死の危険も!都市部で増加するトキソプラズマ感染と猫の関係性が明らかに

人口の過密した都市部では野生動物のトキソプラズマ感染が増加

このほど、英国コロンビア大学の林学の非常勤教授エイミー・ウィルソン博士が率いる研究チームが、世界の202の研究で得られたデータを用いて約4万5000頭の野生の哺乳動物の「トキソプラズマ症」を調査しました。

その結果、都市部では野生動物のトキソプラズマの感染率が高いことが明らかになりました。

人口の多い地域では飼い猫の数も多いことから、自由に外を歩き回る飼い猫や野生化した猫が、野生動物のトキソプラズマの主な感染源となっている可能性が高いようです。

「重要なのはこの発見により飼い猫の自由な徘徊を制限するだけで、トキソプラズマが野生動物に与える影響を軽減できることが分かったことです」と、ウィルソン博士は言います。

トキソプラズマ症とは

トキソプラズマ症は神経障害や癌、その他の慢性疾患に関連することが知られており、特に妊婦にとっては危険な病気とされています。

ただし宿主が健康であれば、トキソプラズマは特に害になることはありません。

宿主の免疫力が低下している時のみ、トキソプラズマは病気を引き起こし死を招くこともあるのです。

病原菌の蔓延を防ぐには健全な生態系を保つことが重要

ウィルソン博士によると、森林や川などの生態系は、トキソプラズマのような有害な病原体を取り除く役割を担っているそうです。

猫が糞中に排出した膨大な数のトキソプラズマの卵は、その後土の中や水中で何年も生き続けて、鳥または人間を含む哺乳類の潜在的な感染源となります。

一方、湿地が破壊されたり川が制限されたりすると、地表を流れる雨水に含まれる病原菌が増加し、これが野生動物の飲み水などに流れ込みます。

逆に、生息環境が健全であれば野生動物は健康に育ち、病気に対する抵抗力も高まる傾向があるでしょう。

ウィルソン博士は、「生物の多様性とこれを補佐する生態系を保護することが、野生動物や家畜、人間の間での病気の伝染を抑えるための効果的かつ経済的な手段となる」ということを強調しています。

結局このような病原菌の蔓延を防ぐには、自然本来の姿を大切にすることが一番大切なのかもしれませんね。

▼参考サイト▼

https://www.sciencedaily.com/releases/2021/11/211110104303.htm