猫の腹水とは
腹水とは、その名の通り、お腹の中の水、のことです。本来、健康な猫でも少量の腹水は存在します。腹水は腸がうまく動くように潤滑油のような役目を果たしていますが、お腹の中での量は腹膜という部分から吸収されるため、一定に保たれています。この腹水が何らかの原因によって増えることがあります。
猫の腹水の原因と症状
腹水が増えると、まず飼い主さんが気づくのはお腹が膨らんでいたり、張っていたりすることです。腹水の原因によってはそのほかの症状も出てきます。腹水が大量に存在すると、肺を圧迫して呼吸が苦しくなることもあります。
腹水が増える原因は、腹水が腹膜からうまく外に排出されないことがひとつです。血中のアルブミンというタンパクが減ることで、吸収力が減ります。血中のアルブミンを低下させる病気は、もちろん栄養的にタンパクが足りていないということもありますが、それ以外に下記のものが挙げられます。
- 肝臓疾患
- 蛋白漏出性腸症
- ネフローゼ症候群などの腎疾患
- 猫伝染性腹膜炎
- 膵炎
- 消化器型リンパ腫などの腫瘍
- 異物
- 心筋症などの心臓疾患
肝臓疾患
慢性肝炎や門脈の異常などは肝臓の機能を低下させてしまいます。肝臓はアルブミンなどのタンパクを合成する場所ですから、肝臓がうまく働かないとアルブミンが産生されないため、腹水が腹膜から吸収できなくなります。肝臓が悪いと、嘔吐や下痢などの消化器症状や食欲不振、黄疸などの症状が出ることがあります。
蛋白漏出性腸症
アルブミンが腸内に異常に漏れ出る腸疾患です。リンパ管拡張症や、炎症性腸疾患などが挙げられます。消化器症状が出ることがあります。
ネフローゼ症候群などの腎疾患
腎臓が悪いと、尿中からアルブミンが流れ出て行くことになり、血中のアルブミン足りなくなります。ネフローゼは、アビシニアンやシャムなど遺伝性が原因であったり、そのほかの基礎疾患をかかえているとなりやすいと言われています。治療は、基礎疾患の治療を優先します。
その他、腹水が増える原因として、腹腔内の激しい炎症が考えられます。猫の腹腔内の炎症性疾患は下記のような病気が挙げられます。
猫伝染性腹膜炎
コロナウイルス由来の感染症で、ワクチンや特効薬はありません。若い猫で多頭飼いや純血種に多いと言われています。病型がウェットタイプとドライタイプに分けられますが、腹水が貯まるのはウェットタイプの方です。食欲や元気がなくなり、発熱を認め、後に下痢や嘔吐、黄疸なども出てくることがあります。血液や腹水からウイルスに対する抗体検査を行い、診断することができます。治療は、症状を緩和させる対症療法になります。
膵炎
激しい膵炎を起こすと腹水が貯まってくることがあります。猫は解剖学的に膵管と胆管、腸が隣接している為、胆管炎や腸炎が膵炎を引き起こすことがありますし、肝臓、腸、膵臓全てに炎症を併発している状態を三徴候ということもあります。膵炎では嘔吐や下痢などの消化器症状が出ますし、黄疸も出てくることがあります。脱水が進行しないように栄養支持と点滴が必要です。
消化器型リンパ腫などの腫瘍
消化器系の腫瘍でも炎症を引き起こし、腹水が溜まります。腫瘍そのものが壊死して、腹水自体が膿になり、腹膜炎や多臓器不全を引き起こすこともあります。消化器型リンパ腫とは、腸管や隣接するリンパ節などにできる腫瘍です。老齢の猫や、白血病ウイルスを保持している猫はリスクが高まります。食欲不振、嘔吐や下痢などの消化器症状も出てきます。治療は外科手術や抗がん剤治療となりますが、具合が悪いと、脱水の予防であったり、栄養支持であったりと対症療法になる場合も多いです。
異物
