猫は留守番できる?何日まで大丈夫?
猫はもともと単独行動をする習性があることから、群れで行動する犬と比べて世話に手間がかかりません。猫は家に誰もいなくてもさほど苦にならず、自由気ままに留守番をしています。
もちろん性格や個体差がありますが朝から仕事に行って夜帰ってきてもちょっと甘えてくる程度で、すぐさまごはんのおねだりをするドライっぷりです。飼い主がいなくても寂しがるそぶりもなさそうな猫ですが、何日ぐらいまでなら留守番ができるのか気になるかと思います。
そこで、この記事では猫だけでどれくらい留守番できるのか、どんな猫が留守番に向いているか、留守番時の注意点などについてまとめています。
猫は留守番が得意
ネコ科の動物で群れで生活をするのは、ライオンぐらいと言われています。猫は群れで暮らさず、単独で行動する動物です。猫を飼うとよくわかりますが、突然ゴロゴロと甘えてきたと思ったら、もうどこかに行っているそんな気まぐれな性質の生き物です。
また犬のように散歩にも連れて行く必要もないので、手がかからず最近幅広い層に人気のペットです。このように飼い主が家にいて猫に構わなくてもいいため、留守番も得意です。
飼い始めて環境にも慣れてきた猫なら、朝から夜まで仕事やお出かけで家を空けても問題なく留守番ができます。このように猫は留守番が得意とはいえ、普段の生活では成猫だと朝ごはんから夜ごはんまでの12時間以内で留守番をさせるのが望ましいです。
猫は1泊2日なら留守番できる
仕事の都合でどうしても外泊をせざるを得ず、家を空けることがあると思います。水と食事を確保できていれば、ある程度の日数は留守番ができるのではと思われがちです。
結論から言うと、猫だけを家に置いての留守番は長くても1泊2日程度に留めておいてください。新しい新鮮な水やきれいに洗った食器、入れたてのフード、きれいなトイレなど、留守にする際の衛生環境・管理はとても大切です。
特に猫はトイレの環境に神経質なことが多く、うんちが片づけられていないとトイレを我慢してしまったり、砂が適切量ないとおしっこができなかったりしがちです。そのため、猫の体調のことも考えると、留守番できるのは1泊2日程度とするのが良いのです。
長期間留守にするときはペットシッターや知人に世話をお願いする
出張や旅行、身内の不幸などさまざまな理由で1週間程度の長期間家を空けることもあると思います。さすがに1週間もの長期間になると、猫だけで留守番させることはできません。
ペットシッターやペットホテルなどのサービスが利用できるならプロに任せると安心です。また、知人や親族などに頼んで預かってもらうという方法もあります。どちらの方法にしても、猫はとても神経質で環境の変化には弱く、ストレスを受けやすい生き物です。
そのため、いつもの家でない場所で長期間過ごすのは苦手です。もしも預ける場合は、いつも使ってる食器・猫用ベッド・匂いのついたブランケットやタオル、おもちゃなど持ち運べるものは一緒に持っていきましょう。できるだけいつもの環境にあるものを身近に置いて、気持ちが落ち着くようにすることが大切です。
外泊から帰ってきたら、いっぱい可愛がる
猫は気分屋で普段はそっけないですが、留守にして帰ってくると人懐っこくなる場合があります。仕事などで12時間程度家を空けたりすると、玄関先まで来てゴロゴロと甘えてくることがあります。
1泊2日はもちろん、長期間留守だとあまりに構ってもらえなさすぎて、赤ちゃんのように甘えてくることもあります。そんなときは、思いっきり可愛がってください。
おもちゃでたっぷり遊んで、アゴ下や耳まわりなど大好きな場所をなでてあげたり、ブラッシングをしてコミュニケーション不足を補ってください。
猫は満足するといつものように、フラッとお気に入りの場所に移動していきます。できるだけ、家に帰ったらこうしたコミュニケーションを取って、リラックスできるようにしましょう。
留守番に向かない猫は?
