猫と暮らした後じゃないとわからない『大変なこと』5選

猫と暮らした後じゃないとわからない『大変なこと』5選

猫は本能的な行動を摂ることが多く、それ故にマイペースです。猫とともに暮らすということは、実際に生活してみないと分からない大変さがあります。愛猫と良好な関係を築くために今回は、その大変さを敢えて紹介していきたいと思います。

「猫ってこんなに大変なんだ!」と感じること

見つめる子猫

猫との暮らしは楽しいことばかりではありませんでした。初めて猫と暮らすと、その謎めいた行動に日々驚かされます。

猫を薦める理由として「手がかからない」と言われますよね。しかし、実際には「猫も手がかかる」が正解なのでしょう。猫は我々と同様に生きています。命ある存在とともに暮らすということは、やはりそれなりに大変なことがあるのです。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しても時既に遅しです。猫と生活し始めた以上は、愛猫が天寿をまっとうするまで大切に育てなければなりません。そこで、猫と過ごす中で意外と大変だと感じることをいくつかご紹介いたします。

1.猫も甘えてくる

抱きつく猫

恐らく一番驚くことは、猫が甘えてくることではないでしょうか?猫はクールで、同じ空間にいても、人には無関心なイメージが強いと思います。だから、甘えん坊という言葉とは無縁な存在に思えるでしょう。「犬は人につき、猫は家につく」という諺も、猫という動物から連想されるイメージが背景にあったのでしょう。

しかし、実際には猫も人に懐きます。家ではなく飼い主さんに愛情を求めてくるのです。スマホやPCを操作していると邪魔をしてくるのは、飼い主さんに強い関心を寄せている証です。よって、適切にスキンシップをはかることが大切なのです。

2.毛玉を吐く

毛繕いをする猫

猫は体臭がほとんどありません。それは、猫には毛繕いという習慣があるからです。猫は天敵から身を守るために、毛繕いによって自分自身のにおいを消しています。これはいわば本能的な行動です。

短毛種の場合、基本的にはシャンプーの必要性がない理由もこの毛繕いによって身なりを清潔に保つことができるからです。

しかし、毛繕いには一つ代償を伴います。それが毛玉を嘔吐することです。猫はよく吐きます。そして、それを知らずに足で踏んでしまうというアクシデントも発生します。猫と暮らすのであれば、ある程度覚悟しておいてください。

3.換毛期には被毛がよく抜ける

ケアを受ける猫

猫には年に2回、3月と11月頃に換毛期があります。これは暑さが厳しい夏と、反対に防寒対策が必要になる冬に備えて被毛が生え変わるのです。この時期には通常と比べ被毛がよく抜けます。

この時期は衣類や絨毯などに被毛が付着するため、粘着ローラーがよく活躍します。しかし、手入れを必要としているのは人間だけではありません。

換毛期は、特に長毛種の猫と暮らす場合は、最低でも1日に2回はブラッシングを必要とします。その理由は毛球症を予防するためです。毛球症は、毛繕いによって飲み込んだ被毛の排出が追いつかずに、胃や腸に詰まる病気です。最悪の場合は手術が必要になったり、命を落としてしまう場合があります。

通常では長毛種にリスクのある病気ですが、換毛期は短毛種でも気をつけたい病気です。この時期は意識的にブラッシングを行いましょう。

4.高い場所を好み、平気で登ってしまう

観察する猫

猫と暮らすと、優れた身体能力に度々驚かされます。中でも跳躍力は、思わず息を飲むほど見事です。しかし、猫には意外な弱点があります。それは降りることは苦手であることです。登ることはいとも簡単に成し遂げるのにも関わらず、場所によっては自力で降りられなくなる場合があります。

飼い主さんが抱き上げて救出することが不可能な場所には、予め登れない工夫を施す必要があります。そしてカーテンや棚、テレビは猫にとっては魅力的なアスレチックです。破壊の恐れがある他、猫や飼い主さんが怪我をする恐れがあります。そこでキャットタワーを設置したり、登っても良い棚を確保するなどの措置をとりましょう。

5.壁や家具がボロボロになる

爪を研ぐ猫

猫が嫌煙されてしまう理由の一つが、爪とぎによる破損行為です。飼い主さんの顔を見ながらバリバリと爪を研ぐ様は、一見すると嫌がらせをしているように感じられてしまうかもしれません。

しかし、猫にそのような意図は全くありません。これも習性の一つです。猫が爪を研ぐ理由は主に次の4つです。

  • マーキング
  • 気分転換
  • 鋭い爪を維持する
  • 構ってほしい

これらに嫌がらせの要素は見受けられません。むしろ、叱責してしまえばストレスの原因になってしまうような理由ばかりです。そこで、猫用の爪研ぎ場所を用意してあげましょう。猫も褒めて伸ばすことが大切です。適切な場所で爪を研いだときには褒め言葉を積極的にかけるようにしましょう。

