ティガーとの出会い
ティガーは当初、1ヶ月の預かりで我が家へやっていました。
知人が保護猫施設でボランティア活動をしており、「多頭飼育崩壊の案件があって、状態の良い子から里親さんに引き渡している、一時的に施設に猫が増えて困っている、1ヶ月の預かりボランティアをしてみない?」と声をかけて頂いたことがきっかけです。
先代猫さくらとの別れ
ティガーと出会う1年前に実家の猫、さくらを亡くしました。病気もせず、19歳と大往生してくれましたが、別れは辛く悲しく、しばらく猫を見ると涙が溢れ、ふさぎ込んでしまいました。
しかし、周りのボランティアさんのお話しを聞き、保護施設へ足を運び、
多くの身寄りのない猫たちがいることを知り、自分の出来ることをやってみよう、きっとさくらも、困っている猫の手助けをする方が喜んでくれる、そう思いました。
生涯一緒に暮らすことはまだ考えれていませんでしたが、一ヶ月だけ、それが助けになるのなら…と預かりボランティアを引き受けることを決めました。
一ヶ月の預かりボランティアをしてみる事に
私には猫に好みなどはなく、どんな子がきても良いと思っていたので、前日まで歳や種類、何も知りませんでした。
仕事をしていて日中留守で目を離すことになるので、介護が必要ではない、成猫で、というくらいでした。
前日に送られてきた写真を見て、さび柄をあまり見たことがなかった私は、そのワイルドな風貌に、少し驚き、怖い顔…と思ってしまいました。
我が家へきたティガー
我が家へきたティガー、成猫とは思えない程小柄でした。まだ子猫の様にも見えました。
相当不安だったのでしょう。置いたご飯に目もくれず、ベッドの下に潜り、ウロウロしながら、
「ここはどこ?」「また違う場所なの?」「あんたは誰?」と言っているかのように、アオーンアオーンとずっと鳴いていました。
常にビクビク怯えてきて、噛みグセがあり、抱っこは嫌い、夜は夜鳴き、警戒心が強く、初めは少し大変でした。
この子はどんな生活を送り、どこにいたのだろう?
私はティガーのことをもっと知りたくなり、保護施設のブログを見たり、里親同士が繋がれる里親の会(里親たちのSNS)へ投稿しました。
ティガーのこれまでの猫生を知る
ティガーは北海道砂川の120頭の多頭飼育崩壊からきていた子でした。それも若く、細い体で3匹の子どもを産み育てた苦労猫です。
飼い主さんがお世話を出来なくなり、地元の高齢のボランティアさんが通ってくれていたのですが、限界がきて保護施設に相談、保護に至ったようです。
猫風邪や病気もしていたと聞きました。そんな劣悪な環境に居たせいなのか、ティガーの片目は今もうるんでいます。
3匹の子ども達は子猫ながらの可愛さからかすぐに里親さんが見つかって、それぞれ新しい家族と幸せに暮らしていました。
しかし、大人のティガーは貰い手はすぐ見つからなかったようです。
子どもと引き離され、保護施設内に残ったティガーは、他の猫と上手くやっていけなかったそうです。
私はティガーの猫生を知り、その細い体とうるんだ瞳で、今までどれだけ辛く悲しい思いをし、怖いものを見たのだろう。
次々と場所や人、猫が変わり、子どもと離れ、一匹残され、何度不安な思いをしたのだろう、私がずっと一緒にいて安心させてあげたい、幸せにしてあげたい、そう思うようになりました。
実は甘えん坊だったティガー
ティガーは初めこそ警戒していたものの、すぐになついてくれました。
一緒に寝るようになり、トイレやお風呂まで付いてきて目を見て甘えた声で「クゥーン」と犬のように鳴くようになりました。
座れば隣に寄り添い、撫でると手をモミモミする仕草をし、こんなに甘えん坊だったんだ、甘えたかったんだ、私のことを信頼してくれたんだ、と感じました。
怯えた表情も消え、噛みグセもなくなり、夜鳴きも落ち着きました。
多頭飼育崩壊から来ているティガーはあまり丈夫ではありませんでした。一か月後、引き取りの話をしているさなか、体調を崩し病院へ。
原因ははっきりしませんでしたが胃腸炎でした。幸い薬で治りましたが、2週間嘔吐が続き、心配と不安でいっぱいでした。
猫との暮らしを勉強・暮らしやすい環境作り
体調を崩してからというもの、猫との暮らしを勉強しました。
フード選び、量、おやつの与え方、次亜鉛素酸水での床拭き、無添加の洗剤、居間等の消臭剤は炭を使うようになりました。
フローリングは滑るので、マットを敷き、水のみ場を増やしました。
また、ティガーの食べたもの(フードの量、メーカー)、水の量、吐いた回数、トイレの回数、内容などを記録したノートを作りました。
体調不良のとき、考えられる原因、改善策を書きました。
預かりボランティア終了後、正式にティガーと家族に
ティガーの体調が落ち着いてから、正式に譲渡のお約束へ行きました。
スタッフさん皆、喜んでくれました。スタッフさんの1人が、
「里親の会での投稿、いつも楽しみにしているんです。ここを卒業していった猫たちは、
お家の猫になり、表情もすっかり変わって、ふっくらしていく、その写真を見るのが好きなんです。」そうおっしゃっていました。
施設にはまだ沢山の猫たちがいました。ティガーと同じ砂川出身のこたちも。みんな暖かく綺麗で清潔な場所でご飯をもらい、優しいスタッフさんに見守られ、穏やかに伸び伸びしていました。
私はつい「ここの子達は幸せですね」
と言うと、スタッフさんは
「そうですね。でもここがゴールじゃないんです。里親さんが見つかって、家族が出来ることが本当のゴールです」
そうおっしゃっていました。その通りですよね。みんな自分だけの家族が欲しいですよね。
ティガーは私と出会い、幸せだと思ってくれているのかはわかりませんが、小柄だった体も丸くなり、今は4キロあります。
毎日元気によく食べ、沢山遊んで、スヤスヤ隣で眠る姿を見ることが出来て、私はとても幸せです。
今も「これからはずっと一緒だから安心してね」と話しかけて撫でています。
まとめ
保護猫には様々な猫生があります。ペットショップで好みの猫を飼うのも、決して悪いことではありません。でも、保護施設でたくさんの猫が家族を待っていることを知って欲しいです。
動物も家族です。私たち人間が家族に求めるものは外見ではないはずです。
何かしたいけど、様々な事情から猫を飼うことが出来ない人も、保護カフェへ行ってお茶を飲むことや、施設のHPに記載されてるポチっとするだけの無料の支援で助けることが出来ます。
少しの優しさと行動で繋がる命があります。
40代 女性 そら