猫がカワイイ謎に迫る研究
研究の目的
研究者は『ベビースキーマ』と呼ばれる概念に着目をしました。『ベビースキーマ』とは、日本語で直訳すると「赤ちゃんの枠組み」となり、いわゆる、赤ちゃんのような「目」「鼻」「口」そして「輪郭」といった身体的要素のことをいいます。
実は、赤ちゃんが持つこれらの要素は、人に『かわいい』と思わせる魅力があることが知られています。
今回紹介する研究では、このベビースキーマという概念が、「人の成人」「人の幼児」そして「猫」という、全く異なる3種類の顔面においても適応するのかこれを調べることを目的としました。
写真のかわいさを評価
この研究では、以下の3種類の写真を用意しました。
- 大人の顔面
- 幼児の顔面
- 猫の顔面
続いて、この3種類の写真をソフトウェアで加工し、「輪郭・目・鼻・口の位置」を変形することで、『ベビースキーマ』要素を変形させ、以下の写真を作りました。
- ”幼児っぽい”大人の顔面
- ”大人っぽい”幼児の顔面
- ”仔猫っぽい”猫と、”成猫っぽい”猫の顔面
この”幼児っぽさ””仔猫っぽさ”とは、例えば、
- 広いおでこ
- 顔面の面積と比較して、相対的に大きい目や口
- 丸っこい輪郭
などが挙げられます。
すなわちこれらが、『ベビースキーマ』要素であると言えます。
そして、101名の被験者の、これらの写真に対する「かわいさ」を7段階で評価してもらいました。
猫がカワイイ謎に迫る研究の結果
ベビースキーマ要素はやはり可愛かった
「成人」「幼児」「猫」3種類すべてにおいて、ベビースキーマ要素を持った写真の方が、「かわいさ」の点数が高かったのです。すなわち、赤ちゃんっぽい写真の方が、やはり可愛いと感じる、という結果が得られました。
種類のまったく異なる3種類すべてで「ベビースキーマ」の効果が確認されたことは、この研究の一番の成果だと言えます。
猫の写真における驚くべき結果
なんと猫は、「仔猫っぽい・成猫っぽい」に関わらず、人の幼児と同じくらいの「かわいさ」の点数を示しました。猫は、人の赤ちゃんに匹敵するかわいさを持っているのです。
猫がこれほどの「かわいさ」を持つ顔面である理由は様々です。マズルが犬やキツネほど大きくないので丸っこい輪郭を持つことや、両眼視で獲物をとらえるために正面に大きな目が配置されていること、などが挙げられるでしょう。
まとめ
猫のかわいさを表現しようとすれば、それは筆舌に尽くしがたいものがあります。説明できないくらい全てが好き!!という飼い主さんも多いはず。今回の研究から、猫のかわいさを科学的に紐解くと、「赤ちゃん的な顔面の要素」であることが分かりました。
ますます、猫のかわいさを実感できるようになったのではないでしょうか?今後も、猫のかわいさに迫る研究が行われることに期待です。