猫と暮らす幸せとは

鼻を舐める猫

これまでは、猫と暮らす大変さについて紹介してきました。「えっ、5つもあるの?」と驚かれた方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際には他にもまだあります。ここで紹介した5つはほんの一部にすぎません。

では、猫と暮らすことで感じる幸せとはどのようなものがあるのでしょうか?2017年にはこれまで不動のトップを誇っていた犬の人気を追い越しました。次は、犬よりも大変そうなイメージの強い猫が持つ魅力についてご紹介いたします。

強い絆で結ばれる

猫は警戒心が強い動物です。よって、最初から良好な関係が築けるとは限りません。一緒に暮らしているのに距離を感じる寂しさが先立ってしまうかもしれません。この時期は言い知れぬ不安や、もどかしさを感じるでしょう。

それでも諦めないでください。毎日のお世話や声かけは確実に愛猫の心に届いています。猫はゆっくりと時間をかけて関係を築きあげていきます。

子育ても手がかかればかかった分、成長したときの喜びはひとしおでしょう。猫との関係もそれに似通ったものがあります。愛猫が心を許してくれた喜びは大きいものです。猫は飼い主さんのことを信頼すると、母のように慕うようになります。そして、結ばれた強い絆は天寿をまっとうするまで途絶えることはありません。

撫でているだけで幸せを感じる

猫を撫でると、不思議と幸福感が得られる気がします。それは、単なる気のせいではなく根拠があります。

ふわふわと柔らかい猫を撫でていると、脳内でオキシトシンという物質が分泌されます。これは通称、幸せホルモンと呼ばれています。これは赤ちゃんの顔を見て幸せを感じることに類似した現象です。

オキシトシンには、ストレスの緩和・不安や恐怖心の減少・感染症予防・心機能の向上などの作用があります。つまり猫を撫でるという行動が、幸福感を得られるだけに留まらず、我々の健康維持に大きな影響を与えるのです。

室内が清潔に保たれて健康的になる

犬は散歩という習慣が運動不足の解消に繋がり、健康な体へと導いてくれます。猫は全く異なる観点から我々を健康体へと導きます。それは、掃除をする習慣が身につくことです。

猫は綺麗好きな動物です。猫用のトイレだけではなく、室内全体が清潔に保たれていることで快適に過ごすことができます。愛猫の健康維持のためにも室内は清潔にしておくことが好ましいのです。

そして、その環境は人間にも良い影響を与えます。室内の埃やハウスダストは、アレルギーや感染症の原因にもなります。掃除をする習慣が身につくことで、これらの予防にも繋がるのです。猫と生活をともにすることで、自ずと飼い主さんも綺麗好きになれるかもしれません。

優しく寄り添ってくれる

猫は気まぐれですが、不思議と落ち込んでいるときにそっと寄り添ってくれます。この理由は、普段とは異なる飼い主さんの様子に異変を感じ、様子を見に来ているということが真相です。

真実を知ると少々残念に思うかもしれません。しかしポジティブに捉えれば、異変を察知できるほど飼い主さんに関心を寄せてくれているということになります。

また、我々自身もことの真相はともかく、この行動によって心が救われる事実はほかならないでしょう。そっと寄り添ってくれたときは、感謝して優しく撫でてあげましょう。先ほど紹介したオキシトシンの効果により、少しずつ穏やかな気持ちへと切り替わるはずです。

愛猫と良好な関係を築くためにできること

顎乗せする猫

猫との生活が初めてである場合、不安に思うことはたくさんあるでしょう。特に大変なことに目を向けてしまうと尚更です。謎多き猫と良好な関係を築くには何を意識すれば良いのでしょうか?ここからは、日常生活の中で心がけてほしいことをご紹介いたします。

トイレ掃除はこまめに行う

猫の排泄物は驚くほど強烈な臭いを放ちます。これは、猫が肉食動物であるが故の事情です。この臭いが部屋中に染み込むのではないかと不安になるレベルです。

しかし、安心してください。飼い主さんがこまめに排泄物を除去し、最低でも1ヶ月に1度はトイレを丸洗いして砂を新しくすることで、悪臭は解消されます。また、ペット用の消臭スプレーや、ウエットシートでトイレの周りを拭き取ることでも臭いは軽減されます。

悪臭を放つのは、排泄をした直後がピークです。猫は丁寧に砂をかける習慣があるため、その後の臭いは落ち着きます。よって、職場や学校から帰宅した後に掃除をすれば再び綺麗な状態に戻ります。

猫は所定の場所でのみ排泄をする動物です。トイレの躾はほとんど必要がないという部分は非常に助かります。その代わり、トイレ掃除を怠ると粗相をしてしまうことがあるので要注意です。

猫語を理解しよう!

