ちゃんと理由がある!『猫嫌い』になる理由と対処法

ちゃんと理由がある!『猫嫌い』になる理由と対処法

人々の猫への関心が高まる一方、猫好きに囲まれて猫嫌いを公言できずにいる人々もいるでしょう。猫に対する苦手意識が強い人にはそれなりの理由があります。今回は、猫嫌いの人の目線に立った猫の認識についてご紹介いたします。

今や表立って言えない!猫が苦手な人々の心境

怒る猫

2017年に、とうとう猫が犬の飼育頭数を追い抜きました。それほど現代では猫に注目が集まっています。しかし、その一方で猫が苦手という方もいらっしゃるでしょう。なぜ、これほどまでに猫が人々に好かれるようになったのか全く理解できないと本音では思っているはずです。ただ、周囲に猫好きが多いとなかなか公言できないでしょう。そのような密かに猫に対して苦手意識を持っている人々の心境について触れてみたいと思います。

猫のここが苦手!「ルックス編」

ベンガル猫

猫が苦手な方は、まず猫のルックス自体に苦手意識を持っていることでしょう。このように、見た目が苦手という方は、猫を見るだけで鳥肌が立つほど恐怖を覚えるかもしれません。特に苦手意識を持たせてしまうポイントは次のようなものが挙げられます。

野性的な模様と体型

猫の魅力といえば、バリエーション豊富な模様でしょう。中でも最も多いのはトラ柄です。次いでハチワレ模様の猫が日本には多く存在します。猫が好きな方であれば、これを魅力と表現することができますが、苦手な方にとってはそうは思わないでしょう。特にトラ柄は野生動物を連想し、更に細長い手足がよりそのイメージを引き立てます。動物園にいるトラのように危険な存在ではないと理解しつつも、認識的には同等の存在として見てしまう部分があると思われます。

暗闇で怪しく光る目

そして、猫の目は暗闇で怪しげな光を放ちます。これは「タペタム」と呼ばれるもので、夜間でもより多くの光が取り込めるように備わった機能です。薄暗い時間帯に活発になる猫にとっては必要不可欠なものですが、それが恐怖を煽る原因になってしまいます。実際に夜間に猫に遭遇し、自転車や車のライトにタペタム反射した結果、怪しく光る眼差しでこちらを見てきても攻撃してくることはありません。

鋭い爪や牙

また、猫というと鋭い爪や牙も怖いと感じるでしょう。それらで襲撃してくるのではないかと思うと、なるべく猫に接近しないようにと警戒するはずです。しかし、理由もなく猫が人を襲うことはありません。猫が苦手な方は誤解している部分も多いのです。

よく陥りがちな誤解については後ほどご紹介いたします。猫は癒しの存在と、猫を愛でる人々はいいます。しかし、ルックスが怖いと感じる人々にとっては何が癒しなのか理解するのは困難なことなのです。

猫のここが苦手!「行動編」

伸びをする猫

ルックスが怖いというのは序の口です。まだまだ苦手意識を持つ理由はたくさんあります。それが、次に紹介する猫の謎めいた行動の数々です。ここでも、猫が好きな方には見ているだけで癒されるものが多いでしょう。しかし、苦手な方にとっては全く癒されることはありません。それでは、猫が苦手な方が苦手を通り越して嫌いになるかもしれない猫の行動についてご紹介いたします。

ゴロゴロという謎の音を立てる

猫は、おもむろに人に近づいたかと思うと、「ゴロゴロ」と謎の音を立てながら頭を擦り付けてくることがあります。そして激しくなると頭突きまでしてきます。まず謎の音については、猫がリラックスしたり幸せを感じているサインです。その他にも母子間のコミュニケーションツールや、体調不良を訴えている場合にも、この音を喉から発します。そして、この音には骨折の回復を早める効果が期待されているなど本来は癒し効果のあるものです。しかし、そうはいうものの、聞き慣れない方にとっては不快に感じてしまうかもしれません。少なくとも敵意はないと思ってください。

頭を擦り付けたり頭突きをする

猫が人に頭を擦りつけたり、頭突きをすることも攻撃の意図はありません。むしろ信頼された人に対してとる行動です。猫の頬には自らのにおいを放つ臭腺があります。これを人につけることでマーキングを行うのです。マーキングというとあまり良いイメージは湧かないでしょう。でも安心してください。たとえ頬や額を付けてきても、人間には無臭であり実害はありません。これは、においを残すことでその人を自分の縄張りに取り入れようとしているのです。その理由は簡単です。その人を独占したいと思うほど大切な存在だと思っています。最も、猫が嫌いであれば傍迷惑な話でしょう。でも猫にとっては、案外それがポイントになることがあるのです。これも後ほど詳しく説明させていただきますので、楽しみにしていてください。

