猫はサーモンを食べても大丈夫?

サーモンは猫に与えても問題ない食材です。サーモンには良質なタンパク質や脂質が含まれており、猫の健康維持をサポートする様々なメリットがあるため、キャットフードの主原料としてもよく選ばれています。
愛猫に新しいおやつや手作りごはんの材料として取り入れたいと考えている飼い主さんも多いでしょう。まずは、私たちが日常的に耳にする「鮭」と「サーモン」という言葉の違いを正しく理解することが大切です。
鮭とサーモンの違い
一般的な呼び分けとして、加熱前提のものを「鮭(サケ)」、生食用に養殖されたものを「サーモン」と区別することが多いです。天然の鮭にはアニサキスなどの寄生虫がいるリスクがあるため、基本的には加熱調理が前提となります。
一方でサーモンは、寄生虫のリスクを抑えるために管理された環境で養殖されており、人間が刺身などで生食することを目的としています。ただし、猫に与える場合は鮮度や脂質の量に配慮し、安全のために加熱することが推奨されます。
サーモンの栄養素と猫への健康効果

サーモンには猫の健康を支える優れた栄養素が凝縮されています。特に、皮膚の健康を保ちたい猫にとって、非常に魅力的な食材です。
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)
サーモンには、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といったオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。これらは血液をサラサラにする効果や、抗炎症作用が期待できる成分です。
猫の皮膚や被毛の健康をサポートし、毛艶を良くする働きがあります。また、関節炎などの炎症を抑えるサポートや、シニア猫の脳の健康維持にも役立つと言われており、全年齢の猫にとって嬉しい栄養素です。
アスタキサンチン
サーモンの身の赤色は、アスタキサンチンという強力な抗酸化成分によるものです。抗酸化作用とは、体内の活性酸素を取り除き、細胞の老化を防ぐ働きのことで、猫の免疫力維持に大きく貢献します。
アスタキサンチンには抗酸化力は強い抗酸化作用があるとされます。病気に負けない体づくりやアンチエイジングの効果が期待できます。元気に長生きしてほしいミックス猫や純血種の猫にも最適な成分です。
良質なタンパク質
猫は「完全肉食動物」であり、健康な筋肉や被毛、臓器を作るためには多くの動物性タンパク質を必要とします。サーモンは消化吸収率が高い良質なタンパク質を含んでいるため、猫の体づくりに適しています。
特に運動量が多い猫や、成長期の子猫にとって、効率よくタンパク質を摂取できるサーモンは非常に優れた食材です。キャットフードのトッピングとして少量加えるだけでも、手軽に栄養価を高めることができます。
猫にサーモンを与える際の注意点

猫にとって栄養豊富なサーモンですが、与え方を誤ると健康を害する恐れがあります。飼い主さんが特に気を付けなければならないポイントを、詳しく解説していきます。
生は避ける
生食用のサーモンであっても、猫に与える際は加熱することをおすすめします。一部の生の魚には「チアミナーゼ」という酵素が含まれており、ビタミンB1(チアミン)を分解してしまい、欠乏症を引き起こす可能性があるためです。
また、天然の鮭を誤って生で与えてしまうと、アニサキスなどの寄生虫による食中毒のリスクも高まります。安全に栄養を摂取させるためには、中心部までしっかりと火を通すことが基本のルールとなります。
塩鮭・スモークサーモンなどの加工品はNG
スーパーで売られている塩鮭や、人間用のスモークサーモンは絶対に与えてはいけません。これらには人間が美味しく感じるための大量の塩分が含まれており、体が小さい猫にとっては過剰摂取となります。
塩分の取りすぎは腎臓や心臓に大きな負担をかけ、高血圧の原因にもなります。猫に与える場合は、必ず「味付けのされていない生鮭」または「刺身用のサーモン」を味付けせずに調理してください。
缶詰サーモン(人用)は基本NG
人間用のサーモン缶詰も猫には不向きです。長期保存や味付けのために食塩、油、化学調味料などの添加物が使用されていることが多く、これらは猫の健康を損なう要因となります。
特に水煮缶であっても、人間用のものは塩分濃度が高めに設定されている場合がほとんどです。猫に与えたい場合は、猫専用に作られたウェットフードのサーモン缶を選ぶのが、最も安全で安心な方法です。
アレルギーに注意
サーモンを初めて与える際は、食物アレルギーの反応が出ないか慎重に見極める必要があります。特にお腹がデリケートな猫は、少量から始めて様子を見ることが重要です。
食べた後に体を痒がったり、皮膚に赤みが出たり、下痢や嘔吐が見られる場合はアレルギーの可能性があります。異変を感じたらすぐに与えるのを中止し、かかりつけの獣医師に相談するようにしてください。
与えすぎに注意
サーモンは脂質が多くカロリーが高いため、与えすぎると肥満の原因になります。また、不飽和脂肪酸を過剰に摂取し続けると、体内の脂肪が変性する「黄色脂肪症(イエローファット)」という病気になるリスクがあります。
この病気は皮下脂肪に炎症が起き、痛みやしこりを生じさせるものです。サーモンはあくまで「主食の補助」や「ご褒美」として考え、毎日大量に与えるようなことは絶対に避けなければなりません。
尿石症リスクに注意
サーモンにはマグネシウムやリンなどのミネラルが含まれています。これらは健康に必要な成分ですが、過剰に摂取すると下部尿路疾患(尿石症)の原因となる結石が作られやすくなる可能性があります。
特に過去に尿石症を患ったことがある猫や、腎臓に不安がある猫の場合は注意が必要です。健康な猫であっても、ミネラルバランスを崩さないよう、与える量や頻度をしっかりと管理することが求められます。
猫にサーモンを食べさせる際の与え方・調理法

