猫のスプレー行為!やめさせるために飼い主ができること

猫のスプレー行為!やめさせるために飼い主ができること

猫のスプレー行為に頭を悩ませている飼い主さんも多いのではないでしょうか?今回はそんな飼い主さんのお悩みを解決するために、スプレー行為の原因と対策について詳しく解説します。

猫のスプレー行為とは?

家の外で何かを見つめる猫

猫の問題行動のひとつに「スプレー行為」があります。スプレー行為は自分のにおいをつけるマーキングの一種で、通常よりも濃いおしっこをしゃがまずに高い位置に吹きつけます。

スプレーのおしっこには、年齢、性別、ホルモンの状態、健康状態などの情報が含まれています。

同じマーキングでも頭や体をこすりつけたり爪を研いだりしてにおいをつけるのとは違ってとても強いにおいがつきます。しかも、トイレ以外の場所ですることがあるため、飼い主さんの悩みの種になることが多いのです。また、来客や飼い主にかけるといったかなり強烈な事例もあるようです。

猫にとっては本能的な行為ですし、必要があってしていることなのですが、飼い主さんにとっては大きな迷惑でしかありません。やめさせられるものならやめさせたいというのが本音でしょう。

猫がスプレー行為する原因

体を大きく見せて何かを見つめる猫

スプレー行為には大きく分けると、性的な目的のあるもの、ストレスが原因のものがあります。ストレスの原因には、環境の変化や縄張り争いといったことがあげられています。

猫は自由気ままに生きているようで、とても繊細な動物なのです。スプレー行為の原因にはほかにもさまざまな要因が考えられています。詳しく見ていきましょう。

発情期のホルモンが関係するスプレー行為

スプレー行為は去勢していないオスに多く見られます。生殖に適した気候になると、異性の気を引くためにおこなうと考えられています。

とくに、多頭飼育でオスとメスが同居している場合に起こりやすいようです。発情期を迎えたメスが自分の存在をアピールするためにおこうなうこともあるため、メス猫でも油断はできません。

環境変化のストレスによるスプレー行為

猫は環境の変化に弱い動物です。たとえば、次のようなことがストレスになります。

  • 引っ越した
  • 模様替えをした
  • 結婚や出産で人間の家族が増えた

これらのできごとは、人間にとっては何気ないことかもしれません。しかし、縄張り意識が強く環境の変化に敏感な猫にとっては一大事なのです。

そのほかにも、トイレが汚い、小さいなどのトイレ環境がストレスになります。このような、環境の変化や悪化がストレスの引き金になり、スプレー行為につながるのです。

家庭内での縄張り争い、所有権争い

猫はとても縄張り意識の強い動物です。新しい猫が増えた、自分の縄張りの中に見慣れない猫が入り込んできたというときは、自分の縄張りであることを強く主張するためにスプレー行為をおこないます。

また、多頭飼いで相性の悪い同居猫がいる場合は、相手のにおいのする場所を狙ってスプレーすることもあります。これは、相性の悪い猫を縄張りから追い出そうとする行為です。

また、お気に入りのもの(飼い主さんの場合もある)の所有権を主張するためにスプレー行為をおこなうこともあります。飼い主さんとしては、気に入ってもらえるのはうれしいのですが、正直なところ微妙な気分になりますよね。

家の外にほかの猫がやってくる

窓の外に野良猫や近所の外飼い猫がやってくるようになったことがきっかけでスプレー行為をはじめる猫もいます。

猫は縄張り意識の強い動物ですから、窓の外に知らない猫がいる、気に入らない猫がいるとなれば、縄張りの主張をせずにはいられないのです。つまり、進入者を追い払おうとしてスプレー行為をするのです。

飼い主にかまってもらいたい

猫は自立心が強く、群れないといわれています。しかしその一方で、飼い主さんにかまってもらえないことを不満に感じる甘えん坊な猫もいます。

そんな猫にとっては、飼い主さんとの遊びの時間が短くなった、なでなでしてくれる回数が減ったということがストレスになる場合もあります。

猫のスプレー行為をやめさせるには

撫でられる猫

基本的にスプレー行為をやめさせることはできません。本能にしたがった行為ですから、無理にやめさせるのは猫を苦しめるだけになります。

また、猫によっては、スプレー行為を禁止されたストレスで新たな問題行動の原因になってしまう可能性もあります。もし、愛猫のスプレー行為をやめさせたいと考えるならば、その原因を取り除くことを考えましょう。

避妊・去勢手術をする

性的な理由でのスプレー行為は、オスの90%、メスの95%は去勢、避妊手術をすることで解決するといわれています。異性にアピールする必要がなくなるため、スプレー行為をする理由がなくなるのです。

避妊・去勢手術は、人間の都合を優先しているだけと言う人もいますが、病気予防などの意味合いもあります。妊娠出産を望まないのであれば、前向きに検討することをおすすめします。

生活環境を改め猫のストレスを取りのぞく

猫を飼うならば、引っ越しや模様替えはおこなわないのがベストです。しかし、生活スタイルの変化や転勤など避けられない事情もあるでしょう。

引っ越しの場合は、愛猫のお気に入りのアイテムを新居でも引き続き使用するようにしましょう。猫は自分のにおいがすると安心します。

模様替えをする場合は一度におこなわず、時間をかけて少しずつ変えていきます。家族が増えるなどの場合は、前もってその人のにおいのするもの(服やタオルなど)を持ち込んでにおいに慣れさせておくとよいでしょう。