腫瘍もそうですが、異物も腸閉塞を起こす原因のひとつです。腸閉塞によって腸炎や腸の壊死をもたらします。異食癖のある猫は要注意です。特に猫が飲み込みやすいサイズのものや、紐状のもには気をつけましょう。一度異物を食べてしまうと、異物が胃から十二指腸までにあれば内視鏡で除去できる可能性はありますが、最悪外科手術で胃腸を切開し取り除かなければいけないことになります。
心筋症などの心臓疾患
最後に、心臓病が原因の腹水について、です。
猫では肥大型心筋症が多く、この病気は心臓の筋肉が厚くなることで心臓がうまく収縮できずに、血液の循環不全を引き起こします。食欲や元気がなくなり、肺に水が貯まったりすると口を開けて呼吸することもあります。腹水も貯まってくることがあるため、お腹が張ることがあります。循環不全のため、血栓ができやすく、後肢麻痺を生じることもあります。循環不全を改善する薬で治療することになります。
猫の腹水の見分け方
単なる肥満では、腹部は柔らかい脂肪が触れますが、腹水が貯まると、触感的に水風船のようにパンパンで、腹壁を弾くと響きがあります。また、妊娠などでは徐々にお腹が膨らんできますが、腹水は数日で急激に増えることが多いです。
猫の腹水に関するまとめ
腹水が貯まってくると外観的に特徴的な膨らみ方をしますので、飼い主さんも気づきやすいと思います。猫に腹水をもたらす病気は多いですから、飼い猫のその他の症状についても詳しく獣医さんに伝えましょう。
40代 女性 ririco
それに加えて、普段猫の体を撫でるときに、何かいつもと様子が違うところがないか、気に掛けておくことも大切ですね。お腹はフサフサの被毛で覆われていますし、とくに、私が飼っている猫は、お腹を触られるのが苦手なので、今まで積極的に触ろうとはしていませんでしたが、少しずつ慣らしてときどき触って確認していこうと思います。
女性 むぅ
当院でよく見る腹水の症例は、成猫はリンパ腫、子猫は猫伝染性腹膜炎です。
腹水が貯まると、臓器や肺を圧迫して呼吸が苦しくなってくるので、原因はどうあれ、定期的に外から針を刺して腹水を抜かなければなりません。
リンパ腫の場合は、抗がん剤などの内科治療が一般的ですが、抗がん剤の副作用でさらに体が弱ってしまうリスクもあります。そのため、抗がん剤の治療をするかどうかは飼い主さんに選択してもらっています。
どちらにせよ予後不良であることが多いため、抗がん剤を使わずに、ステロイドなどを使ってできるだけ腹水が貯まるペースを遅くしていったり、出ている症状を抑える対処療法を行って、余生のQOLの向上を図るケースが多いです。
伝染性腹膜炎は、免疫力を上げる注射での治療が一般的ですが、こちらも予後不良であることが多いため、ステロイドを使用して炎症を抑えながら、出ている症状を改善する対処療法を行うことが多いです。
どちらも病気が進行すると根治が難しい病気なので、悪い日が続いたり、ちょっと調子が良くなったと思ったらまた悪くなったりと、浮き沈みのある生活を続けなければならないのでかなり辛い闘病生活を送ることになります。
猫は極限まで弱味を見せない動物ですので、飼い主さんが「ちょっと元気がないかも?」と思った頃には、病気がかなり進行していることが多いです。
ですので、特に気になる症状が無くても、定期的な血液検査、レントゲン検査、超音波検査を欠かさないことをおすすめします。
40代 女性 たなか
女性 ゆんぼ
女性 阿部
うちで1番最初に飼った猫は去年腎不全で亡くなりました。
現在は3匹の猫と一緒に生活していますが、病気になって苦しみながら亡くなる姿を見るのはもう嫌ですね。
気になったので調べてみましたが、コロナウイルスは弱いウイルスであるものの、
咳や便から排出されるので猫の集団では容易に広がってしまい、あっという間に多くの猫に感染してしまうようですね。
このコロナウイルスによる重症化は猫だけのモノなのですね!
