猫の知覚過敏について 原因と症状、治療法や予防法

猫の知覚過敏について 原因と症状、治療法や予防法

猫の皮膚がピクピクと波打つように動いていたり同じところを常に舐め続ける、いつも興奮状態で落ち着きがない様子が見られた場合は知覚過敏に発症している可能性があります。飼い主さんが気づきにくいため実際に知覚過敏を発症している猫はもっと多いことが予想されます。猫の知覚過敏とは実際にどういう病気で治ることができるのか、また発症しないためには何を気をつければいいのでしょうか?

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監修:獣医師 平松育子先生

(ふくふく動物病院)

猫の知覚過敏について

知覚過敏の診察うけている猫

猫の知覚過敏は常に行動に落ち着きがなく異常な状態のことをいいます。それぞれ猫の性格によりますが正常な子でも神経質や怖がりな場合があったり、その子その子によって行動に差が出てくるため、飼い主さんが中々気づかないケースが非常に多いです。

そのため猫の知覚過敏の症状が進んでしまい、ひどくなるといつも猫の背中や腰などの皮膚がピクピクと波打つように動いたり、同じ部分を長時間毛づくろいした影響で毛が抜けて薄くなり皮膚が傷ついたり炎症をひきおこしてしまうこともあります。また性格も穏やかな猫から気性が激しい猫に豹変することも知覚過敏の特徴です。

猫の知覚過敏は、私たち人の知覚過敏が冷たいものを口に入れた時に染みてしまう病気であるのとは全然違うのです。

猫の知覚過敏の原因

知覚過敏の猫
  • 脳の異常の可能性
  • ストレスの可能性

現段階の獣医療では猫の知覚過敏の原因がハッキリと分からず不明といわれています。身体検査の他に血液検査やレントゲン検査、ウイルス検査など飼い主さんの稟告を聞いて必要な検査をおこなうのですが、知覚過敏を発症している猫は苛立っていることがよくあるため検査ができない場合があることも原因不明の原因かもしれません。

しかし、てんかん発作など脳の異常により神経症状をおこすことが猫の知覚過敏と関係しているのではと推測されています。また猫は少しの環境変化を敏感に感じとるためストレスがかかりやすい動物です。そのため一説にはストレスによる恐怖や不安感から猫の知覚過敏症をひきおこしているのではといわれています。

猫のストレスになる要因には

  • 引っ越し
  • 新しい同居猫や人が増えた(減った)
  • 部屋の模様替え
  • 日常生活上での不満
  • 皮膚炎
  • 甲状腺機能亢進症
  • 栄養バランスが悪い

などがあげられます。知覚過敏を発症している多くはアビシニアンやシャム、バーミーズなどの猫種で先天性疾患である可能性が高いともいわれています。

猫の知覚過敏の症状

知覚過敏な毛づくろいをしている猫

初期症状

  • 猫の背中や腰、尾の付け根部分の皮膚がピクピクする
  • 猫が気になる部分を舐め続け毛が抜ける
  • 猫が触られることを嫌がる
  • 猫の瞳孔が大きくなる

猫によって症状の度合いに差があったり頻度が1年に数回しか発症しない場合があるので、その猫の特徴だと思ってしまったり見逃してしまうこともあるようです。よく見られる初期症状は背中や腰、尾の付け根部分の皮膚がピクピクと波打ちケイレンのような動きをする、波打っている皮膚が気になり舐め続けてしまい毛が抜ける、一瞬でも触るだけでも過敏に感じ嫌がる、黒目である瞳孔がランランと大きく見開き一点を見つめているなどです。

進行した場合の症状

  • 猫が急に走り周り過度に鳴き続ける
  • 猫の興奮状態が続き中々治らない
  • 猫が自分の尻尾を常に追いかけ噛みつく
  • 猫が急に暴れる
  • 猫が狭い場所から出てこない
  • 猫が飼い主を威嚇する
  • 猫の自傷行為