また、トイレに関しては最低でも朝夜の1日2回お掃除をする、猫砂やトイレ容器は猫の気に入ったものを用意してあげるなど、猫を優先することで解決することもあります。

縄張り争いをやめさせる

同居猫との仲たがいが原因の場合は、仲の悪い猫同士の生活空間をわけることがいちばんの解決策です。

それぞれの縄張りの境目となる場所に爪とぎを設置することで、運がよければスプレー行為の代わりに爪をとぐようになります。効果は運任せではありますが、簡単にできる対策なので試してみるのもよいかもしれません。

家の外にほかの猫がやってくる場合

窓の外に他の猫がやってくることが原因でスプレー行為をおこなう場合は、外が見えないようにするのが手っ取り早くて簡単です。ですが、猫にとっての娯楽である窓の外の景色を奪うことにもなります。

外を眺めるのが大好きな猫にとってはストレスになってしまう可能性があります。その場合は、ほかの猫が敷地内に入ってこないように忌避剤を使うなどの対策を検討しましょう。

かまってあげる

もし、「最近、あまり猫と遊んでいないな」など思い当たることがあれば、しっかりと向き合うようにしましょう。

5〜10分でもよいので、いっしょに遊ぶ、なでるなどのスキンシップをとることでスプレー行為が解決することがあります。解決したあとも1日のうちほんの数分でかまいません。猫のための時間を持つようにしましょう。

去勢してもスプレー行為をやめない猫に飼い主ができること

掃除する人間を見つめる猫

上にも書いたように、去勢・避妊手術をすればオスの90%、メスの95%はスプレー行為をしなくなるといわれています。

ですが、一方でオスの10%、メスの5%はスプレー行為をつづけるということでもあります。去勢・避妊手術をしても、スプレー行為が解決しない場合は、次のことを参考にし対策をおこないましょう。

トイレをきれいにしたりトイレの数を増やす

猫のトイレは「頭数+1個」必要だといわれています。もし、猫の頭数に対して数が足りていない場合は増やしてあげましょう。

また、トイレ容器のサイズが小さくなってしまった、猫砂が気に入らないといった場合も、スプレー行為につながる可能性があります。そのような様子が見られたら、トイレ容器や猫砂を新しいものに変えてあげる必要があります。

もし、トイレが汚れているといった場合は、まめに掃除をする、洗う、猫砂をきれいなものに替えるだけで解決する場合も少なからずあるようです。猫はきれい好きなので、日頃からしっかりと管理をするようにしましょう。

スプレー行為をした場所に臭いが残らないようにする

においが残るとその場所を「スプレーをしてもいい場所」として覚えてしまいます。スプレー行為をされた場合は、徹底的に掃除をしてにおいを除去しましょう。

酵素入り洗剤を溶かしたぬるま湯でよく洗い、その後、消毒用アルコールなどで軽く拭いて脂肪性の沈着物を取り除くようにします。

アルコールは猫にとって有害なので、使用時には近づけないように注意してください。また、消臭剤も有害な成分が使われている可能性があるので、なるべく使わないようにしましょう。

その場所に近づけないようにする

猫は決まった場所にスプレーをくり返しおこなう傾向があります。そのため、囲いを作ってスプレーした場所に近づけないようにするのも、猫によっては効果があります。ただし、ほかの場所でスプレーをするようになる可能性があるので注意が必要でしょう。

ごはんやベッドなどを置く

猫がスプレーをする場所にごはんやベッドを置くといった方法もあります。猫はとてもきれい好きな動物で、ごはんを食べたり、休息をとったりする場所では排泄をしないという習性があります。この習性を逆手に取るのです。

猫のにおいをつけてやる

猫は自分のにおいがすると安心します。そのため、スプレーをする場所に猫のにおいをつけてあげると、安心できる縄張りだと認識し、スプレー行為をやめることがあります。

においのつけ方は、猫の体をタオルなどでこすって、そのタオルでスプレーした場所を拭きます。簡単なので、ぜひ試してみてください。

スプレー行為をしても怒ったり叱ったりしない

スプレー行為は本能です。これは、猫自身にもとめられません。猫はスプレー行為を悪いことだとは認識していませんので、叱っても意味はありません。

そればかりか、怒ったり叱ったりするのは猫のストレスを増やすだけになります。そうなれば問題行動が増えて、猫だけでなく、飼い主さんにとってもよいことはありません。

いろいろ試したけれど、スプレー行為をやめさせることができないといった場合は、猫をリラックスさせる効果のあるフェロモン製剤を使う方法があります。獣医師に相談しましょう。

まとめ

マーキングする猫

スプレー行為はたいていの場合、去勢または避妊手術を受ければ解消します。もし、去勢・避妊手術のあともスプレー行為がつづく場合は、猫にとってよくない環境の証拠かもしれません。

ストレスなどが原因の場合は、スプレー行為をする原因を取りのぞかなければ解決は望めません。その場合は、猫がなににストレスを感じているのかを知る必要があります。

引っ越しをした、模様替えをした、家族が増えたなど思い当たることがあれば、適切な対策をおこないましょう。どうしても原因がわからない、なにをしても解決しないといった場合は、獣医師に相談することをおすすめします。