猫はボディランゲージで感情を表現します。猫の気持ちがイマイチ読み取りにくいのは、表現が独特だからです。そこで重要なボディランゲージ、いわゆる猫語を理解しましょう。

  • しっぽを立てる:喜び親しみ
  • 目を細める:リラックス状態
  • 耳を横にする:警戒
  • 瞳孔が大きくなる:興奮
  • 耳を後ろに倒す(イカ耳):怒り
  • しっぽを左右に激しく振る:機嫌が悪い

これらは猫の基本的な感情表現になります。これを理解することで、愛猫の気持ちに寄り添えるだけではなく、飼い主さんが怪我をするリスクが減少します。

一つポイントを挙げるならば、最後のふたつの動作です。これらは犬の喜びを表す仕草に似ています。今まで犬と暮らしてきた方が猫と暮らす場合は、真逆の意味であることを意識するようにしてください。

猫が甘える仕草を覚えよう!

最初の項目で「猫も甘える」と紹介しました。しかしここでも、猫語を知らないとそのサインに気づくことができません。そこで、猫が甘えているときの仕草を列挙します。

  • 頭を擦り付けたり、頭突きをする
  • ゴロゴロと喉を鳴らす
  • 前足でマッサージするような仕草をする
  • お腹を見せてゴロンと転がる
  • 声にならない声で鳴く(サイレントニャー)

猫がマッサージをするような行動は「ふみふみ」と呼ばれています。このふみふみと、喉を鳴らす行為、サイレントニャーは何れも母猫とのコミュニケーションとして取られていた行動の名残りです。

これらの行動は、自立した猫には見られないこともありますが、甘えん坊な性格の猫や親離れが早かった猫にはよく見られます。さらに母猫を連想させる存在の対象でのみ現れます。つまり、飼い主さんに対してこれらの行動を取るということは、 飼い主さんが母猫のように安心できる存在であることを意味しています。

健康上、問題がなければ避妊・去勢手術をする

猫の困り行動のひとつにスプレー行動があります。いわゆるマーキングです。スプレー行動では、壁や家具などに尿を噴射します。しかも、マーキングの尿は通常の尿よりも強烈な臭いを放ちます。

これは、縄張り意識が強いオス猫が主にする行動になります。しかし、メス猫も例外ではありません。例別に関係なく見られる行動であると認識しておきましょう。

さて、本能的な行動とはいえ、人間にとって迷惑行為になるスプレー行動は解決できるのでしょうか?それは生後6ヶ月~1歳、遅くても2歳程度までの間に避妊・去勢手術を受けさせることです。

この手術には賛否両論があります。一見すると人間のエゴのようにも感じられるでしょう。しかし、メリットはスプレー行動の予防以外にも、生殖器系の病気を予防する役割も果たします。

手術には全身麻酔を用いるケースが多いこと、手術によって100%迷惑行為が解消される保証はないことなどのデメリットがあることも同時に理解しておいてください。リスクを考慮したうえで健康上の問題がなく、繁殖を望まない場合は検討してみてください。

人間にとって猫とは

挨拶する猫

ここまで猫と暮らす大変さや、幸せを感じる理由などを紹介してきました。そして、ここからは人間にとって猫とはどのような存在なのかについて考えてみたいと思います。

猫は人間のように言葉を交わすことはできません。しかし、日常で用いる言葉であれば猫にも理解することができるようになります。積極的に優しい言葉をかけてあげましょう。その想いは猫に届き、猫も猫語を用いて応えてくれます。

猫は単独行動で生きる動物でありながらも、人間との交流が長い場合は永遠の子猫的存在になります。飼い主さんとの強い結びつきを求める、慕ってくれるでしょう。

その愛情表現が独特で、時にはトラブルも引き起こすかもしれません。猫は脳科学的な視点から見ても、本能的な行動が中心であることが分かっています。それはつまり、躾が困難であることを示します。

しかしその弱点を逆手にとり、日常生活の中で工夫することで乗り越えることができます。でも結局は、猫と暮らすということは猫に飼われる覚悟をするということなのです。この境地に至ることができれば、猫はかけがえのない存在になります。

まとめ

パルム

個人的な話になりますが、筆者はとある保護猫と出会うまでは猫が苦手でした。偶然出会ったオス猫と生活をスタートした後も、その謎めいた猫の行動の数々に悩み心が折れそうになったこともありました。

しかし、それを克服できたのもやはり彼(猫)のおかげです。怖がる私に構うことなく寄り添い、布団の中で一緒に眠ってくれました。そして、気づけば猫が怖い対象ではなくなっていました。

彼は10歳で、脳腫瘍のため虹の橋へと旅立っていきました。別れはとても辛く悲しいものでしたが、たくさんのことを学びました。

今、こうしてこの記事を書かせて頂いていることも彼と出会えたからこそ巡り会えた縁だと感じています。猫と暮らすということは理想論が通るほど簡単なことではあります。

しかし、猫は猫が苦手だった人間の心を動かすほどの魅力を持っています。ご縁があれば、少しでも多くの猫たちと人々が幸せに結ばれることを願います。

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