いくら猫が単独でいることを好むといっても、すべての猫が留守番に向いているというわけではありません。生まれて間もない子猫だったり、高齢の猫や病気を患っている猫などは留守番に向いていません。家に帰ってきたら死んでいたということもあり得ます。
また、分離不安の傾向がある猫の場合は、ストレスがかかりすぎて拗ねたり鳴くだけでなく、暴れるなどの問題行動を起こすこともあります。ここからは、留守番に向かない猫をタイプ別に紹介し、その理由についても説明していきます。
生後3ヶ月未満の子猫
ペットショップや譲渡会などからわが家に迎え入れた月齢3ヶ月未満の子猫は、適宜栄養を与え続けないと弱ってしまいます。母猫がいない場合がほとんどですので、飼い主が常時食事のお世話をしなければなりません。
猫用ミルクを1日に8回ぐらい、最大4時間間隔で与え続けます。朝昼夜関係ないため、外泊はもとより長時間の留守番ですら難しいと考えてください。
高齢猫や病気持ちの猫
高齢の猫は常時状況を見守らなければならないほどではありません。ただし、食欲がなくなっていたりあまり動かなくなって元気がないならば長時間の留守は避けた方がよいでしょう。
また、病気持ちの猫はいつ容体が悪化するかわかりません。かかりつけのお医者さんにいつでも連絡できるように、なるべく猫の側にいるようにしてください。
分離不安の傾向がある猫
猫の中にも当然寂しがり屋さんもいます。そういった猫は、愛着のある飼い主がいないという状況にストレスを感じる「分離不安」に陥りがちです。トイレ以外でおしっこをしたり、怒って鳴いたり、暴れてお部屋のインテリアを壊したりなど意図的にいたずらをしてしまいます。
分離不安のままでは、ストレスもかかってしまうので留守番をさせない方がいいでしょう。まずは分離不安を解消するために、日々少しずつ留守番の状況に慣れるようにトレーニングしてください。
食事を一度にすぐ食べきる猫
猫はエサを与えられても、一度に全部食べずに少しずつ食べる習性があります。そのため、残業などで12時間以上留守番させてしまった場合でも、食事が我慢できる場合があります。
ですが、食事を一度にすぐ食べきる猫の場合は飼い主がかえってくるまで我慢できずにご機嫌斜めでストレスがかかってしまうこともあります。タイマー設定で決められた時間にエサが出てくる自動給餌器を使えば、留守番させられるかもしれません。
猫を留守番させるときに注意すること
猫を留守番させるときには、さまざまな注意事項があります。こうした注意事項は大きく「猫の健康・安全について配慮する」と「家自体の安全にも配慮する」に分けられます。
猫は飼い主の思ったようにおとなしく留守番してくれるわけではありません。ちょっと駆け回って何かを割ったり、普段気になっていたモノをかじってみたりすることがあります。
場合によっては猫自身や家自体が危険な状態にさらされてしまいます。そこで、猫を留守番させるときにこうした危険な状態にならないように、事前に注意することをいくつかまとめました。
誤飲・誤食しそうなものがないかチェックする
猫はおもちゃを使って勝手に遊んでくれますが、その分危険な状況にも遭遇しやすいものです。特に留守番で気を付けないといけないのが、「誤飲・誤食」です。猫は遊びに夢中になるあまりタオルの糸や紐をつい口に含んで食べてしまったりすることがあります。
特に糸・紐は飲み込むと腸に絡まってしまい、腸閉塞などの重大な事故になるので注意しましょう。また薬やサプリメントなどをテーブルに置きっぱなしにしないようにしてください。観葉植物は食べると中毒症状になることがあるので注意が必要です。
こういったリスクを回避するには、猫を留守番させる際には掃除や整理整頓を心がける必要があります。出かける前は、目視・指さしで誤飲・誤食しそうなものがないかチェックし、危険なものは猫が入れない別の部屋に移動させるなど工夫してください。
夏場の熱中症・冬場の火災や感電に注意する
夏場は室内だからといって、扇風機だけでは熱中症になることがあります。猫には肉球あたりにしか汗腺がないため、基本的に体温調整が苦手です。そのため、夏場に留守番をさせる場合はエアコンのクーラーをつけて出かけてください。冷房で28度程度にするか、湿度60%程度がおすすめです。
冬場はストーブやヒーターを付けたまま出かけると火災の危険があります。冬場に留守番をさせる場合は、エアコンなしで十分です。寒さ対策として出かける際にホットカーペットやこたつを切って、余熱で温まれるようにしておくぐらいで十分です。
ブランケットや毛布を猫の周りに置いておくと、そこでくるまって暖をとります。最近人気の湯たんぽを使うのもおすすめです。
冬場は暖房器具をコンセントに挿したまま出かけることが多いため、猫がコードをかじって感電することがあります。留守番をさせる際は、家電のコードはコンセントから抜いて、束にまとめておきましょう。
戸棚の扉は開かないように
