子猫を病院に連れていく時にする6つの検査項目と費用

子猫を病院に連れていく時にする6つの検査項目と費用

子猫の具合が悪くなければ動物病院に行く機会がないと思われがちですが、動物病院は定期健診や相談の場でもあります。子猫はまだ体が未熟であり特に外で拾った子猫は感染症にかかっている可能性があるため早めに動物病院にて健康状態をチェックする必要があります。動物病院では健康チェックする際にどんなことをするのでしょうか?またその際にかかる費用や子猫を病院に連れていけない場合の対処法などをまとめてみました。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

病院でしてくれる子猫の健康チェック

病院にいる子猫

1.視診や触診などの一般身体検査

  • 鼻水、クシャミ、目やにの有無
  • 栄養状態
  • 熱の有無
  • 乳歯が生えているか確認
  • 元気、食欲の有無
  • 下痢や嘔吐をしていないか確認

子猫は体力も免疫力も弱いためすぐに体調を崩しやすく感染症にかかりやすいです。そのためたとえ元気でも動物病院にて子猫の健康状態を確認し、先天性の病気がないかどうかも診る必要があります。子猫は猫カゼにかかりやすく鼻水やクシャミ、目やにの症状がよく見られることが多いため注意が必要です。また病院では診察時に猫の体を触診し栄養状態は良好なのか、熱はないか、乳歯がちゃんと生えているか(成長時期に合わせて永久歯の生え変わり)などのチェックをおこないます。その他にも飼い主さんから元気・食欲の有無や下痢・嘔吐の症状がないかなどの問診し現在の猫の健康状態をチェックします。

2.ウイルス検査

  • 猫白血病ウイルス感染症
  • 猫免疫不全ウイルス感染症

外で拾った子猫や保護団体から譲ってもらった子猫は猫白血病ウイルス感染症や猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)にかかっている可能性がゼロではありません。そのため動物病院では子猫が感染症にかかっていないか血液検査で調べることができます。これらの感染症は他の猫にうつるため同居猫がいる場合は飼育環境を変えなくてはいけません。

3.ワクチン接種

  • 最低2回接種する
  • ムーンフェイス、下痢、嘔吐、発熱、アナフィラキシーショックがないか注意する

生まれたばかりの子猫は母猫の母乳から免疫を得ていますが離乳時期になると徐々に母親からもらった免疫が下がってしまい様々な感染症にかかりやすくなります。また外で拾った猫は母親と直ぐに離れている可能性があるため十分な免疫力がない場合もあります。そのため免疫力をつける必要があるため動物病院でワクチン接種をすることができます。しかし子猫の場合は1回のワクチン接種で十分な免疫力をつけることができないため1ヶ月後にもう1回再接種する必要があります。ワクチン接種だけでも最低2回は病院に受診しなければいけません。

ワクチン接種する際は健康な状態を確認した上で打ちますが、ムーンフェイスや下痢・嘔吐・発熱・アナフィラキシーショックなど副作用が出ることがありますので、できればワクチン接種は午前中におこない、ワクチン接種後30分間は病院内にいるようにし子猫の状態に異変はないかチェックすることをすすめます。少しでも異常を感じた場合は病院スタッフに声をかけてください。

4.ノミ・ダニに感染していないか検査

  • 赤み、フケ、脱毛の有無
  • 耳の中が汚れていないか確認

外で拾った子猫や保護猫はノミやダニに感染している可能性があります。病院では猫の触診中に皮膚や耳の中をチェックをし、皮膚に赤みやフケ・脱毛がないか、耳の中は汚れていないかなどの確認をおこない寄生虫がいないか検査をします。また飼い主さんから皮膚や耳の痒みがあるかどうかなどの問診をおこない皮膚や耳の状態を確認します。寄生虫による感染症の中には人にうつるものもあるため子猫を保護・家に迎えいれたら直ぐに病院に受診し検査することをすすめます。

5.便検査

元野良猫は回虫などの内部寄生虫に感染している可能性があります。動物病院にて子猫の便から内部寄生虫に感染していないか調べることができます。子猫の頃はたくさん栄養をつけて大きく成長しなければいけない大事な時期ですが内部寄生虫に感染していた場合、栄養吸収を妨げられ栄養障害をおこしてしまい軟便〜下痢をするようになります。子猫を動物病院に連れていく際に便を持っていくとよいです。

6.年齢・性別の確認

拾った子猫は生後どれくらい経っているか分かりません。子猫の時期は毎日どんどん成長していくので、おおよその年齢を把握する必要があります。病院にて子猫の体格や体重、乳歯などからある程度の年齢が分かることができます。

また子猫の性別も分かるため、去勢(避妊)手術のタイミングなども知ることができます。特にオス猫は2つある睾丸がちゃんと陰嚢内に下りているかチェックする必要もあるため病院にて確認をおこないます。

子猫を病院に連れていく時のおおよその費用

病院で診察台に乗っている子猫

動物病院でかかる費用の例

実際に私が勤務している動物病院でかかる費用をいくつかまとめてみました。病院によって費用が異なるのであくまでも参考にしてください。

  • 初診料1500円
  • 診察料1000円〜1700円(症状に応じて変動)
  • 便検査900円
  • ウイルス検査3200円
  • 猫3種ワクチン5300円(子猫は最低2回接種が必要)
  • 駆虫薬(2回分)600円(体重によって変動)
  • 耳ダニ駆除薬(予防)2800円(メーカーによって変動)
  • ノミダニ駆除薬(予防薬)1000円~2000円(メーカーによって変動)

