野良猫が室内飼いに慣れるまでにかかる期間は?
外で生活していた猫が家猫として生活するには、大きなストレスをともないます。もちろんすぐに慣れてくれるはずもなく、飼い主さんも大変な思いをするでしょう。
ただ、時間をかければ必ず慣れてくれます。個体差によって期間は違いますが、あきらめず根気よく接することが大切です。では実際に、慣れるまで何日くらいかかるのでしょうか。
野良猫の元々の性格や生活環境によってさまざま
野良猫が室内飼いに慣れるまでは、猫の年齢や性格、育った環境によっても大きく違います。一般的には、どんなに人馴れした猫でも平均で2〜3週間はかかると言われており、中には数ヶ月〜数年を要する猫もいます。
保護される際に人間の手で無理やり捕まえられた、などのトラウマを抱えている猫は、人間への恐怖心がより強く、慣れるまで時間がかかるかもしれません。
そのため、まずはその猫がどういう経緯で保護に至ったかを知ることからはじめましょう。できれば猫を譲り受ける前に、猫の情報を集めておくのがベストです。
例えば
- 猫の性格
- 保護されてからの日数
- 人間に対するトラウマの有無
- 好きな食べ物
- 人馴れの程度
などです。これらは猫に早く慣れてもらうための重要な情報なので、ぜひ知っておいてくださいね。
子猫は慣れるまでに必要な日数が短いことが多い
子猫は短期間で慣れる傾向にあります。特に1歳未満の子猫は人に慣れやすく、野良猫の期間が長いほど人馴れには時間がかかります。
また、生後2〜7週齢の「社会化期」と呼ばれる時期に、人間や他の動物と触れ合ったことがある猫は、親兄弟としか生活したことのない猫に比べて早く慣れると言われています。
もちろん、社会化期を過ぎた野良猫でも、根気よく接していけば十分に慣れさせることはできるので安心してください。
猫が安心できるまでは夜泣きが続く
新しい家に来た猫は、不安や寂しさ、ストレスなどからほとんどの猫が夜泣きをします。あまりの鳴き声の大きさに「いつまで続くの…」と不安になる方も多いでしょう。
ですが、猫は自分の安全が確保でき、安心すれば必ず夜泣きは止まります。数日で終わる猫もいれば、数ヶ月にわたる猫もいます。少しでも早く安心できるように手順を踏んで慣らしてあげてくださいね。
野良猫が室内飼いに慣れるまでのステップ
「猫と早く仲良くなりたいから、たくさん遊んであげよう!」このように考えていませんか。野良猫は人間を怖い生き物だと思っています。
無理に近づこうとすれば逆効果になり、慣れるまでにさらに時間がかかってしまうでしょう。猫に慣れてもらうには、いくつか手順があります。ここでは、野良猫が室内飼いに慣れるまでのステップを紹介します。
人間が近くにいることに猫が慣れるまでケージで飼育する
猫が人間に慣れていないうちは、ケージで飼育します。家の中で放し飼いにしてしまうと、ソファの下やテレビの裏から出てこないことも考えられ、いつまでも人に慣れることはありません。
「ケージは狭くてかわいそう…」と感じるかもしれませんが、猫はもともと狭いところや暗いところが大好きです。むしろケージの中は落ち着く場所となり「安全な縄張り」となるのです。
これからしばらくはケージの中で過ごすため、上下運動のできる大きめのケージを用意してあげましょう。置けるスペースが限られるマンションなどでは、3段以上の高さのあるケージが重宝してくれます。
1段目にはトイレを置き、2段目は飲食スペース、3段目はくつろいだり眠ったりするスペースにするなど、ケージの中だけで生活できるよう整えてあげると良いです。
置き場所は、人が生活するリビングが理想ですが、あまりにも人馴れしていない猫の場合は、静かな部屋からスタートしても良いでしょう。廊下や玄関など、冷え込んだり暑くなり過ぎる場所には置かないよう注意してください。
また、子猫は自分でうまく体温調節ができないため、冬はヒーターや湯たんぽで温める必要があります。エアコンの真下など、直接風が当たるところは猫のストレスになるため置いてはいけません。
ケージ内でのお世話は最低限とし、餌の交換やトイレの清掃のみにします。最初のうちは餌を2. 3日食べない子もいるかもしれません。3日以上食べない場合は空腹で衰弱するため動物病院を受診してください。
食べるようであれば、おやつを与えても良いです。この時期は、栄養面よりも食べてもらうことを優先してください。3日以内に「ごはん」「おしっこ」「うんち」がクリア出来たら最初のステップは完了です。
おやつやおもちゃを使って人に慣れさせる
ケージの中に慣れてきたら、おやつやおもちゃで人に慣れさせましょう。最初は人の手からは食べてくれないので、柄の長いスプーンや孫の手の先端に液状のおやつをつけて与えます。スプーンや孫の手から食べられるようになったら、そのまま優しく撫でてあげてください。
