、猫がしてもらいたいのはグルーミングであって、抜け毛取りではありません。そこをつい勘違いしてしまうので、ブラッシング大嫌いな猫になってしまうのです。
グルーミングのコツ
かくいう私も、ブラッシングは下手な方です。しかし、グルーミングなら自信があります。ブラシではなく、歯ブラシを使うのです。これなら抜け毛を取ろうとする野心が働かず、気持ちよさだけを提供できます。おかげで、仲良し猫を失って元気がなかった猫が、最高にご機嫌な顔をするようになりました。
この方法は、自分でグルーミングをするしかないひとりっ子には特にオススメです。ブラッシングの入門編としてもいいかもしれませんね。
4.誰かのそばでリラックスすること
猫の生涯のうち、本当に安心して眠れるのは、授乳中の母猫に抱かれている時だけかもしれません。ですから、もし母猫と同じくらい安心できる人ができたなら、猫は遠慮なくそばに行きます。野良猫ですら、ベンチで並んで座ったり、膝の上に乗ったりして居眠りをし始めることがあるくらいです。そんなに安心して大丈夫なのか心配になるほどですが、猫は目を閉じてとても幸せそうです。
一方で、「うちの飼い猫はベッドで一緒に寝てくれない。信頼されていないのかしら?」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、これに関しては、YESかもしれないしNOかもしれない、という答えしかありません。なぜなら、添い寝してくれない理由が「飼い主さんの寝相が悪いから」という物理的な問題である場合が多いからです。
猫のルールでリラックス
しかし、もし添い寝をしてくれない猫だとしても、飼い主さんのいる部屋で寝ていることが多いはずです。同じ空間で過ごすのは、猫なりの信頼の表現ですから、彼らはご機嫌な時間を過ごしているのです。仲間意識の強い人間にはちょっと分かりにくい猫ルールですが、是非その意図を感じ取ってあげてください。
5.大好きなお友だちに会えること
猫は、飼い主さんのことを「母親」だとして慕っていますが、特定の人や動物を「お友だち」として大切にしていることがあります。それは本当に特別な存在で、「お友だち」がやって来ると猫たちは遠くからでも目ざとく見つけ、走って行って出迎えます。そして、熱い歓迎セレモニーの後、しばらくそばを離れません。その姿は、「こんなこと私にはしてくれないのに」と飼い主家族がヤキモチを焼くほどです。
心から大好き
面白いのは、これが決しておやつで釣っているからではないところでしょう。とにかく「大好き」で「会えて嬉しい」のが、端から見ていてよく分かります。そして、そのお相手は、しばしばお散歩中の犬に向けられることもあるようです。
私は「犬と一緒に散歩に出ると、いつも野良猫が寄って来て大歓迎される」という経験をした飼い主さんを、少なくとも3人知っています。そして、それを実際に目にした時には、本当に驚きました。猫たちが遠くから鳴きながら寄って来て、犬に体当たりして挨拶するのです。
犬の方は少し困った風でしたが、それでもおとなしくされるがまま。飼い主さんもおやつをあげるでもなく、ただゆっくり歩いたり、時々立ち止まったりしているだけです。そして、しばらく一緒に歩いた後、猫たちは名残惜しそうに別れて行きました。
相手が人間にせよ犬にせよ、お友だちに会えた猫は本当に嬉しそうです。人間同士ですら、友人との縁は作ろうと思ってもなかなか作れるものではありません。もしあなたの猫に大好きなお友だちができた時には、是非その友情を大切にしてあげてくださいね。
まとめ
今日のねこちゃんより:かんぱち / ♂ / 雑種 / 1kg
猫にとって嬉しいことは、割とたくさんあるものです。どれが最高に嬉しいのかは、その時々で違うので敢えて順位はつけませんでした。ただ、意外なことに、おやつ以外は全部人間とコミュニケーションを取ることばかりです。
おそらくそれは、猫同士のような利害関係のない人間相手なら、リラックスした関係を築くことができるからでしょう。それほど猫は人間にフレンドリーな生き物なのです。これからももっとたくさん触れ合って、嬉しい時間を猫と分かち合っていきたいものですね。