うちも多頭飼いですので
一匹が感染したらあっと言うまに他の猫にも移りますね。
気を付けないといけないなと思いました。
女性 のん
ウチの猫は良くヒモのおもちゃで遊んでいて、食べてしまったことがありました。幸い、うんちと一緒に出てきていたので幸運でしたが、それ以降はおもちゃを出しっぱなしにしないよう、注意しています。
腹水が溜まった猫ちゃんが、どんなに苦しくても自分で立ってトイレに行ったり、飼い主さんと一緒に寝るためにベッドに飛び乗ったりすることもある、と聞きました。そのように生きようとする強い気持ちは、私たち人間に何かを教えてくれているような気がします。
愛猫の苦しそうな姿に安楽死を考える飼い主さんもいるようですが、どうするのが1番良いのかは、難しい選択となりそうですね。色々と考えさせられる記事でした。
50代以上 女性 猫大好き
子供達は
16歳で2匹とも亡くなりました。
お母さんである、猫は何1つ病気もせず、病院に掛かったのも、怪我ぐらいでしたが、急にご飯を食べないので、寿命だなあと思っていましたが、4キロ強あった体重が3キロまで落ちたのに、お腹だけがパンパンで、病院に行きましたら、腹水が溜まっいると。
腹膜炎を起こしてると。
便も10
日はみていません。
お腹が動くようにと5日前に点滴などして頂きましたが、全く出なくて、お水しか飲みません。
先生はしんどくないように、お腹が痛くないようにと、言われて点滴をして貰いましたが、これはどうしようも無いのでしょうか?
便を出し、少しでも、腹水が減る治療は無いのでしょうか?
、
40代 女性 YOU
昨日までは食べていたのが急に食欲がなくなりただ見守るだけしかできません。
40代 女性 パン君
女性 匿名
保健所の方に病気ではないのか聞いてみましたが、子猫はお腹が膨れやすいので下痢も嘔吐もなく、平均よりかは少ないけど体重も増えていってるので大丈夫だと思うとのことでしたが、痩せてるから余計にお腹が目立つのか、私が心配性なのかわかりませんがやはりお腹が気になります。
このお腹は子猫なら普通なのでしょうか?
因みに先住猫の子猫は生後4ヶ月ですが、この子くらいの時は平均体重でお腹も膨らんだりしてませんでした。ただ、先住猫は特に活発で走り回ったり高いとこへ登ったりと、とにかく元気な子で、この茶トラくんは先住猫と走り回ったり戯れたりはしますが高いとこへ登れないし、あまりおもちゃでも遊びません。あと行動がのんびりしてます。
30代 男性 いっくん
本当でしょうか?
40代 女性 ここね
腹水を抜いてもらうと、呼吸も楽になってご機嫌になります。
お薬も最初は飲ませていましたが、老齢だということもあり、最低限のお薬だけにして、自然に暮らさせてあげることになりました。
病気は早期発見が大切ですね。
女性 匿名
食べてないのにお腹が大きい事に気づき病院に行き血液検査をしました。felv、FIVは陰性でした。凄い貧血と白血球の数値が異常に高く、お腹の水は抜かないで抗生物質とコンベニアの注射をし様子を見ましたが一向に良くならず寝たきりで3日後に又病院に行き点滴とお腹の水を少し抜いて帰って来ました。これで少しは食欲が出るかと思ってましたが3時間後位に突然もがき出し苦しそうで息が途切れ度切れになり亡くなってしまいました。腫瘍が何か関係しているのでしょうか?
30代 女性 みきこ
お腹が腫れてきて獣医師が腹水を少し抜いて下さいました。楽になったみたいでしたがすぐに、また腹水が溜まってしまい苦しみました。
体が弱っていたので治療法は限られていましたが、できることはしていただきました。
一度、歩き回るくらいに元気になりました。
そのうちに、栄養にいい食べ物を消化のいいようにペースト状にして与えました。
ほどなくして、元気がなくなり、最期を迎えるまで意識はしっかりしているときもありましたので、意思の疎通はできました。最後までとっても、賢い猫ちゃんでした。