猫の知覚過敏の初期症状が進行すると突然スイッチが入り、急に走りまわり、過度に鳴き続ける、興奮状態が続き中々おさまらない、自分の尻尾を常に追いかけ噛みつく、急に暴れる、狭い場所から出てこないなどの異常な行動をとるようになります。さらに重症になってしまうと猫は信頼関係ある飼い主さんに対しても威嚇するようになり襲いかかってくるようになります。また自分自身に対しても自傷行為をすることがあり血だらけになるケースも実際にあります。

猫の知覚過敏の治療法

知覚過敏の薬を飲む猫
  • 猫のストレスを緩和、生活環境の見直しをしてあげる
  • 猫にサプリメントや漢方薬を飲ませる
  • 猫に薬物療法を行う

ハッキリとした原因が分からないため明確な治療法がなく、症状の度合いや頻度に応じての対症療法しかありません。

猫のストレスの緩和、生活環境の見直しをしてあげる

初期症状や頻度が少ない場合はストレスが関与している可能性があるためストレスの緩和や生活環境の見直し、改善することによって症状が落ち着くことができるといわれています。

例えば毎日5分〜10分くらいは遊んであげたり、スキンシップなどでコミュニケーションの時間をつくってあげ猫の様子みながら嫌がる場合はやめてあげることです。またトイレなど猫の身の回りの環境を常に清潔に保ち、落ち着くスペースを確保したり、香水やタバコなど有害なものは排除させます。元々猫は大きい音が苦手なため、騒音をたて刺激をあたえないことも必要です。そのため飼い主さんやその家族が努力する必要があるため猫としっかり向き合わないといけません。

猫にサプリメントや漢方薬を飲ませる

その他にも猫の中枢神経に作用するサプリメントであるジメチルグリシンやカンナビジオールは、猫の脳内ホルモンのセロトニンの分泌を促進し抗うつ効果があります。サプリメントだけではなく漢方薬も効くといわれておりネットで相談窓口がある漢方薬局がありますが、猫は苦味のある薬を服用する自体嫌いなため飲まない欠点があります。

猫に薬物療法を行う

症状が重度な場合やてんかん発作など脳の異常が疑われる場合は生活環境の改善の他に薬物療法をおこない、抗てんかん薬や抗不安薬、抗うつ薬などを服用し症状をコントロールさせます。あくまでも症状を緩和させたり落ち着かせる対症療法となってしまうため完治することは難しいといわれており継続的な治療が必要になります。

症状によりますが薬物療法をおこなった際は1カ月に1万〜2万はかかると思われます。知覚過敏になりやすいアビシニアンやシャム猫の平均寿命が通常の猫の寿命より2〜3才ほど短いが適切な治療や処置をおこなえば他の猫と同じように一生を全うすることができます。

猫の知覚過敏の予防法

知覚過敏で喧嘩をしている猫

知覚過敏を発症する要因はいくつかあげられますが、ストレスに弱い猫にとってはストレスが引き金になりやすいため、普段の生活からトイレを常に清潔に保ったり安心できるスペースを確保するなど改善したり気をつけることが重要になります。

また同居猫との仲が悪いのも影響していることがありますので、それぞれ距離をおくように隔離したりする対策もストレスを防ぐことができます。ストレスを感じていたりリラックスしていない時は猫の黒目が大きかったり尻尾を体に巻きつけ、イライラしている際は左右に大きく振っていたりなど何らかのアクションをするので、そのような行動をおこしてないか日々チェックするといいです。

まとめ

眠っている猫

過度なグルーミングや皮膚が波打つように動いていたり突然興奮状態になり走り回るなどの知覚過敏は猫の個体によって症状の度合いや頻度に差があるため中々診断が難しい病気です。猫を病院に連れてきても緊張や不安感から診察時に症状を出さないことが多いため、お家で猫に症状が起きた時に動画を撮影すると非常に分かりやすく原因特定に繋がり早くに適切な治療をおこなうことができます。

また猫にいつもと違う様子があったり普段しないような行動をするようになったなど猫の様子に気になる点があれば自己判断せず、まずは病院に受診したり獣医師と相談することも早期発見ができます。

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