触られるとおやつが出てくることを覚えれば、スキンシップも取りやすくなります。猫との距離が縮まってきたら、指先におやつをつけて与えても良いでしょう。また、おもちゃで遊ぶのも効果的です。
お気に入りのぬいぐるみがあればケージに入れても良いですし、猫じゃらしで遊んであげても良いです。この時に噛みちぎって誤飲しないよう十分注意してください。
ケージから出して部屋を探検させる
ここまできたらケージから出しても大丈夫です。ただ、いきなり家中を探検させるのではなく、まずはケージがある部屋だけにしましょう。
ケージの扉を開けて猫が自分から出てくるのを待ちます。安全が確認できれば進んでいき、怖いことがあったらケージに戻っていく。これを繰り返すことで徐々に縄張りを広げていきます。
猫のペースに合わせて生活スペースを広げていく
ケージが置いてある部屋の探索が終わったら、隣の部屋まで行動範囲を広げます。そしてその部屋に慣れたら次の部屋を探索する。このように、徐々に行動範囲を拡大し最終的には家全体に慣れさせましょう。
無理に行動範囲を広げる必要はありません。猫が怖がったらケージに戻し、翌日チャレンジすれば大丈夫です。また、ケージの役目が終わっても残しておくことをおすすめします。
ケージは猫にとっての「落ち着く場所」です。災害時や緊急時など、怖いことがあったときにケージに戻ってきてくれれば、どこに隠れているか分からない…という不安を取り去ることができます。
野良猫が室内飼いに慣れるまでの注意点
野良猫が室内飼いに慣れるまでには、いくつか注意点があります。これをおろそかにすると今以上に人間への恐怖心が強くなり、慣れるのに時間がかかってしまいます。
また、先住猫に病気が移ったり、飼い主さんが怪我をするかもしれません。猫のためにも飼い主さんのためにも、注意点をしっかり守って飼育しましょう。
慣れるまでに時間がかかっても猫の個性として受け入れる
野良猫にはさまざまな性格の猫がいます。早く慣れる猫もいれば、なかなか慣れてくれない猫もいるでしょう。もし、なかなか慣れてくれなくても、その猫の個性として受け入れ根気よく触れ合いを続けてください。
「慣れてくれないから野生に返したい…」このような考えは絶対にしてはいけません。野生下では交通事故や病気などの危険がとても多く、猫は3〜4年ほどしか生きられないことを理解しておいてください。
動物病院で健康診断や予防医療を行っておく
外にはノミやダニなどの寄生虫がたくさんいます。野生での生活の中で怪我や病気を患っていることもあるでしょう。怪我や病気の不快感が原因で威嚇されることもあるため、飼育する前には必ず動物病院で健診を受けてください。
先住猫に病気を移してしまわないよう、ワクチン接種やノミ・ダニの駆除は必ず終わらせておきましょう。また、発情期を迎える前の猫には去勢・避妊手術を行い、感染症や病気のリスクを減らすよう努めてください。
先住猫や人間の赤ちゃん・子供との対面は慎重に進める
野良猫の場合は、人間よりも早く先住猫に心を開くことがあります。ただ、先住猫の性格次第では受け入れてくれないこともあります。威嚇や激しい攻撃に合うことも考えられるため、初めて対面させる際は
- お互いの匂いのついた毛布などを交換する
- ケージ越しに対面する
- 直接対面する
このような順序を踏むことをおすすめします。また、赤ちゃんや子供との対面も慎重に進めてください。赤ちゃんの泣き声や子供の無邪気な接し方は、猫にとっては恐怖心を抱く原因になります。猫が怖がる場合には無理やり対面させず、自分から近づくのを待ってあげてください。
まとめ
野良猫が室内飼いになれるまでのステップを紹介しました。
【野良猫が室内飼いに慣れるまでの期間】
- 人馴れした猫なら2〜3週間、中には数ヶ月〜数年かかる猫もいる
- 1歳未満の子猫や、社会化期に人間と触れ合った猫は慣れやすい
【野良猫が室内飼いに慣れるまでのステップ】
- 広いケージの中で生活し環境になれてもらう
- おやつやおもちゃを使って人になれてもらう
- ケージから出し部屋を探検させる
- 無理に行動範囲を広げようとせず、猫のペースにまかせる
【野良猫が室内飼いに慣れるまでの注意点】
- 慣れるまでに時間がかかっても猫の個性として受け入れる
- 飼育前に動物病院で健診を受ける
- 先住猫や人間の子供赤ちゃんとの対面は慎重に行う
野良猫が家猫になるには、さまざまな準備が必要で大変かもしれません。しかし、野良猫は、もっと強いストレスや不安を抱えていることを忘れないでください。少しでも安心して家猫になれるよう、優しく見守ってあげてください。