【獣医師が解説】寒い時期に増える猫の体調不良 代表的な病気と対策について

【獣医師が解説】寒い時期に増える猫の体調不良 代表的な病気と対策について

寒い時期になると体調を崩しやすくなるのは私たち人間だけでなく、猫も同じです。風邪を引いたり、持病が悪化したり・・・。では猫の場合は寒い時期、具体的にどんな体調不良を起こしやすくなるのでしょうか?今回は、冬に増える猫の病気と、寒さで悪化しやすい猫の持病をご紹介し、気を付けたいポイントや対策について解説します。この記事を読んで寒さに備え、元気に冬を乗り切りましょう。

寒い時期に増える猫の病気

獣医師と猫

膀胱炎や尿石症などの泌尿器の病気

寒い時期、猫は尿のトラブルがとても多くなります。寒くなると丸まって寝ている時間が増え、あまり運動をしなくなる猫が多いです。日中の運動が減り、飲水量が減ることで、尿の量も減ってしまいます。

また、寝ている時間が増えることでトイレに行く回数も減ります。その結果、尿のトラブルが起こりやすくなります。

トイレに小まめに行かず、尿を溜め込んでいることで、尿が濃くなり結石が出来やすくなったり、細菌感染が起こりやすくなるからです。また、寒暖差による体へのストレスから、膀胱炎を起こすこともあります。

症状としては以下のものが多いです。

  • トイレに行っても尿が少ししか出ないもしくは全く出てない
  • 頻繁にトイレに行く
  • 尿に血が混じる

これらの症状が認められたら早めに動物病院を受診しましょう。

日頃から気を付けられる対策として、

  • トイレを清潔に保つ
  • トイレを増やすなど トイレに行きやすい環境を作る
  • 水分を多くとれるようにウェットフードなどを使用する

という点に気をつけて対策を行いましょう。

呼吸器系の病気

冬の乾燥が喉や鼻の不調に繋がる点は私たちと同じです。空気が乾燥することで、鼻や喉が荒れやすくなります。また細菌やウイルスの感染も起こりやすくなります。

特に代表的な呼吸器の感染症は猫ヘルペスウイルス感染症と猫カリシウイルス感染症です。

これら2つの感染症は一度症状が治まっても体内からウイルスが消えずに潜伏感染を起こします。そして季節の変わり目など体調が乱れやすい時期に再び症状を起こすことが多いです。

鼻炎や咳などの症状が見られないか注意し、加湿器を使ったり、小まめに換気を行ったりしましょう。

胃腸の病気

冬は寒さによる冷えや、寒暖差による自律神経の乱れから、胃腸の問題も起こりやすくなります。胃腸の動きが悪くなることで、食欲不振、嘔吐、下痢、便秘などが見られます。

猫は食事を採れない期間が数日に及ぶと命に関わってくるので、こうした症状が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。

また、日頃から飲水の水が冷たすぎないように気をつけ、食欲や便の状態をチェックしておきましょう。

関節の病気

寒くなると運動不足になりがちになり、日頃から体を動かさないことで、関節の問題を引き起こしやすくなります。また、運動不足の時に急に激しく運動をすることも悪化の原因となります。

寒くなってきても1日数回は適度に体を動かした方が健康に良いことは人間も猫も同じです。特に肥満の猫は関節を痛めやすい上に、膀胱炎のリスクも上がることが分かっています。猫が自然に起きている時間を狙って、遊び相手をして運動不足を解消してあげましょう。

火傷

寒さ対策にストーブなどを使う家庭では、火傷にも要注意です。

飼い主さんが注意しなくてもストーブや暖炉と適度な距離を保てる猫が多いですが、中にはうっかり火傷してしまう猫もいます。安全に暖をとれるように気をつけてあげましょう。そして、日頃から猫の体をよく観察して、皮膚や毛に異常がないかチェックすると良いです。

寒い時期に悪化しやすい猫の持病

冬の時期に窓際で寝ている猫

心臓病や腎臓病や猫喘息などの持病も寒い時期に悪化しやすいです。

寒さにより、体中の血管が収縮することで、心臓に負担がかかり、心筋症など心臓の疾患の悪化につながります。

また、血行が悪くなることや、飲水量が減ることで慢性腎不全が悪化する場合も多いです。猫喘息など、免疫異常の持病も、冷えで体の抵抗力が低下しやすい冬に悪化することがあります。

このように慢性疾患を抱えている猫の場合は、冬に急に悪化する場合があるので、小さな変化も見落とさないように気をつけたいものです。

まとめ

寒い時期に増える猫の体調不良について解説しました。

慢性疾患を抱えている猫や、毎年寒い時期によく調子を崩す猫は特に気をつけてあげましょう。例年問題なく冬を越す猫も、加齢に伴い体調不良も起こしやすくなるので、暖かくて快適な生活を送れるようにサポートしてあげましょう。

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