猫はサラダ油を少量なら舐めても大丈夫!
飼っている猫がフライパンに残っていたサラダ油を舐めているのを見つけて、驚いたという経験はありませんか?実は猫が油を舐めてしまうのは珍しいことではありません。
サラダ油は、油菜やごま、とうもろこしや大豆などが原料の植物性の油です。基本的に猫が摂取しても大丈夫なもので作られています。
猫が少量のサラダ油を舐めても問題ないため、誤飲を過度に心配する必要はありません。
ただし、猫はとうもろこしアレルギーを持っていることもあるので、原料に対してアレルギーがないかどうかには注意しましょう。
猫が油を好む理由
猫が油を好むのには理由があります。猫が獲物を狩って食べていた時代、ビタミンAやビタミンD、ミネラルといった栄養素をしっかり摂取するために猫は獲物の肝臓から真っ先に食べていました。
肝臓は油分も多く含むので、その時の名残で猫は本能的に油を体に必要な栄養素として認識しているのではないかといわれています。
便と一緒に毛玉を出すために飲ませる人もいる
また、愛猫が毛玉を飲み込んでしまったときの対策として、油を飲ませる飼い主さんもいます。
猫は自分の体毛を飲み込んでしまう習性があり、毛玉を吐き出すことが多いです。自力で上手に吐き出せるならまだいいのですが、食べ続けた毛玉が胃腸に溜まってしまうと毛球症を引き起こすリスクがあります。
毛球症になると下痢や便秘、嘔吐、食欲が低下するなどの症状がでてしまうので、予防のために毛玉が溜まる前に吐き出すか便として排出させる必要があります。
適量の油の摂取は、便通をよくする効果があります。猫の便通が改善されると便と一緒に胃腸の中の体毛も絡めとって体外に排泄できるので、飲み込んだ毛玉への対策として有効です。
自分で毛玉を吐き出すのは猫にとっても苦しく、食道を傷つける危険性もあるので便と一緒に排泄できたほうが楽ですし健康的です。
安全な油と危険な油がある
注意したいのは、油の中でも猫が摂取しても安全なものとそうでないものがあるという点です。
サラダ油と同じく便秘解消効果があり毛玉対策としても有効なオリーブオイルや、血液をサラサラにする効果が期待できるエゴマ油は適量を守れば猫が舐めても大丈夫です。
しかし、エッセンシャルオイル(精油)は猫にとって中毒症状を引き起こす危険性のある油なので、自宅でアロマをたく方などは猫が誤飲しないように気をつけましょう。
エッセンシャルオイルの成分を猫は上手に分解することができないので、体内に蓄積して肝機能に悪影響を及ぼしてしまいます。
直接舐めてしまう場合だけでなく、アロマをたくことで空気中に漂うエッセンシャルオイルの成分が猫の鼻から体内に入り込んでしまったり、皮膚や被毛に付着した成分を猫が舐めてしまったりする場合も無害とはいえません。
猫を飼っている方は愛猫が過ごす部屋ではアロマをたかないなど、健康のために気をつけてあげましょう。猫にとって安全な油でもそれぞれの栄養素や効果は異なるので、愛猫に適したものを選びましょう。
サラダ油は多くの家庭で使用される食用油の代表的存在です。いつの間にか猫が舐めているということも多く、味や香りにくせがないので毛玉対策として試しに舐めさせてみるのにも使いやすい油です。
しかし、サラダ油を舐めさせることが猫によい効果をもたらす一方で、飲む量には注意が必要です。油の大量摂取は愛猫の健康を損なう様々な危険性があります。
猫がサラダ油をたくさん舐めてしまうと危険!