バリバリと音を立てながら爪を研ぐ

さて、猫の爪とぎもまた恐怖を煽るものでしょう。こちらをチラッと見たかと思うと、バリバリと音を立ててつめを研ぎ始める。このような光景に出くわしたら大変です。まるで奇襲をかける準備のように思えるでしょう。しかし、これもまたマーキングの一種です。猫がその場所を通過した形跡を残しています。また、古い爪から新しい爪に脱皮する際にも見られます。爪を研いでいるからといって、即座に襲いかかることはありません。

いよいよ襲撃開始かと思わせる豪快なのび

猫が伸びをする理由も攻撃の前兆ではありません。人間も何かに集中し、一段落したときや、気持ちを切り替えるために伸びをします。それは猫も同じです。猫の伸びは、まるでヨガをしているかのように優美な光景です。これも猫好きの目線であり、猫が苦手であればとてもそのように感じることはできません。

一心不乱に毛布をふむ(通称ふみふみ)

猫の行動の中で、最も不可解なのはふみふみと呼ばれる行動でしょう。真剣な顔つきで、一心不乱に毛布を踏む姿は恐怖心よりも奇妙な光景です。これは、猫が母猫を思い出しているときに見られる行動です。子猫は母乳を飲む際に、母乳の出具合を良くするために母猫のお乳を揉むのです。まだ幼くして母猫と引き離されてしまうと親離れができておらず、時々このような行動を通して思い出しています。理由を知らないと単なる不可解な行動ですが、蓋を開けてみると奥深い世界が拡がるのです。

猫嫌いな人が陥りやすい誤解

観察する猫

猫に対する苦手意識が強いということは、先入観も強く多くの誤解も生じてしまいます。「誤解」という言葉すら疑問に思うほど、猫はミステリアスな生き物です。しかし、先ほど紹介した行動にもあるように、猫は突然人間に襲いかかるような危険な動物ではありません。ここでは、猫嫌いな人々が陥りやすい誤解について紹介させていただきます。

猫だって人間が怖い!

鋭い爪や牙を持ち、更に優れた身体能力を持ち合わせる猫は、向かうところ敵無しと思っていないでしょうか?それはあり得ません。猫にとって人間は何十倍もの体格差があります。これは、例えるなら熊と人間が対峙するようなものです。たとえ武器を潜ませていたとしても、熊と遭遇してしまうと恐怖心から尻込みしてしまうでしょう。猫も人間が怖いのです。だから、理由もなく攻撃することはありません。

初対面の猫は目が合うと、目を逸らすでしょう。これは、喧嘩をする意思はないと伝えてきているのです。猫は人間が思うよりも遥かに賢い動物です。過去の経験や、母猫の教育から、見知らぬ人間には無闇に近づかず襲撃してはならないと学んでいます。よって、猫が人間を攻撃をする際は死を覚悟するほど最終手段なのです。

猫は懐かない

猫が嫌いという方の中には、犬は好きというケースがよくあります。犬は群れ社会で生きる動物であるため、社交性の高い行動を取ることが可能です。更に自分よりも立場が上であると認識する相手に対して、その者の指示に従って動きます。だから犬は人に懐き、躾が可能な賢い動物として人気があります。

一方、猫は群れを作らず単独で行動する動物です。よって、誰かの指示を仰ぐのではなく全て自分で判断しなければなりません。この要素が、猫が懐かず躾が不可能だといわれる所以です。実はここに誤解があります。猫は人間のように巧みに言語を操り、言葉によるコミュニケーションを取ることはできません。しかし、ボディランゲージによってたくさんのメッセージを伝えています。いくつか例を挙げてみます。

  • 見つめる、ゆっくり瞬きをする:愛情表現
  • しっぽをピーンと立てる:喜び
  • 耳を寝せる(いわゆるイカ耳):警戒や恐怖
  • しっぽをバタンバタンと叩きつける:怒り
  • 目を見開く(瞳孔が大きくなる):興奮
  • お尻をフリフリする:跳躍の前兆(助走の役割)

