猫の歯の種類や構造、病気について

猫の歯の種類や構造、病気について

普段あまり気にかけない猫の歯ですが、猫の歯はヒトとどう違うのでしょうか。どんな形をしているのか、どんな種類があって、それぞれの歯はどのような役割を果たしているのか、等の気になる疑問にお答えします。また、猫に特徴的な口腔内の疾患についても詳しく述べたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の歯の分類

猫の歯

猫の歯は、二代性歯といって、まず乳歯が脱落して後に永久歯が生えるタイプで、実は人や犬と同じなんです。

猫の歯の種類

歯の種類は前から切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯に分けられます。切歯は前歯、犬歯は1番尖っている歯で、前臼歯、後臼歯は奥歯となっています。

猫の歯の数

永久歯の数は30本で、それぞれ上下左右切歯が3本ずつあります。犬歯は1本ずつで、前臼歯が上3本、下2本、後臼歯が上下とも1本という歯式になっています。

歯並びが弓なりの形を作ることを歯列弓といいますが、猫は咀嚼の際に上下歯列弓が完全には一致しない不等顎型と言われています。

猫の歯の構造

猫の歯アップ

猫の歯の構造は、見えている歯の1番表面部分がエナメル質といって、動物体中で1番硬い組織だと言われています。その内側はゾウゲ質で出来ており、歯の中心部である歯髄腔を包んでいます。

猫の歯の病気

黒い背景 スコティッシュフォールド

実は、猫も歯肉口内炎になりやすいと言われています。口内炎といっても、難治性口内炎や、慢性潰瘍性歯肉口内炎、潰瘍性増殖性口峡炎など、何種類かに分けられるそうです。

口腔内の後ろ側の粘膜が赤くなり、潰瘍状になったり、粘膜が盛り上がってきたりします。症状として、

  • よだれが多く出る
  • 口の痛みで食欲がなくなる
  • 口を気にする様子が見られる

これらの原因は口腔内細菌やウイルスの関与、猫の免疫反応の異常と考えられています。猫の口内炎の治療は感染予防のため抗菌剤、炎症止めにステロイドやインターフェロン、免疫反応の抑制のためにシクロスポリンといった免疫抑制剤、痛み止めに消炎鎮痛剤などを症状に合わせて処方されます。

しかしこれら内服薬での内科療法のみでは治療効果が得られない場合には、感染源となっている歯を抜歯する治療法があります。後ろの歯の部分に広範囲に炎症が広がっていれば、全部の臼歯抜歯を行うと症状が緩和することがあります。

ただしこれらの治療の効果は約60パーセントと言われているので、必ずしも抜歯をすることで完治するとは限りません。ちなみに、全部の歯を抜歯する全顎抜歯は90パーセントほどの効果が得られるようです。早いもので1〜2ヶ月で完治する場合もありますし、数年かかることもあるようです。

これほど猫の口内炎の治療はやっかいなものなのです。猫も普段からハミガキをする癖をつけておくと、病気のリスクを減らせます。

まとめ

獣医に歯を見られる猫

猫の歯は人と同じような分類と構造を持っていますが、難治性の口内炎が多いと言われています。ごはんを食べにくそうにして、口を気にしている様子があれば、歯が原因かもしれません。愛猫の健康のためにも、普段から歯のチェックをしてあげましょう。

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