猫の毛玉対策や便秘改善のためにサラダ油を飲む適量は、小さじ1/2杯~1杯が目安です。それも毎日飲ませるのではなく、時々飲ませるだけで十分です。
一度に大量に油を飲んだり、毎日長期的に飲んだりすると様々な健康上の問題を引き起こします。どのような危険性があるのかを解説します。
嘔吐や下痢を引き起こす
サラダ油は猫が大量に飲んでしまうと、消化器官に負荷がかかってしまいます。消化不良で嘔吐や下痢をしてしまう可能性があるので、負担になるほどの油分を摂取するのはやめましょう。
また、適量のサラダ油の摂取には便秘改善効果がありますが、適量を越えて飲んでしまうとお通じがよくなりすぎてお腹を下してしまう場合もあります。
肥満のリスクが高まる
油は高カロリーというデメリットがあります。植物性のサラダ油も同じで大さじ1杯で100kcal以上もあるため、少量に留めなければ、猫の体ではあっという間にカロリーオーバーになってしまいます。
カロリーを過剰に取ると肥満のリスクが高まります。肥満は関節への負担を強めるだけでなく、他の様々な病気を引き起こす原因にもなってしまうので気をつけましょう。
皮膚炎を引き起こす
油の摂取量が多いと、体内に油が蓄積されて皮膚炎を引き起こす場合があります。サラダ油には、トランス脂肪酸が含まれており、トランス脂肪酸の過剰摂取は人間でもアトピーなどのアレルギー症状が出やすいです。
アトピー性皮膚炎は、食物アレルギーがなくても起こってしまうので、サラダ油の原料に対してアレルギーを持っていない猫でも注意しなくてはなりません。
また、サラダ油の製造過程で化学物質が入り込んでしまうのも気になる点です。化学物質を多く摂取することも皮膚に悪い影響を及ぼします。
膵炎などの内臓疾患の原因になる
油の摂取量が多いと脂肪を分解する役割を持つ膵臓や、栄養を貯蔵する役割を持つ肝臓に負担がかかってしまいます。
膵臓や肝臓の疾患の原因になるので、サラダ油の過剰摂取は危険です。その他にもサラダ油を長期的に与え続けると、腎臓病や心臓病のリスクを高めることになってしまうので注意しましょう。
猫がサラダ油を大量に摂取した時の対処法
軽い下痢程度の症状なら1日様子を見る
飼い主が目を離した隙に、猫がサラダ油を飲んでしまうということもあるでしょう。適量の小さじ1杯より多く摂取してしまっても、大した量でなければそれほど慌てなくても大丈夫です。まずは落ち着いて様子を見ましょう。
猫が油を多く摂取すると、基本的には下痢をする可能性が高いです。少し下痢をしているくらいなら1日様子を見ると症状が落ち着いて回復する場合が多いので、翌日までに元気を取り戻せば問題ありません。
症状がひどい場合はすぐに動物病院へ
サラダ油をあまりにも多く飲みすぎたり、猫の体質にサラダ油が合わなかったりした場合には、激しい嘔吐や何度も下痢をするなどの重い症状を引き起こしてしまう可能性もあります。
明らかに重い症状が出ている場合は、すぐに動物病院に相談しましょう。
無理やり吐かせないように注意
嘔吐や下痢が続くと、体内の水分が失われて脱水症状を起こしてしまう可能性があります。体調を崩している間に猫が脱水にならないように、水分補給を忘れないようにしましょう。
また、猫が危険なものを誤飲してしまった時に、吐かせようとする飼い主さんもいます。それが有効な場合もありますが、油を飲んでしまった時に無理やり吐かせるのは危険です。
吐かせることで油が気管に入り込み、肺炎を引き起こしてしまう場合があるので、絶対に飼い主さんの手で吐かせようとするのはやめてください。
安全のために動物病院で適切な処置をしてもらいましょう。
まとめ
油を舐めるのが好きな猫は多く、サラダ油を舐めても大丈夫です。
サラダ油を摂取することで便通がよくなり飲み込んだ毛玉を一緒に排泄してくれるので、毛玉を吐き出すことの多い猫には有効です。胃腸に毛玉がたまって毛球症になることを予防できるという効果もあります。
ただし、摂取量には注意が必要です。猫にとっての適量は小さじ1/2杯~1杯で、毎日ではなく時々摂取するだけにしましょう。
大量に飲んだり、毎日長期的に摂取すると嘔吐や下痢をしたり、皮膚炎や内臓疾患の原因となります。油は高カロリーなので肥満にも注意しましょう。
猫が油を大量に飲んでしまった時は、症状が軽い場合は1日様子を見ましょう。激しい嘔吐や下痢が続く場合はすぐに動物病院に相談してください。
サラダ油の摂取量は、飼い主さんがしっかり管理してあげる必要があるので、猫が好き勝手に舐めてしまわないように、使い終わった油の管理の仕方や保管場所には気をつけましょう。