子猫の診察で多いのが一般状態(栄養状態や皮膚・目・鼻・耳など異常がないか)、ワクチン接種、乳歯または永久歯の確認、オス猫の場合は睾丸の確認などです。

特に外で拾った子猫や保護猫はウイルス検査や便検査をする必要があります。もし子猫が何かしらの寄生虫や感染症にかかっていた場合は症状に応じてその分治療費がかかります。

事前に病院へ確認をするとよい

初めて子猫を動物病院に連れていく時に初期費用がいくらかかるのか多くの方が気になると思います。しかし動物病院によって診察料や検査費用等に差があります。最近では多くの動物病院のホームページに料金表が記載されていますので事前に確認したり、あるいは直接動物病院に電話するのもよいでしょう。その際に子猫の年齢(あるいはいつ子猫を拾ったのか)、症状、いつ病院に受診したいかなどを伝えておくと当日スムーズに診察することができます。また病院によってはクレジットカード対応や窓口精算できる保険会社があるのでチェックしておくと金銭トラブルを防ぐこともできます。

子猫を病院に連れていく方法

病院に行くかごに入っている子猫

必ずキャリーバッグに入れる

動物病院ではたくさんの動物達が来院しますので常に待合室は動物や飼い主さんがいることが多いです。安全・マナーを守るために子猫の時から動物病院に連れて行く際は必ずキャリーバッグに入れてください。

キャリーバッグの選び方

キャリーバッグは猫や犬などの動物を安全に移動する入れ物の事を指し、最近では色んな種類や素材でできたキャリーバッグが販売されています。持ち運びやデザイン性で決めがちになりますが、猫の負担が少ないタイプのキャリーバッグを選ぶ必要があります。何故かというと臆病で怖がりな猫はキャリーバッグの中で体を縮こまり出てこようとしません。無理矢理前足を掴んで引きずりながら出すと猫は痛がり嫌な思いをさせてしまい今後病院嫌いになってしまう恐れがあり、場合によっては検査や治療ができなくなることもあります。

おすすめのキャリーバッグ

天面と前面が開き、上部部分が開くプラスチック製のハードタイプのキャリーバッグをオススメします。ハードタイプのキャリーバッグだと怖がりな猫でも引きずりながら出さなくても上部を外すことで診察することができます。

天候や気温、移動時間に配慮する

猫は慣れない環境に対してストレスがかかりやすいため動物病院に行くまでの間もストレスがかかります。特に子猫は体力や免疫力も弱いためストレスだけではなく気温の高低によって体調を崩しやすいです。そのためなるべく子猫の負担をかけないようスムーズに病院に連れていくことが大事だと思います。病院が家から近い距離であれば徒歩でもいいですが少し距離がある場合は車かタクシーを使うことをすすめます。

一般状態の確認やワクチン接種などで受診する場合は急ぎではないため天気がいい日や暑い(寒い)時間帯を避けるなど配慮しましょう。

子猫を病院に連れていけない時の対処法

病院に行かず休んでいる子猫

まず、かかりつけの病院に問い合わせる

飼い主さんの仕事の都合などにより子猫を動物病院に連れていけない場合があると思います。かかりつけや受診したことがある動物病院に子猫が現在どんな症状や状態なのか連絡してください。病院は、症状や状態によりますが保温や水分補給などお家でできる対処法を伝えることもできますし、緊急性が高ければ診察時間外でも対応してくれる場合があります。

またほとんどの動物病院は休診日があり、受診したい日がちょうど休診日で病院がやっていないことがあると思います。電話も繋がらないため、他に家から近い動物病院を見つけておくのも一つです。

子猫の体温が下がらないように保温をする

猫は元々寒さに弱く特に子猫の場合は体が小さく、少しでも体調を崩すと体温がすぐ下がりやすいです。動物病院に連れていけない場合はまず低体温になってしまわないように子猫の体温が下がらないように毛布で体ごとくるんだりドライヤーで温めてください。ただし、低体温の子を急に高い温度であたためるのは注意が必要です。少しずつあたためるようにしてください。

またお湯を入れたペットボトルをタオルでくるみ、子猫の側においておくことも保温することができます。

夜間対応している病院に受診する

ほとんどの動物病院は夜19時で閉まってしまいますが中には夜遅くまで対応している病院があったり、夜間対応している夜間動物病院があります。子猫は直ぐに状態が悪化しやすく、命の危機にさらされる場合も多いので、元気がなくぐったりしているなど緊急性がとわれる場合は受診することをすすめます。

まとめ

病院で診察を受けている子猫

子猫の時期は大事な成長期でもあるため家族として迎え入れた際は動物病院を受診し、健康状態が良好なのかチェックしましょう。特に外で拾ったり保護団体から譲ってもらった子猫は何かしらの感染症にかかっている可能性があるため必ず検査を受けることをすすめます。もちろんすべて検査してから譲渡してくれる団体さんも多いです。

動物病院によって料金や診察時間が異なるので事前に確認しておくとよいです。動物病院では他の動物や飼い主さんが来院してくるので事故やトラブルにならないように必ず子猫をキャリーバッグに入れてください。

混んでいると診察までどうしても時間がかかってしまいます。子猫は体が弱いため場合によっては待合室で待っている間に状態が悪くなることがあります。症状や状態によってはすぐに治療や処置が必要な場合がありますので待っている間に異常を感じられたら病院スタッフに必ず声をかけてください。

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