猫は柿を食べても大丈夫?

柿は猫に与えても問題ない食材です。
秋の味覚である甘い柿の果肉部分には、猫に中毒を引き起こすような成分は含まれておらず、普段のキャットフードとは異なる香りがする食べ物に興味を示す猫もいるかもしれません。
ただし、猫は本来肉食動物であり、柿を積極的に摂取する必要はありません。また、「渋柿」に多く含まれる「タンニン」は、猫の胃腸を刺激して嘔吐や下痢の原因になる可能性があるため与えないようにしましょう。
甘柿を与える場合は、後述する注意点を必ず守り、あくまで「おやつ」や「風味付け」程度の少量に留めることが重要です。
柿の栄養素と猫への健康効果

柿にはビタミン類や食物繊維など、人間の健康に役立つ栄養素が含まれています。猫に対する主な健康効果と合わせて解説します。
ビタミンC
柿には抗酸化作用(細胞の老化やダメージを防ぐ働き)を持つビタミンCが豊富です。
ただし、猫は自身の体内でビタミンCを合成できるため、人間のように食事から積極的に摂取する必要はありません。
また、人では過剰に摂取すると尿路結石のリスクを高める可能性も指摘されていますが、おやつとして少量を与える程度であれば心配ありません。
カリウム
カリウムは、ナトリウムとともにバランスを取り合いながら体内の浸透圧を調整し、細胞が正常な働きをするために必要不可欠なミネラルの一種です。
正常な神経伝達や、筋肉の機能維持もサポートしています。
食物繊維
柿には水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれています。これらは腸内環境を整え、便通の改善をサポートする効果が期待できます。
ただし、肉食動物である猫の消化器官は、食物繊維の消化をあまり得意としていません。与えすぎると逆に消化不良を起こし、下痢や便秘の原因となるため注意が必要です。
猫に柿を与える際の注意点

猫に安全に柿を与えるためには、いくつかの重要な注意点があります。これらを守らないと、愛猫の健康を害する危険性があります。
種は必ず取り除く
柿の種は非常に硬く、猫が消化することはできません。
もし飲み込んでしまうと、喉や食道、腸などに詰まって腸閉塞(ちょうへいそく:腸が塞がってしまう危険な状態)を引き起こす可能性があります。リスクを避けるためにも種は絶対に与えないでください。
柿の葉は与えないようにする
柿の葉寿司などで使われる柿の葉ですが、猫には与えないでください。葉は非常に硬く消化できません。
また、庭木になっている場合、農薬が付着している危険性もあります。愛猫が興味を示しても、食べさせないようにしましょう。
少量ずつ与える
柿は水分と糖分を多く含む果物です。猫が一度にたくさん食べると、消化不良を起こして嘔吐や下痢をする可能性があります。
また、糖分が多いためカロリーも高めです。日常的に与えていると肥満の原因にもなりますので、必ず少量に留めてください。
アレルギーに注意する
人間と同じように、猫にも食物アレルギーがあります。柿も例外ではありません。
初めて柿を与える際は、ごく少量(米粒程度)から始め、食後に体調の変化がないか数時間は注意深く観察してください。もし嘔吐、下痢、皮膚のかゆみ、目の充血などの症状が出た場合は、すぐに与えるのをやめて動物病院に相談しましょう。
喉につまらないように細かくカットして与える
猫は食べ物をあまり噛まずに丸呑みする習性があります。柿はある程度の硬さと弾力があるため、大きな塊のまま与えると喉や食道に詰まらせ、窒息する危険性があります。
特に普段から早食いしがちな猫や、嚥下能力(飲み込む力)が衰えたシニア猫は注意が必要です。与える際は、猫が安全に飲み込めるよう、必ず細かく刻むか、すりつぶすようにしてください。
もちろん「柿ピー」も与えてはいけない
「柿の種(お菓子)」は、名前こそ柿ですが原料は米菓であり、柿とは全くの別物です。人間用に濃い味付けがされており、塩分や香辛料が過剰です。
これらは猫の腎臓や心臓に重大な負担をかけます。一緒に含まれているピーナッツも高脂質で消化に悪く、窒息のリスクもあるため、絶対に与えてはいけません。
猫に柿を食べさせる際の適量

猫におやつを与える場合、その量は1日の総摂取カロリーの10%以内が理想とされています。
例えば、体重4kgの標準的な体型の成猫(避妊・去勢済み)の1日の必要カロリーは、約200〜240kcalです。その10%は20〜24kcalとなります。
柿(甘柿)のカロリーは100gあたり約63kcalです。単純計算では約30gまでとなりますが、これはあくまで最大値です。
他のごはんやおやつのバランスも考慮すると、実際には「小さじ1杯程度(約5g〜10g)」に留めておくのが安全かつ現実的です。
まとめ

柿は、注意点を守れば猫に与えても良い食材です。与える際は、必ず「種とヘタ、葉は取り除き」「細かく刻んで」「ごく少量」を徹底してください。
また、持病がある猫は、与える前に必ずかかりつけの獣医師に相談しておきましょう。
猫にとっての主食は、必要な栄養素がバランス良く配合された総合栄養食のキャットフードです。柿はあくまでコミュニケーションや食の楽しみの一つとして、飼い主さんの管理のもとで安全に提供するようにしましょう。