猫のざそう(ニキビ)って?顎の黒いブツブツの原因や治療法

猫のざそう(ニキビ)って?顎の黒いブツブツの原因や治療法

猫の顎の所にブツブツと黒い点を見つけたことがあるかと思います。猫ざそう(猫ニキビ)の可能性があり、年齢や種類関係なくどの猫でも起こります。しかしそのまま放置したりすると炎症を起こし、悪化することがあるため適切な対処が必要です。自己判断で勝手におこなうことも場合によっては危険性があったり悪化させてしまうこともあるため、今回は猫ざそうについての適切な対処法や治療法をお話ししたいと思います。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

顎の黒い点…それは猫ざそう(ニキビ)かも

上を向いている猫の顎下アップ

よく飼い主さんから「猫の顎のところに黒い点がある」との事で来院するケースがあります。猫の顎にできるポツポツとある黒い点は猫ざそうの可能性があります。

別名猫ニキビやアクネとも呼ばれています。ニキビと聞くと一見私たち人間に起こる皮膚トラブルのイメージがありますが、実は猫でもよく見られることでもあるのです。

猫の顎や口周りは皮脂腺による分泌物が多く、かつ毛づくろいができない場所でもあるため汚れやすく猫ざそうができやすいのです。

軽度であれば毛の根元に黒い点がポツポツと見える程度ですが、二次的に感染を起こして悪化すると炎症を起こし、毛が抜けたり、痒みで掻きむしり血が出ることもあります。

猫ざそうは猫種に関係なく、どの猫でも起こる可能性があります。また猫の年齢や性別なども関係はないともいわれておりますが、猫の体質や生活環境などによっては猫ざそうは何度も再発を繰り返すこともあります。

顎は汚れがたまりやすいためそのまま放置してしまうと重症化することもあるため、早めにケアをしてあげることが大切です。

猫ざそうは皮脂の過剰分泌や角化異常など、複数の原因が絡み合って起こり、そこに細菌や酵母の増殖が起こって痒みや脱毛などの症状が現れるものです。猫ざそうを悪化させやすくする原因としては引っ越しや新しい同居動物、家族構成の変化などの生活環境の変化によるストレスや、食べ物や使用している食器素材のアレルギー、食器に付着している雑菌、食事の際に顎が汚れやすいこと、ホルモンバランス、免疫を低下させる病気などがあげられます。

そのためなかなか猫ざそうが治らなかったり、何度も再発を繰り返している場合は何らかの原因や他の病気を持っている可能性があるため注意する必要があります。

猫ざそうの手入れ方法と治療法

猫の顎を確認している女性

汚れの正しい取り方

黒くポツポツとある猫ざそうは汚れやすい顎などにできやすいため、拭きとって清潔に保つことが大切です。猫自身がかゆみや違和感を感じていなく、黒くポツポツとして汚れがあるだけの状態の猫ざそうであれば、毛穴の中や皮膚表面にあるその黒い汚れを取ってあげるだけで治まることもあります。

しかし無理矢理汚れをこすり取ったりブツブツを潰すと、皮膚を痛めてしまったり、はげる原因、拭いたことが猫ざそうを悪化させる原因にもなりますので、ぬるま湯で濡らしたタオルやコットンなどでふやかしながらゆっくり優しく取り除いてあげましょう。

強く擦ってしまうことも摩擦によって傷ができてしまったり、その傷口から雑菌が入り化膿してしまうこともあるため気をつけましょう。

赤みや脱毛が見られた場合は動物病院へ

猫ざそうの黒い汚れを拭きとってもなかなか治らなかったり、ひどくなって脱毛したり皮膚がただれたり、血や膿が出てくることがあります。痒みが出て掻きむしるようにもなってしまいます。

そのような場合は塗り薬や飲み薬による治療、ただ拭くだけではなく洗ったりする必要がありますので、動物病院を受診してください。

消毒液やイソジンを使ってもいいの?

「猫ざそうがあるところにイソジンなどの消毒液を使ってもいいのか?」と飼い主さんから聞かれることがあります。消毒液といってもアルコールの濃度が高いものもあったり、顎や口周りは猫が舐めやすく悪影響をもたらす恐れもあります。消毒液が皮膚に刺激を与え、悪化する場合もあります。

そのため自己判断で勝手に消毒薬を使用することは危険ですので、辞めてください。手入れや治療などで気になることがあれば、自己判断で治療せず必ず獣医師と相談してください。

市販薬もあるが

最近では猫用の薬が市販で販売されていることがあります。黒い点が少しある程度の軽い猫ざそうや、近くに動物病院がなく行く時間がないなどで市販薬を使用する方がいらっしゃいます。

繰り返しますように動物病院を受診するのがベストですが、どうしても連れて行けない、連れて行ける日まで時間があるなどの場合には市販薬での治療を試してみることもあるでしょう。ただし、市販薬を使用しても改善が見られない、特に市販薬を使ったら悪化した場合には必ず動物病院を受診して下さい。ニキビダニや皮膚糸状菌症などの他の皮膚病を持っている、免疫低下を起こす全身性の病気を持っている可能性なども考えられます。

飼育環境の改善やストレスフリーにも心がける

猫ざそうの汚れを綺麗に拭きとったり薬による治療をおこなうことも大事ですが、食器を洗わず使用していたりストレスなどで免疫力が下がることが猫ざそうに関係していることもあります。

せっかく治療してもなかなか治りが悪かったり、何度も再発してしまうこともあります。

特に夏や梅雨の時期は高温多湿で菌が繁殖しやすいため、食器はこまめに洗うなど猫の飼育環境を清潔にすることも大事です。

また猫はささいな環境の変化などでもストレスを受けやすいため出来るだけストレスをなくすように気をつけることも大事です。

猫ざそうは重度になりやすく再発しやすい

後ろ足で顎の下を掻いている猫

猫ざそうはどの猫でも見られ可能性のあるる皮膚疾患でありますが、できやすい顎や口周りは分泌物の量が多く、かつ毛づくろいで綺麗にすることができない場所でもあるため二次感染によって痒みや痛みが生じて、頻繁に掻きむしるようになります。

更にひどくなると膿が出てくるほどになったり皮膚がジュクジュクして、治すのが本当に難しくなってしまうこともあります。また個体差によっては分泌物の量が過剰な子は猫ざそうを再発することが多いようです。

その他にもストレスやホルモンバランスの乱れで免疫力が低下したり、アレルギー、不衛生な環境下での飼育などが原因でも再発しやすくなります。

早い段階で猫ざそうに気づいてあげれば二次感染やさらなる悪化防止にもつながりますので、定期的な猫の健康状態のチェックをしたり、ぬるま湯で濡らしたタオルなどで拭きとったり食後には顎が汚れていないか気にしてあげたりして、常に清潔にしてあげることも大事です。

まとめ

顎下を撫でられて気持ちよさそうな猫

猫ざそうは分泌物が多く出る顎や口周りにできやすく、年齢や種類関係なくどの猫でも起こりうる皮膚トラブルであります。

毛づくろいで届かない部位でもあるので汚れやすかったり、菌の繁殖によって痒みや脱毛などの症状が現れたり、悪化すると膿が出てくることもあります。

そのため単に猫もニキビになっているだけ、とそのまま放置すると悪化させてしまうこともあるため、動物病院を受診することを勧めます。

普段の生活の中でも定期的に猫ざそうがないか顎や口周りをチェックする習慣にしておくとよいでしょう。

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