猫カゼにサプリメントが効く?
猫ちゃんの目と鼻がグズグズしている、、、カゼかなぁ、よくある猫カゼの症状ですよね。
いわゆる猫カゼと言われているものの多くは、ヘルペスウイルスと呼ばれているウイルスによる鼻気管炎の場合が多いです。
サプリメント『L-リジン』って効果あるの?
重症の場合は、抗ウイルス剤や抗生剤を処方されることも多いかと思いますが、症状が軽い場合はL-リジンが配合されているサプリメントで様子を見ましょう、と言われたことがある猫ちゃんは意外と多いのではないでしょうか?
今回はずばり、リジンって効果あるの?という疑問についてお話ししたいと思います。
そもそも猫のヘルペスウイルスって?
大きなグループわけでいうと、ヒトでも疲労のバロメーターともいわれ、ストレスなどに影響されて口の周りに出るブツブツ…アレです。ネコちゃん(ネコヘルペスウイルス1型)の場合は、主に風邪様の鼻気管炎として症状が出るのが特徴です。
比較的感染力が強く、症状が落ち着いたと思っても、神経節に潜伏感染するので体内から一掃するのは至難の業※と言われています。このヘルペスウイルスの増殖を、L-リジンは抑えると広く信じられているので、今日でも処方されているのだと思います。
L-リジンってどう効くの?
リジン自体には抗ウイルス効果はなく、アルギニンというアミノ酸が関係してきます。アルギニンとはウイルスが増殖するときに必要な成分で、これを減少させることによりウイルスの増殖を防ぐという仕組みです。
リジンとアルギニンは構造が似ており、互いに拮抗することが知られています。
リジンの体内濃度が高いと相対的にアルギニン濃度が下がり、二次的にウイルスの増殖を抑制できると考えられているので、猫カゼにはリジンという図式になっているのですね。
実際、猫ちゃんに効くの?
学術的には効かないとされています。
猫ちゃんの体内においては、リジンはアルギニンに拮抗することはなく、フードにリジンを添加しても血中アルギニン濃度に影響しなかったことがわかっています。
また、猫腎細胞を用いた試験(in vitro)では、リジンにウイルス複製を抑制する効果がなかったこと、実際に猫ちゃんにリジンを投与して、臨床症状を比較した試験(in vivo)では投与群、非投与群に差がなかったことが、実験で示されています。
L-リジンに副作用は?
基本的にはアミノ酸なので、重篤な副作用はないです。
また、リジン、アルギニンは両方必須アミノ酸といって、猫ちゃんは体内で合成できないので食べ物から摂取する必要があります。
ここで先ほどの話に戻り、猫ちゃんの体内ではリジンの投与によりアルギニン濃度を下げることはないとされていますが、「仮に」アルギニン濃度を下げてしまった場合には、高アンモニア血症などの致死的な副作用が発現する可能性はあります。
さらに一部の報告では、リジンを投与することで感染を増悪させることがあるようなので、一概に副作用が全くないとは断言できないと考えます。
まとめ
L-リジンの抗ウイルス効果を示す、科学的な根拠はないと言っていいと思います。
過去には効果があると信じられており、様々なサプリメントが流通していますが、かえって感染を悪化させるかもしれないとの報告もあるので、サプリを服用させるかは飼い主さん次第ではありますが、大事をとって摂取しない方がいいのではないでしょうか。