猫エイズワクチンとは
猫エイズとは?
- 白血球が作れなくなり免疫機能が低下する疾患
- 一度感染すると完治できない
- 感染している猫との接触で感染
- 母子感染する可能性もある
猫エイズに感染してしまうと骨髄に影響をあたえ白血球をつくれなくなります。白血球は免疫機能があり猫の体を守ってくれる大事な働きがありますが徐々に免疫力が低下し侵入してきた細胞やウイルスに負けてしまい様々な病気にかかり最終的に命を落としてしまいます。
エイズウイルス自体弱いため通常で健康な猫の場合感染しても自身の免疫力で症状を出さないことが多いです。しかし、別の要因で免疫力が下がった時に発症してしまうケースがあり、猫が一度エイズウイルスに感染すると完治できないため症状が出てしまうと免疫で良くなることはありません。
主に猫エイズは唾液や血液などに含まれているため感染している猫との喧嘩による傷口や交尾、母猫から子猫にうつる母子感染もあります。
猫エイズにワクチンはあるの?
猫のエイズワクチンは日本国内でも接種可能です。しかしワクチン自体、接種後副作用が生じることがあります。猫エイズワクチンは 日本では一時的に製造および販売が中止になりました。
現段階では再開しております。そのことから猫エイズワクチンを取り扱っていない動物病院もあるので、もし猫エイズを持っている猫との多頭飼いでワクチンを接種するか考えていたり、接種したい場合は事前に病院に問い合わせると良いでしょう。
猫エイズワクチンの効果
猫エイズワクチンによる予防効果
以前猫エイズワクチンは最初アメリカで使用が認可され日本ではその後2008年に認可されました。ワクチンを製造した会社が健康な猫と猫エイズに感染している猫を同じ空間下で生活をさせ、猫が感染するかどうか実験をおこないました。
その結果猫エイズのワクチン接種している猫の感染率は0%、一方でワクチン未接種の感染率は50%以上でした。実際の予防率は70%程といわれています。
あくまでも実験結果ですが猫エイズのワクチン接種しないよりは打ったほうが感染を防ぐことはできます。
しかし猫エイズウイルスは遺伝子のつくりによっていくつかのサブタイプが存在します。それぞれサブタイプによって猫エイズワクチンの防御率に差があるため、実際に猫エイズワクチンはどれくらいの効果があるのか今の段階で分かっていません。
そのためワクチンを接種したからといって猫エイズに100%感染しないとはいいきれないのです。
猫エイズワクチンの料金や接種スケジュール
- 初回は2週間おきに3回接種
- その後は1年に1回接種
- 約4,000円
初回は約2週間の間隔を空けながら猫に3回猫エイズのワクチン接種をおこない、その後は年に1回打ちます。猫エイズワクチンは単独のワクチンであり、猫風邪や白血病を予防する混合ワクチンとは別であり同時に接種することはできないため間隔を開けてそれぞれ接種しなければいけません。
猫が先に混合ワクチンを接種した場合は約1ヶ月後に猫エイズワクチンを接種できます。逆に先に猫エイズワクチンを接種した場合は約1週間開けると混合ワクチンが接種可能となります。これはあくまでも理論上の話なので、実際にワクチン接種を行うときには体調を考えながら接種する必要があります。
混合ワクチンと同様に猫エイズワクチンも動物病院によって料金に差があり、およそ平均で4,000円かかります。事前に動物病院に問い合わせるとよいです。
ワクチンによる副作用
- 腫れ
- 痒み
- 食欲不振
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
- リンパの腫れ
- 呼吸数増加
- アナフィラキシーショック
猫エイズワクチンをはじめ通常の混合ワクチンでもみられる副作用としてワクチンを打った部分の腫れや痒み、食欲不振、発熱、嘔吐、下痢、リンパの腫れ、呼吸数増加などがみられたり体質によっては顔が腫れるムーンフェイスや蕁麻疹などがあげられます。
また血液循環に異常がおこりアナフィラキシーショックで命に関わることもあります。アナフィラキシーショックをおこすと接種後1時間以内にヨダレが多くでたりケイレン発作をおこします。
しかし猫エイズワクチンはその副作用のほかにワクチンを打った箇所が腫れて腫瘍化することが報告されています。確率は低いですがワクチン接種の回数が多い猫に発生度が高いといわれています。
猫は腫瘍の約8割が悪性といわれておりワクチンによる腫瘍化も悪性度は高いです。ワクチン自体、体調が悪いと副作用がでる確率が高くなったり症状が重くなりやすいため獣医師の診断によっては接種を延期する場合があるため必ず猫の調子を確認する必要があります。
猫エイズワクチンの必要性や感染しないための予防策
猫エイズワクチンの必要性
同居猫が猫エイズである
多頭飼いで1匹でも猫エイズに感染している猫がいると他の同居猫にうつってしまうためワクチンを接種する必要があります。また接種する前に猫エイズに感染していないかウイルス検査も必要です。
外に出る機会がある
外に出入りする生活をする猫は猫エイズに感染している野良猫との接触する可能性があります。完全室内飼いよりも高い確率で猫エイズに感染するといわれています。
他の猫と接触する機会がある
飼育している大半以上は元野良猫や保護団体から譲渡された猫であり、その中に猫エイズに感染している子もいます。しかしウイルス検査を受けているのがほんの少数だけです。
そのため友人の猫と一緒に遊ぶなど他の猫と接触する機会がある子は気づかないうちに猫エイズに感染してしまう可能性があります。
ワクチン以外に猫エイズに感染しない予防策
完全室内飼いにする
外に出入りする機会がある猫は野良猫と接触する可能性があるため猫エイズに感染するリスクが高くなります。完全室内飼いにし外に出さないようにします。
中には猫が脱走するケースがあるためしっかりと窓や網戸をロックしたり補強する対策が必要です。
同居猫が増えた
新たに猫を飼うことになった場合はその子が猫エイズに感染していないか検査が必要です。野良猫を拾ったり、保護団体から譲渡された猫は特に検査を受けるべきです。
しかし猫エイズに感染した直後は検査の結果が陰性になってしまったり、生後1〜2ヶ月の子猫の場合は感染していなくても母乳を介して陽性と出ることがあります。そのため1回のウイルス検査で正確に感染の有無を診断するのは非常に難しいため再検査をする場合があります。
そのためウイルス検査の結果が出るまでは猫をお互い接触させないように隔離し、食器やトイレも別々に用意することに気をつけなければいけません。
まとめ
猫エイズは一度感染してしまうと体を守ってくれる免疫力が徐々に低下し様々な病気をおこしてしまいやがて死に至る非常に怖い病気です。現在猫エイズに有効な治療法がないため感染しないことがとても大事になります。
猫エイズに対するワクチンがありますが中には、取り扱っていない動物病院が多いのが現状です。しかしワクチンを接種した方が猫エイズに感染する確率は低くなるためワクチン接種を受けるべきだと思っています。
副作用はどのワクチンでもおこる可能性はあります。終診ギリギリにワクチン接種した後に副作用が出てしまってもほとんどの病院がやっていないため、万が一を備えて猫エイズのワクチン接種は午前中におこなうことを勧めます。
ワクチンだけではなく完全室内飼いにしたり、新たな猫を迎え入れる際は猫エイズに感染していないか検査を受けさせることで、愛猫の猫エイズへの感染を防ぐことができます。