猫はしらすを食べても大丈夫?

しらすは猫に与えても問題ない食材です。しらすは、イワシ類(カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシなど)の稚魚の総称で、猫にとって有益な栄養素も含まれています。
ただし、人間用に販売されているしらすは塩分が多い場合があり、与え方には注意が必要です。
与える場合は、必ず加熱処理(茹でるなど)を行い、味付けをせず、少量をおやつやトッピングとして与える程度に留めましょう。
しらすの栄養素と猫への健康効果

しらすは小さな体に多くの栄養素を凝縮しています。猫の健康維持に役立つ主な栄養素について解説します。
タンパク質
猫は肉食動物であり、体の筋肉や皮膚、被毛などを構成するために多くのタンパク質を必要とします。しらすは良質な動物性タンパク質の供給源となり、猫の健康な体づくりをサポートします。
カルシウム
しらすは骨ごと食べられるため、カルシウムを豊富に含んでいます。カルシウムは、猫の骨や歯の健康を維持するために不可欠なミネラルです。
特に、成長期の子猫にとって、骨格の形成に重要な役割を果たします。ただし、「総合栄養食」と記載された子猫用キャットフードを食べていれば、不足する心配はありません。
ビタミンD
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きを持つ脂溶性のビタミンです。しらすに含まれるビタミンDがカルシウムと連携し、骨や歯の健康維持をより効果的にサポートします。
一方で、過剰に摂取すると高カルシウム血症などを招くリスクもあるため、与え過ぎには注意が必要です。
タウリン
しらすにはタウリンも含まれています。タウリンは猫の体内で合成することが難しい必須アミノ酸の一種で、目の健康維持や心機能の正常な働きに不可欠な栄養素です。
DHA・EPA
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、オメガ3脂肪酸と呼ばれる必須脂肪酸の一種です。これらは皮膚や被毛の健康維持、さらには脳機能のサポートにも役立つとされています。
猫にしらすを与える際の注意点

しらすは栄養価が高い一方で、猫に与える際にはいくつかの重要な注意点があります。安全に与えるために必ず守りましょう。
塩分過多に注意
人間用に販売されている「釜揚げしらす」や「しらす干し」には、保存性を高めるために塩分が多く含まれています。
猫は人間よりも必要とする塩分が少なく、過剰に摂取すると腎臓や心臓に大きな負担をかけたり、高血圧を悪化させたりする可能性があります。腎臓病や心臓病などの持病がある猫は、与える前に獣医師に相談するようにしましょう。
ミネラルの取り過ぎに注意
しらすにはカルシウムやマグネシウム、リンといったミネラルが豊富に含まれています。
これらのミネラルは健康維持に必要ですが、過剰に摂取すると尿のpHバランスが崩れ、「尿路結石症(にょうろけっせきしょう)」のリスクを高める可能性があります。特に尿路系のトラブルを抱えやすい猫には注意が必要です。
調理されたしらすは与えない
人間用の「ちりめんじゃこ」を使った佃煮や、他の食材と一緒に甘辛く煮たもの、かき揚げなどは絶対に与えないでください。
これらには塩分や糖分、油分が過剰に含まれているほか、玉ねぎなど猫にとって中毒となる食材が使われている可能性もあり、非常に危険です。
猫にしらすを食べさせる際の与え方・調理法

愛猫にしらすを安全に楽しんでもらうためには、適切な下ごしらえが不可欠です。具体的な方法を解説します。
無塩のしらすを選ぶ
最も安全なのは、ペット用として販売されている無塩のしらすを選ぶことです。
もし人間用のしらすしか手に入らない場合は、「減塩」タイプや、塩分添加の比較的少ない「釜揚げしらす」を選ぶと良いでしょう。
塩抜きをする
人間用のしらすを与える場合は、必ず「塩抜き」を行ってください。
方法は簡単で、しらすをザルに入れ、熱湯を回しかけるか、たっぷりの熱湯に2~3分ほど浸して塩分を抜きます。その後、キッチンペーパーなどで水気をしっかり取ります。
ちなみに、生のしらすにはチアミナーゼという酵素が含まれ、大量に食べ続けると「ビタミンB1(チアミン)欠乏症」を引き起こすリスクがありますが、加熱するとその作用は失活します。また、しっかりと加熱することで寄生虫も死滅します。
味付けしない
塩抜きをしたしらすを、そのまま与えます。猫の食いつきが悪いからといって、醤油やポン酢などで味付けをする必要は一切ありません。
茹でたしらすを細かく刻み、いつものキャットフードに少量トッピングする方法がおすすめです。
猫にしらすを食べさせる際の適量

しらすは非常に嗜好性が高い食材ですが、主食ではなく「おやつ」または「トッピング」として扱う必要があります。おやつの適量は、猫の1日の総摂取カロリーの10%以内が目安です。
しらす(釜揚げ)のカロリーは100gあたり約84kcalです。
例えば、体重4kgの成猫(避妊・去勢済み)の1日の必要カロリーが約200〜240kcalとすると、おやつはその10%、つまり20〜24kcal以内に収めるべきです。
しらすで換算すると、塩抜きしたものでも1日に小さじ1杯程度(約3〜5g)が上限の目安となります。与えすぎは栄養バランスの偏りや肥満の原因となるため、厳守してください。
まとめ

しらすは、タンパク質やカルシウム、タウリンなど猫にとって有益な栄養素を含む食材です。
しかし、与える際には「無塩のものを選ぶ」「必ず塩抜きと加熱(茹でる)をする」「味付けはしない」「ごく少量(小さじ1杯程度)に留める」というルールを守ることが非常に重要です。
特に塩分やミネラルの過剰摂取は、腎臓や泌尿器系に負担をかけるリスクがあります。愛猫の健康を守るため、正しい知識を持って、安全な方法で食事の楽しみを加えてあげましょう。