猫は、耳やしっぽの動きをはじめとし、瞳孔の大きさや身の振り方を用いて感情を表出しています。ここで特に注意する点は、「耳を寝せる」「しっぽをバタンバタンと叩きつける(左右に激しく振る)」行動です。これは犬でいう喜びのサインに類似して見えます。しかし、これは恐怖や警戒、更に怒りを表すサインです。犬とは真逆に位置する行動なのです。

一方で、じっと見つめたり、しっぽをピーンと立てているときは愛情や喜びを表しています。猫も人間に対して友好的で愛情を伝えてくれる動物なのです。驚くことに猫は、よく耳にする言葉を音や雰囲気から理解することができます。つまり、好ましくない行動に対して「ダメ!」や「痛い!」など単純な単語を、一定の口調で伝えることで徐々に頻度が減少します。また、「いい子だね」や「可愛い」などの褒め言葉に対しても積極的な反応を示します。

よって、根気強く接することで躾も全く不可能ではありません。ただし、気分屋な一面があることには変わらず、犬のようにスムーズにはいかないでしょう。その理由については次に続きます。

猫は度を越したワガママ!?

猫が豊かな感情を表出(心の中で思っていることを表現する)ことができるのは、大脳の構造に秘密があります。大脳は、大別すると大脳辺縁系とその表面に大脳新皮質という構造に別れます。大脳辺縁系は感情や記憶、自律神経系を司っています。意外なことに、猫はこの大脳辺縁系の構造が人間に近いといわれています。だから、表現方法こそ独特ではあるものの、豊かな感情を表すことができるのです。

一方、理性的な行動を取る判断をする大脳新皮質は人間のようには発達していません。猫が我が道をゆくような行動を取る理由は、単純に群れを知らないというだけではなく、脳の構造にも原因があるのです。よって感情をコントロールしたり、行動を制御するような理性的な行動が苦手なのです。

人間に関心がない

猫には猫独自のコミュニケーション方法を持っていて、感情を司る脳の構造が人間に近いとしても、人間そのものには関心がないと思われるでしょう。実はこれも大きな誤解です。猫は人間の行動にとても興味を示します。猫は幼い頃から人間と暮らすことで、飼い主さんを母猫やきょうだい、同年代の仲間のような関係として見るようになります。ここで気づくかもしれませんが、猫は犬のように縦社会はありません。母猫やボス猫は目上の関係でも、それ以外は横の繋がりや、きょうだいのように横でも縦でもない、いわば斜めのような繋がりを持つのです。

そして人間を人間と認識するのではなく、体が大きく成長し過ぎてしまった運動神経の鈍い猫という認識を持っています。つまり、基本的にはネコ科の仲間であると考え、関心を寄せてきます。猫が素っ気ない態度を取るのは本能的な理由から、無関心なように誤解するのは感情表現がイマイチ伝わりにくいためです。猫も人間に関心を持ち、時に真似てみたり我々の行動に対して何かしらの反応を返してくれるのです。

猫は臭い

猫が室内にいると臭いとおっしゃる方がいます。確かに、猫の糞尿には強烈な臭いがあります。これは、元来砂漠で生活していたことが関係しており、こまめに水分補給をする習慣のない猫の尿は凝縮されてしまいます。つまり、とても濃い状態なのです。更に便がとても臭うのは、猫が肉食動物だからです。これらの理由から、とても臭いというイメージが強く印象に残るのでしょう。

しかし、猫はとても綺麗好きで、警戒心が強いためにおいを消す習性を持っています。猫がよく毛繕いをする理由もこれに該当します。猫の体そのものは本来悪臭を放つことはありません。体が臭う場合は、強いストレスを感じているか病気の可能性が疑われます。よって、猫が臭いのではありません。問題は糞尿の始末です。

家庭で健康な猫が生活する場合、室内が臭いのは人間に問題が有る可能性が高いといえます。最低でも1日2回はトイレを掃除している家庭では、臭いが軽減されます。更にトイレを使用したことに気がついた時点で掃除をすることで、ほとんど臭いが残らなくなります。臭いが気になる場合は、ペット用の除菌シートでトイレ周辺の床を拭き取ることでより効果を発揮します。工夫次第で、猫の臭いは防ぐことが可能なのです。

猫嫌いを克服したい場合の対処法

人と見つめ合う猫

これまで紹介してきた内容から、不可解かつ奇妙な猫の行動にも理由が存在し、少し誤解が解けたでしょうか?まだ好きにはなれないけれど、もう少し猫を身近に感じてみたいと思った方に、猫への苦手意識を軽減させる方法をいくつかご紹介いたします。