猫の健康を守りつつ、サーモンの美味しさを楽しんでもらうための具体的な調理法をご紹介します。安全性を第一に考えた手順で準備してあげましょう。
加熱して与える(焼く・蒸す・煮る)
サーモンを与える際は、必ず加熱調理を行いましょう。焼く、蒸す、煮るといった方法がありますが、油を使わずに調理できる「蒸す」または「茹でる」方法が、余計な脂質を抑えられるためおすすめです。
焼く場合はテフロン加工のフライパンなどを使い、油を使わずに火を通してください。中まで白くなるまでしっかり加熱することで、リスクを下げます。
ほぐして骨を取り除く
猫は魚の骨を上手に取り除くことができません。鋭い骨が喉や食道、消化管に刺さると、大きなケガや手術が必要な事故につながる恐れがあります。調理後は必ず指で触れて骨がないか入念に確認してください。
また、身を細かくほぐしてあげることで、猫が食べやすくなるだけでなく、消化の負担を減らすこともできます。特に高齢の猫や子猫に与える場合は、すりつぶすように細かくするとより安全です。
少量をトッピング程度にする
サーモンは栄養価が高いため、1日の食事のメインにするのではなく、普段食べている総合栄養食(キャットフード)へのトッピングとして活用しましょう。
フードの食いつきが悪い時や、特別な日のご褒美として、少量をふりかける程度が理想的です。全体の栄養バランスを崩さないよう、サーモンを加えた分だけ主食の量を調整し、総摂取カロリーを管理してください。
低温管理された新鮮なものを使う
魚は傷みやすい食材ですので、鮮度には細心の注意を払いましょう。購入後はすぐに冷蔵庫に入れ、使う分だけを取り出すようにしてください。時間が経って鮮度が落ちた魚はヒスタミン食中毒の原因にもなります。
人間が刺身として食べられるレベルの新鮮なサーモンを選ぶのが理想です。また、調理した後の残りも長時間放置せず、食べきれなかった分はすぐに片付けるなど、衛生面での配慮も忘れないでください。
猫にサーモンを食べさせる際の適量

猫にサーモンを与える際の目安量は、1日の摂取カロリーの10%以内にとどめるのが基本です。体重4kgの標準的な成猫であれば、1日あたり約10gから15g程度が適量の目安となります。
以下の表は、一般的な成猫の体重に基づいた、1日あたりのサーモン給与量の目安です。個体差や活動量によって異なるため、愛猫の様子を見ながら調整してください。
| 猫の体重 | サーモンの給与目安(1日あたり) | カロリーの目安 |
|---|---|---|
| 2kg | 約5〜7g | 約10〜14kcal |
| 4kg | 約10〜15g | 約20〜30kcal |
| 6kg | 約15〜20g | 約30〜40kcal |
※サーモン(生・加熱)のカロリーを100gあたり約200kcalとして計算。種類によって変動します。
あくまでもおやつやトッピングの範囲内で与えるようにし、肥満気味の猫や運動量の少ない室内飼いの猫には、さらに量を控えるなどの配慮が必要です。
まとめ

サーモンは、猫にとって非常に優れた栄養源となります。豊富なオメガ3脂肪酸やアスタキサンチンは、皮膚や被毛、免疫力の維持に役立ち、愛猫の健康で若々しい生活をサポートしてくれるでしょう。
しかし、与える際には「必ず加熱する」「味付けなしの新鮮なものを選ぶ」「骨を完全に取り除く」といった基本ルールを厳守してください。適切な量と調理法を守ることで、サーモンは安全で美味しいご褒美になります。
愛猫の健康状態や体質をよく観察しながら、日々の食生活に上手に取り入れてみてください。不安な点がある場合は、自己判断せず、獣医師に相談しながら健康的な食習慣を築いていきましょう。