猫の顎が腫れている時の症状や原因、治療法について

【獣医師監修】猫の顎が腫れている時の症状や原因、治療法について

猫の顎が突然腫れてしまうケースがあります。しかし腫れているといっても、大きくボッコリ腫れているものや赤くただれていたりと様々ありそれぞれ原因が異なります。そのため今回は猫の顎が腫れる可能性がある原因をいくつかピックアップし、他に見られる症状や原因ごとによる治療法をお話しします。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の顎が腫れている症状

口をあけている猫

顎から膿が出ている

猫同士の喧嘩による傷や皮膚腫瘍などにより細菌やウイルスが侵入し炎症がおこると顎が腫れて膿が溜まってしまうことがあります。そのまま放置してしまうと膿がどんどん溜まり大きく広がっていきます。その結果、皮膚が破れて中に溜まっていた膿が出てしまい痛みがでます。また最悪の場合は猫の顎下の皮膚が壊死することもあります。

ヨダレが多い、口臭が強い

猫が口内炎を発症すると歯肉や粘膜が炎症をおこし赤くただれてしまうことにより猫の顎や頬が腫れることがあります。ほとんどのケースは口の中全体に炎症が広がるので大量のヨダレが出たり、顔を近づけるだけで口から臭い口臭がします。また猫が口の中の痛みによりご飯をペチャペチャと音を鳴らしながら食べるようになり、しだいに食べることが全くできなくなります。

顎などに激しい痒み

猫が虫に刺されることで顎や頬、足などが腫れて炎症をおこし、刺された部分を頻繁に掻いてしまい毛が抜けてしまいます。特に蜂に刺されてしまうとアレルギー反応(アナフィラキシー)をおこしショック状態になることがあります。

発熱や食欲不振

猫がウイルスの感染により発熱や食欲が落ちてしまい免疫力が低下してしまうと感染症にかかりやすくなったり猫の顎下などのリンパ節が腫れることがあります。そのため元気がなかったり下痢や嘔吐など様々な症状をおこしやすくなります。

猫の顎が腫れている原因

顎を診てもらっている猫

猫との喧嘩

猫の口や爪には色々な菌が存在しているといわれており喧嘩した際にできた傷口から感染をおこし腫れてしまうケースが非常に多いです。特に野良猫や以前外で暮らしていた保護猫(元ノラ猫)との接触・喧嘩により発症しやすいです。そのため猫が1番攻撃を受ける顔周りが怪我しやすいため頬や顎に腫れることが多く、しだいに腫れた部分に膿が溜まるようになり突然破裂することもあります。それに伴い発熱や元気・食欲低下などもみられます。

猫の口内炎

猫の口腔内にはたくさんの細菌が常在しており、食べ物のカスが細菌とくっ付くことで歯垢となりやがて固い歯石に変わります。歯垢や歯石になると口腔内の細菌がいっきに増殖してしまい歯肉や粘膜が炎症をおこし腫れます。炎症が進むと強い口臭や歯茎から血が出たり、ヨダレの量が多くなり常に口周りがヨダレで濡れています。炎症により激しい痛みを伴うためご飯が食べれることができず体重が減少します。

また他の要因として猫カリシウイルス感染症などのウイルス感染が原因で免疫力が低下してしまい、口の中全体が赤く腫れて潰瘍化するのが特徴ともいわれています。犬と比べて猫はウイルスにより口内炎を発症することが圧倒的に多いです。

猫の皮膚病

ニキビ

猫の毛穴に分泌物や皮脂などが溜まってしまい細菌感染をおこすことで黒くて小さなポツポツしたものが出てきます。特に猫の顎下は毛づくろいが難しいところであり多くの皮脂腺があるため皮脂が非常に溜まりやすいことからニキビができやすいです。また不衛生な環境下での飼育やストレス、ホルモンバランスの崩れなどの要因もニキビができやすいといわれています。

症状が落ち着いたり悪くなったりと繰り返しおこりやすく、症状が悪化した場合はニキビの部分が腫れてしまい出血することがあります。その場合激しい痒みや痛みがでてきます。

