猫の首根っこをつかんでもいいの?メリットや注意点を紹介!

猫の首根っこをつかんでもいいの?メリットや注意点を紹介!

猫の首根っこをつかむことについては色々な意見があります。猫は実際には、やり方次第で痛みを感じることなく、リラックス状態になるのですよ。ここでは、猫の首根っこをつかむことについて、メリットややり方・注意点などの詳細をご紹介していきます。

猫は首根っこをつかむと本能的におとなしくなる

首を掴まれる子猫

猫には首をつかまれるとおとなしくなるという本能があります。獣医学的には「PIBI(Pinch‐Induced Behavioral Inhibition)」といいます。

日本語に訳すと「つまみ誘発性行動抑制」。これは野生下にある猫がより子猫を安全に育てられるよう、定期的に住処を移動するという習性に基づくものです。

野生の猫は、子育てに選んだ場所の周りに危険を感じると、一匹ずつ子猫の首根っこをくわえ、引っ越しをします。このとき、もしも子猫が大暴れしてしまうと移動するのに手間がかかり、外敵に見つかってしまう危険性が高まります。

ですので、猫の本能には親猫が首を噛むと本能的に身体を丸めて受け身の姿勢を取り、じっとするということが組み込まれているのです。

実際、猫の首をクリップでつかんでその時の状況を調べてみると、心拍数は下がり、リラックスしていることが証明されました。猫にとって、首根っこをつかまれるというのは、心理的に落ち着く動作でもあるのですね。

猫の首根っこをつかむメリット

膝の上で抱かれる猫

猫を飼育するうえで、この「首根っこをつかむとおとなしくなる本能」を利用すると、色々なメリットが得られます。

猫がおとなしくなり一時的に行動を制限できる

猫が嫌がることをしなければならないとき、首をつかむことで、一時的に猫の自由を奪うことができます。例えば

  • キャリーに入れなければならないとき
  • 薬を飲ませるとき
  • 爪切りをするとき
  • シャンプーをするとき
  • 興奮していて落ち着かせたいとき

など、暴れてしまうと困るようなシチュエーションではとても役に立ちます。ちなみに、首をつかむのは手でなくても構いません。

ネットでは専用のクリップも販売されています。家にあるもので、クリップの代用にとても便利なのが「洗濯バサミ」です。洗濯バサミの大きさは小さくても、大きめでも大丈夫です。

このとき、洗濯バサミはあまり挟む力が強すぎないものを選ぶようにしましょう。自分の指を挟んでみて「痛い」と感じるようでしたら、洗濯バサミの輪部分を少し広げるようにしてください。(ペンチを使うとすぐにできます)

洗濯バサミを使って猫が静かになり、行動抑制の必要がなくなったら皮膚を引っ張らない様にして洗濯バサミを外してあげてくださいね。

首をマッサージすることで猫とスキンシップがはかれる

猫は首を優しくつままれるととてもリラックスします。スキンシップの一環として首をつまむマッサージを取り入れてみましょう。

やり方は、親指・人差し指・中指を使ってあまり強く引っ張らないように意識しながら、つまむ、緩めるのを繰り返すと良いですね。猫の様子を見ながら、力加減に緩急をつけたり、リズムを一定にしたりと工夫してみてください。うっとりと目を細めて喜んでくれること請け合いです。

猫の健康状態を知ることができる

猫の首筋にある皮ふはとても良く伸びます。首筋には脂肪分も少ないため「皮ふの戻り」をみて愛猫の健康状態を調べるのに役立ちます。

首の皮ふをつまんで軽く引っ張り、手を放してみます。その時にすぐ元の状態に戻るようなら問題なし。逆に、伸びたままなかなか戻らない場合は脱水症になっている場合があるので気をつけましょう。