猫について調べてみる

リサーチする猫

今回、紹介してきた猫の行動や感情表現についてはほんの一例に過ぎません。他にも様々な行動や感情表現があります。まずは、「猫 行動」や「猫 感情表現」などのワードを元に検索してみてください。より猫についての理解が深まるでしょう。

猫の動画を観る

テレビを観る猫

猫についての理解が深まったら、動画や写真を鑑賞してみましょう。文章で読むよりも、行動や愛情表現が伝わってくると思います。また、まったりと過ごす猫の様子を見ると野性的な怖い一面が嘘のように感じられるでしょう。最初は子猫の動画から観ることをおすすめします。

人間にも備わっている「小さな存在を守りたい」という本能から、子猫は恐怖の対象ではなく、尊い存在のように感じやすい傾向があります。そして、子育ての様子も見てください。母猫の逞しさと、子猫への愛情の深さに驚くでしょう。このように段階を踏みながら鑑賞することで、少しずつ愛おしさを感じることができるかもしれません。

実際に猫と関わってみる

テーブルの上の猫

猫を愛おしい存在と思いはじめたら、実際に猫と触れ合ってみましょう。少々ハードルが高いかもしれませんが、猫カフェに足を運ぶことをおすすめします。猫カフェには猫に詳しい人間スタッフと、人間に慣れた猫スタッフがお客様を出迎えてくれます。

不安が強い方は、短時間での利用が可能な場所を選択しましょう。そして入店時に、猫と関わること自体が初めてで、不安があると伝えるようにしましょう。この一言が大切です。事情を理解した人間スタッフさんが、丁寧に猫への接し方や猫の行動について教えてくれるので大丈夫です。また猫も人に慣れているため、嫌がることをしない限りは怪我をするリスクは少ないでしょう。

猫は大型の長毛種のほうが、おっとりした性格をしている傾向にあります。もちろん個体差はありますが、まずは落ち着いた野性味の少ない猫と触れ合うことがおすすめです。猫カフェ利用に関しては、各店舗のルールを必ず守るようにしてください。一定の規則に則って運営することで、猫と人両方の安全性が保たれています。

猫と暮らしてみる

窓の外を見る猫

猫を知り、猫と関わる中で、猫と暮らしたいという気持ちが芽生えたら、猫と暮らすことでより理解が深まります。猫との信頼関係や絆を強めることも可能になります。ただし、これは本心からそのように思えるようになってからにしてください。興味本位から猫と暮らすことを決めてしまうと、生活の維持が困難になる恐れがあります。猫にも命があること、心があること、子猫から暮らした場合は平均で15年生きることなどを理解したうえで慎重に判断してください。

そして、意思が固まったら保護猫カフェに行くことをおすすめします。保護猫カフェは、通常の猫カフェのように猫と触れ合うだけではなく、譲渡の条件や、トライアル(お試し)期間をクリアすることで気に入った猫と暮らせるようになります。猫を自分の家族のように迎え入れることで、更に愛情が芽生え、多くの経験を積むことができるでしょう。

まとめ

不満げな猫と男性のシルエット

元々、猫が苦手な方が猫好きになるのは簡単なことではありません。そして、無理に好きになる必要はありません。人間誰しも苦手とすることや、克服することが難しいと感じるものがあるのは自然なことです。実際問題として、猫ブームが猫を路頭に迷わせる引き金になり、いわゆる野良猫と呼ばれる猫が庭で排泄してしまう問題は課題のひとつです。

今現在、猫の保護活動を通して避妊・去勢手術を施し、地域猫として暮らす猫も多く存在します。なぜわざわざ保護した猫をまた地域に返すのか疑問に思われるかもしれません。これには深い事情があります。長きに渡り野良猫として生きてきた猫は、人間との生活に適応することが困難な場合があるのです。だから、辛い思いをする猫が増えないように予防(手術)したうえで、ボランティアさんが動向を見守るのです。とある猫島では猫の公衆トイレを作り、糞尿トラブルに対応しています。

この事例を元に、各地域でも解決策を検討する必要があるでしょう。今現在猫が苦手な方、もしくは嫌悪感が強い方にお願いがあります。それは、誤解から猫を虐げる行為だけはしないでほしいということです。猫について知り、保護猫活動を日々懸命に励む人々がいることを知っていただけるとありがたいです。結びに、猫ブームが単なるブームとして終結せず、人と猫が共存できる社会になるきっかけになることを願います。

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