食べ物や薬など猫にとって危険なものを戸棚にしまっておいても、猫は器用に戸棚を開けます。エサの入った扉を開けてつまみ食いしている程度なら、健康上はさほど問題ありませんが、サプリメントや薬、たまねぎの入った食べ物などの場合は大問題です。
猫の健康に深刻な問題を引き起こすかもしれません。気になる戸棚の扉は紐などで縛っておいて、猫が開けられないように工夫しておくことが大切です。特に取ってのある扉は、簡単に開けられるので注意が必要です。
戸締は万全にする
猫がいるいないに関わらず、出かける際は防犯上戸締りは大切です。ただ、マンションなど高層階だと外部からの侵入もないと思い、短時間の留守番の場合に窓を開けて網戸にして出かける方もいると思います。
猫によっては網戸を開けて外へ出てしまう場合もあります。そのため、外部との出入りができる窓は施錠して出かけるようにしてください。
また節約のためにお風呂のお湯を残しているご家庭は、残り湯で猫が溺れることがあります。必ずお風呂の扉をしっかり締めて出かけてください。室内外ともに猫が脱出・侵入ができないようにしておくとが大切です。
猫が快適に留守番するために用意するもの
猫に留守番させる場合、注意すべきことばかりではありません。できるだけ快適に気持ちよく留守番を楽しんでもらうために、事前に用意しておくものがあります。
猫にとって快適なお部屋・空間づくりを心がけることで、ストレスが減ったりイタズラ防止にもつながります。チェックリストを作って、お出かけ前に確認するようにしてください。
十分な水とドライフードを用意する
夏場の留守番では水が不足すると、脱水症状になることもあります。出かける際は、新鮮な水を一か所だけでなく複数の場所に置くようにしてください。水の入った器で遊んでひっくり返すこともあるので近くに家電やコンセントがない場所に置きましょう。
遅く帰る場合は、置き餌することもおすすめです。エサを見ると食べてしまう猫の場合は、自動給餌器を購入して時間が来たら食事ができるようにしておくのもおすすめです。
留守番の場合のエサは衛生上、ウェットフードではなくドライフードに限ります。普段からドライフードに慣れておくようにしましょう。
外出前はトイレを清潔にし1つ多く設置する
猫はとにかく清潔好きで、トイレが汚いとおしっこ・うんちをしたがりません。出かける前はトイレをキレイにしておきましょう。
トイレは固まる砂タイプよりも、固まらないパルプタイプがおすすめです。おしっこをたっぷりしても、下のトレーにセットしたおしっこシートが吸収してくれます。
トイレはもうひとつ用意しておけばさらに清潔に使えて安心です。その際、今のトイレに使っている砂やパルプ材を混ぜるようにしてください。いつものニオイがしないと警戒して、トイレを使ってくれない場合があります。
留守番ができる子猫には高さのあるケージを用意する
子猫でも3ヶ月を過ぎてくると留守番できる場合があります。その際は、家の中を自由に動き回れるようにはせず、高さのケージを用意してその中に入れるようにしてください。子猫は好奇心がとても旺盛で、イタズラしたり床に落ちているゴミなども食べようとします。
ケージの中に入れて留守番させるのは、かわいそうと思われるかもしれませんが、高さのあるケージなら上下運動もできて子猫にとっては十分な広さです。むしろ安心できるスペースとして快適に過ごせます。
なお、成猫を留守番させる場合はケージに入れたり部屋に閉じ込めたりせずに自由に歩き回れるようにしてください。猫は気の向くまま移動したがるので、閉じ込めるとストレスが溜まってしまいます。
飼い主のニオイのするものを置いておく
猫は飼い主のニオイのするものが身近にあるととても安心します。留守番の際は、飼い主が普段使っているブランケットやクッションなどを猫が好きそうな場所に置いておくとよいでしょう。
猫がいつもくつろぐ固定スペースがある場合は、そこに飼い主のニオイのするものを置いておくと効果的です。糸がほつれそうな古いタオルやハンカチは誤飲・誤食を防ぐためにも、避けた方がよいでしょう。
まとめ
猫は群れで行動しない性質のため留守番に向いていると言われていますが、それでも最大1泊2日程度に留めておくのが良いでしょう。それ以上長期になる際は、専門のペットホテルやペットシッターまたは知人に預けてください。
ただし、子猫や高齢猫、病気持ちの猫など留守番に向かない猫もいるので、愛猫が当てはまるか確認してください。また、いざ猫を自宅で留守番させる際は誤飲・誤食をしないように部屋を片付けたり、部屋の温度管理などいくつかの注意事項があります。
さらに快適に留守番をさせるために、水やドライフード、複数のトイレなどの準備が必要です。こうした事前準備をしっかりしておくと、安心してお出かけができます。
猫はひとりが好きといっても、寂しがり屋です。帰ってきたら、たっぷり愛情を注いであげてくださいね。