膿皮症

原因は猫のニキビと非常に似ており常在菌であるブドウ球菌が増殖することで皮膚が炎症・化膿し膿がでます。このブドウ球菌が増殖する要因として湿度が高い生活環境や免疫力の低下などがあげられ、アレルギー体質や甲状腺機能低下症・副腎皮質機能亢進症などのホルモンに関係する病気も関係しているといわれています。猫のニキビと違い膿皮症は発症した段階で痒みの症状がおこり激しく掻いたり舐めたりするようになり、症状が重症化すると悪臭を放ったり出血、発熱や食欲不振など全身に影響をあたえてしまいます。

ウイルスによる感染症

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV・猫エイズ)

唾液や血液などにウイルスが存在しているため猫エイズに感染している猫に噛まれることで感染することが多く、長期間のグルーミングや食器の共有などで感染することがあります。また母猫が猫エイズに感染している場合は胎盤を通して胎児に感染してしまう胎盤感染もあります。免疫力の低下時に症状が現れ、猫の顎にある下顎リンパ節や脇にある腋窩リンパ節などの全身にあるリンパ節が腫れて腫瘍化することがあります。進行すると免疫機能が失われてしまい感染症にかかりやすくなったり、腫瘍になりやすくなります。

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

血液や涙、唾液などにウイルスが含まれているので感染している猫との喧嘩やグルーミングによる舐め合い、食器の共有でも感染してしまいます。また猫エイズと同様に母猫の胎盤を通して胎児に感染することもあります。感染してしまうとウイルスはリンパ球などによって全身にいきわたってしまうためリンパ節が腫れて腫瘍化したり、免疫機能の異常により溶血性貧血などの症状がみられます。

猫の顎が腫れている時の治療法

顎の治療を受けている猫

膿が溜まっている場合

溜まってしまった膿はそのままにしてしまうと破裂したり痛みが出てくるため穴を開けて、中に溜まった膿を除去する処置が必要になります。また細菌感染が原因なため、細菌の増殖を抑える抗生物質やステロイドを投与します。しかし膿を排出しても炎症が続いていたり、様子を見すぎて症状が悪化している場合は全身麻酔をかけて処置を行うこともあります。

口内炎が原因の場合

猫カリシウイルス感染症などが原因で発症しやすいためインターフェロンの投与により免疫力をあげたり、痛みがひどい場合はステロイドや、抗生物質も投与する場合があります。しかしそれでも炎症が治らなかったり、歯肉が赤くただれたことによりご飯が食べれない場合は抜歯をすることもあります。また歯垢や歯石が溜まり歯周病により口内炎を発症している場合はスケーラーなどで除去する処置をおこないます。

蜂に刺された場合

ミツバチに刺された場合、針が刺さったままのケースが多いです。そのためまずは刺さった針をできる限り取り除く処置をおこないます。刺されたことによりアレルギー反応で腫れたり痒みが出てくるためステロイドや抗ヒスタミンなどの投与をしますが、アナフィラキシーショック(強いアレルギー反応)をおこした場合は呼吸困難や血圧低下、ケイレンなどにより命の危険が極めて高いため早急に注射や点滴でショック状態を抑えたり、酸素を吸入する処置をします。

リンパ腫の場合

リンパ腫は抗がん剤に対する反応が良い主要なので、主に抗がん剤などの化学治療をおこないます。また鼻腔内リンパ腫の場合は放射線による治療法も効果があるといわれていますが大学病院などしかおこなうことができません。

まとめ

ブラッシングする猫

猫の顎が腫れてしまう原因は様々ありそれによって症状や対処法が変わってきます。しかしどの要因も自然に治ることはほぼなく、放置すると悪化したり場合によっては命に関わるものもあります。そのため猫の顎が腫れていると気づいた時点で病院に受診し適切な処置や治療をおこなうことがとても大事です。またけがの予防やエイズや猫白血病などのウイルス感染症に感染しないためにも完全室内飼いにすることも大事です。