【獣医師監修】猫はいちごを食べても大丈夫!与える際の注意点や適量、含まれる栄養素と効果まで解説

【獣医師監修】猫はいちごを食べても大丈夫!与える際の注意点や適量、含まれる栄養素と効果まで解説

猫はいちごを食べても大丈夫?この記事では、いちごに含まれる栄養素、猫への健康効果を解説します。アレルギーやキシリトールの危険性、カロリー、安全な与え方(調理法)、適量など、飼い主さんが知りたい注意点を詳しく紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

猫はいちごを食べても大丈夫?

いちごが入った器のそばで伏せている猫

いちごは、猫に与えても問題ない食材です。中毒を引き起こすような有害な成分は含まれていないため、健康な猫であれば食べても基本的には安全です。

ただし、猫は本来肉食動物であり、いちごを積極的に食べる必要はありません。あくまで嗜好品(おやつ)として、適切な量や与え方を守ることが大切です。

いちごの栄養素と猫への健康効果

カットして断面が見えるいちご

いちごには猫にとっても有益な栄養素が含まれています。ただし、これらは猫にとって必須ではなく、あくまで補助的なものとして捉えてください。

ビタミンC

ビタミンCは、抗酸化作用を持つことで知られる水溶性ビタミンです。抗酸化作用とは、体内の細胞の「サビつき(酸化)」を防ぐ働きを指します。

猫は体内でビタミンCを合成できますが、加齢や特定の病気(ストレスがかかる状態など)では、食事から補うことが健康維持に役立つ場合があります。

アントシアニン

いちごの鮮やかな赤色のもとになっている栄養素が、アントシアニンです。これはポリフェノールの一種であり、ビタミンC同様に強い抗酸化作用を持つことが知られています。

ただし、猫に対する有効性に関する研究はまだ限られています。

カリウム

カリウムは、体内の浸透圧の調整や、神経・筋肉の正常な働きに欠かせないミネラルです。

ただし、腎臓病などでカリウムの摂取制限が必要な猫もいるため、注意が必要です。

猫にいちごを与える際の注意点

テーブルの上のお皿に入ったいちごを見つめる猫

いちごは安全な食材ですが、与える際にはいくつかの重要な注意点があります。これらを守らないと、猫の健康を害する可能性があります。

カロリーに注意

いちごは果物であり、糖分(果糖)を含んでいます。甘くて美味しい反面、カロリーもあります。

猫は少しのカロリーオーバーでも肥満につながりやすい動物です。おやつとして与えすぎると、主食であるキャットフードが食べられなくなったり、肥満の原因になったりします。

また、すでに肥満傾向でダイエットが必要な猫には、いちごをおやつとして与えないようにしましょう。

アレルギーに注意

非常に稀ですが、いちごに対してアレルギー反応を示す猫もいます。アレルギーとは、体の免疫システムが特定の物質(この場合はいちごのタンパク質)を「異物」と認識し、過剰に反応することです。

初めて与える際は、ごく少量(米粒程度)にし、食後に皮膚のかゆみ、嘔吐、下痢などの症状が出ないか、半日~1日程度は様子をよく観察してください。

食物繊維が多い

いちごには食物繊維が含まれています。適量であれば便通のサポートに役立つ可能性がありますが、猫は肉食動物であり、食物繊維の消化は得意ではありません。

一度に多く与えすぎると、消化不良を起こして下痢や軟便の原因になることがあります。

加工食品は与えない

いちごジャム、いちご味のお菓子、ケーキ、シロップ漬けなどは、絶対に与えないでください。

これらの加工食品には、猫にとって有害な大量の砂糖や、消化できない添加物、油脂などが含まれています。特にチョコレートやクリームが使用されている場合は、猫にとって非常に危険です。

少量のキシリトールが含まれている

いちごには、天然の甘味成分であるキシリトールが微量に含まれています。犬の場合、キシリトールは少量でも低血糖や肝障害を引き起こす危険な成分として知られています。

猫におけるキシリトールの安全性については、犬ほど感受性が高くないとされており、毒性は報告されていません。

しかし、まだ明確な安全基準が確立されていないため、天然に含まれる微量で問題が起こる可能性は極めて低いと考えられますが、積極的にたくさん与えるべきではないとも言えます。

特に、人工甘味料としてキシリトールが添加された食品は、低血糖や肝障害にはつながらなくても、多量に摂取すると下痢などを引き起こす可能性があるため、絶対に猫に与えてはいけません。

猫にいちごを食べさせる際の与え方・調理法

細かくカットされたいちご

安全にいちごを与えるために、下ごしらえの方法を守ってください。

よく洗ってから与える

いちごの表面には、残留農薬が付着している可能性があります。人間が食べる時と同様に、流水でしっかりと洗い流してから与えてください。

葉やへたは取る

いちごの葉や「へた」の部分は、硬く消化に適しません。猫が食べても消化できず、胃腸の不調や詰まりの原因になる可能性があります。

必ず、緑色の葉とへたの部分を完全に取り除いてから与えてください。

細かくカットして与える

猫は食べ物を丸飲みする習性があります。大きないちごをそのまま与えると、喉や食道に詰まらせて窒息する危険があります。

特に、小柄な猫や子猫、嚥下能力が衰えたシニア猫には注意が必要です。必ず、猫が安全に飲み込めるサイズ(5mm角程度)に細かくカットするか、スプーンの背などで軽く潰してから与えましょう。

猫にいちごを食べさせる際の適量

いちごを持って猫に見せている飼い主の手

猫にいちごを与える場合、その量は1日の総摂取カロリーの10%以内に収める必要があります。これは他のおやつ全てを含めた量です。

一般的な大きさのいちご(中サイズ・約15g)は、約5kcalです。

健康な成猫(体重4kg)の場合、おやつの目安は1日に20kcal~40kcal程度が上限とされます。

いちご単体で与える場合の具体的な目安としては、「細かく刻んだ状態で、ティースプーン1杯程度」、または「いちご1粒の1/4程度」を上限とし、毎日ではなく、たまにごく少量を与える程度に留めてください。

まとめ

いちごに顔を近づけて匂いを嗅いでいる猫

いちごは猫にとって有害な成分は含まれていませんが、糖分や食物繊維、微量のキシリトールを含むため、与え方には注意が必要です。

与える場合は、必ず「よく洗い」「へたを取り」「細かくカット」し、アレルギーに注意しながら「ごく少量」に留めてください。

いちごは猫の主食にはなり得ません。猫の健康は、バランスの取れた総合栄養食であるキャットフードによって維持されることを忘れないでください。