脱水症の原因は色々ありますが、水分不足のほかに

  • 慢性腎炎
  • 糖尿病
  • 熱中症

などの病気が潜んでいることも…。定期的に首の皮ふ状態をチェックし、元気消失など日ごろと違うところがあるようなら一度病院で診てもらうようにしたいですね。

猫の首根っこをつかむ時の注意点

手のひらに乗る子猫

猫の首をつかむ時には、いくつか気をつけておかなければならないことがあります。

成猫の首根っこをつかんで持ち上げてはいけない

猫が大きくなってからは、首をつまんで持ち上げるのはやめてください。

「何歳までなら首を掴んで持ち上げてもいいですか?」という質問をお受けしますが、答えは「生後5~6か月程度まで」となります。

猫がまだ小さなうちは体重もないため、問題にはなりにくいのですが、大きくなってくると体重が増え、首の皮だけで全体重を支えることは大変危険です。

場合によっては、首周囲の血管を損傷させてしまうことも。猫を持ち上げた状態にして首をつかみたいときは、先に猫を抱っこしてから首の皮をつまむようにしましょう。

首をつまむとき、猫によっては重さをかけた方がおとなしくなる個体もいますが、その場合でも、必ず猫のお尻に手を回して、首にかかる体重はごくわずかになるように工夫してください。(具体的には、首の皮を強めに引っ張り、耳が後ろにひっぱられる程度です。首にかかる重さは必ず猫の全体重の5分の1以下にしましょう )

猫が嫌がる場合はすぐに中止する

首根っこをつままれるとほとんどの猫がおとなしくなりますが、なかには全くおとなしくならない・嫌がって暴れてしまう個体もいます。もしも猫が嫌がるようなら、首を掴むこと自体が逆効果になるのでやめましょう。

首輪を付けたままで首根っこをつかまない

猫に首輪を付けたまま首を掴むと、正しい場所を掴めていないことがあります。また、首輪がズレて首を絞めつけてしまうこともあるため、首をつかむときには首輪は外してからにした方が良いですね。

事情があって首輪を付けたままで引っ張る必要がある場合でも、できるだけ首輪を緩めてから実践することは忘れずにしてください。

首根っこをつかんだときには叱らない

猫の首をつまむとおとなしくなるからといって、しつけの一環で首根っこをつかむのは良くないです。

首をつかんで怒る・叱ることで、猫がストレスを感じてしまうと、首をつかまれること自体が嫌になってしまうことがあります。

首をつかまれたら安心するという本能を消してしまうことがないよう、首に触れる時はいつも優しい気持ちで接するようにしたいですね。

猫の首根っこをつかむ時のポイント

顎下を撫でられる猫

猫の首をつかむ時には、猫がリラックスしているのを確認してから実践します。

まずはそっと首筋に手を置き、数回マッサージするようになでてからそっと首をつかみます。このとき、猫が気持ちよさそうにしていたら、つかむ力を強めても問題ありません。

飼い主が急いでいるときや、猫が暴れそうだからと言って急につかんだり、首根っこを持って強く抑える・揺さぶるのは厳禁です。

このような行為は「スクラッフィング」とも呼ばれ、動物病院などで暴れて危険な猫にも使われることがある拘束方法ですが、猫には大きなストレスがかかってしまいます。やむを得ないときを除き、リラックスした状態を保てるよう、力加減にも気を付けたいですね。

まとめ

持ち上げられる猫

猫の首根っこをつかむのは、やり方によってはとても有効です。とは言え、どの猫にでも必ず効果があるわけではなく、力加減やつかむ場所などコツもある程度必要になります。まずは猫がリラックスした状態で首筋を触らせるように、少しずつマッサージなどをしていくと良いですね。

まずはごく優しく、そっと揉むような力加減からはじめてみてください。それでももし猫が嫌がったり、余計に緊張してしまったりする場合には、首をつかんでも意味がありません。

猫にとってもストレスになるので、やめた方が賢明です。猫をおとなしくさせる方法はネットに入れるなど、ほかにもありますので、そちらに切り替えましょう。