なぜ猫に静電気が発生するの?
なぜ猫に静電気が起こってしまうのか、その原因は「空気の乾燥」と「摩擦」です。猫や人を含め、身の回りの全てのものはプラスとマイナスという2種類の電気を帯びていて、猫はプラスの電気をためこみやすい性質があります。
通常は空気中の水分によってたまった電気を逃してくれるのですが、空気が乾燥してしまうと電気の逃げ場がなくたまる一方です。
電気がたまった状態で、猫の習性であるにおい付け(スリスリ)や飼い主との触れ合いなどで摩擦が起こると、静電気が発生してしまいます。
静電気は猫に痛みを与えたり不安を生じさせたりと影響を及ぼすので、対策を取るためにも、まずは静電気が発生する仕組みについて掘り下げてみましょう。
静電気が発生する仕組み
静電気は、プラスとマイナスの電気のバランスが崩れている状態で発生します。通常、人や猫を含む全ての素材は2種類の電気を同じ数だけ持っていて、バランスが取れている状態です。
しかし素材同士がぶつかるとマイナスの電気が片方に引っ張られ、保たれていたバランスが崩れてしまいます。バランスが崩れたことで生じたプラス寄りとマイナス寄りの電気のことを「静電気」、静電気を帯びた状態のことを「帯電」と呼びます。
ちなみに、私たちが主にイメージする静電気はバチッとした音や痛みを伴うものですが、これらは「放電」という現象です。プラスの電気とマイナスの電気を帯びた素材がぶつかり摩擦が起きた時に、崩れたバランスを戻そうとマイナスの電気が移動することで電流が流れるのです。
猫に静電気が起きやすい環境と条件
猫の静電気が起こりやすくなってしまう環境と条件について見てみましょう。
- 冬場の気温が低い時期
- 空気が乾燥している
- 長毛種や毛量の多い猫種
- 帯電しやすい素材に触れる機会が多い
気温や湿度の面で言うと、暑くて湿度の高い夏場より寒くて乾燥している冬場の方が静電気が起きやすいです。「水は電気を通しやすい」と言いますが、ためこまれた電気は空気中の水分を伝って外に出ていきます。
湿度が低く乾燥していると空気中の水分が失われるため、たまった電気が放出できず、静電気の発生につながるのです。特に、気温が25度以下・湿度が35%以下の環境で静電気が生じやすくなります。室内ではエアコンを使うことでも乾燥するので注意が必要です。
猫の毛は電気を帯びやすい
猫に触れた時だけでなく、ブラッシング中にもバチッと静電気が起きてしまって痛い思いをしたことはありませんか?猫は、皮膚よりも毛の方がプラスの電気がたまりやすい性質を持っています。
1本ずつ全ての毛に電気がたまっているので、長毛種や毛量の多い猫は帯電する量が多くなり、ブラッシングの摩擦が原因で静電気が発生してしまうのです。
猫の毛が乾燥していたり、抜け毛がたまっていたりするのも放電が起きやすくなるポイントなので注意しましょう。
帯電しやすい素材に触れる機会が多い
猫の毛がプラスの電気を帯びやすいように、マイナスの電気を帯びやすい素材もあります。私たちの身近では、衣服や毛布によく使用されるアクリル繊維、こたつ布団の中身に使われるポリエステルなどがマイナスに帯電しやすいです。
マイナスに傾きやすい素材のものは猫が触れた時に放電が起こりやすくなるため、猫のベッドやタオルなどの素材は綿や麻をおすすめします。
アクリル繊維の毛布など、放電の際にバチバチと火花が光るケースもあるので用心してくださいね。
猫の静電気に関するトラブル
静電気が発生することによって猫にどのようなトラブルが起こるのかを知って、未然に防げるよう努めましょう。
痛みで飼い主に不信感を抱かせる可能性がある
猫に触れた時に静電気が起こると、痛みや音でびっくりしますよね。猫も同じく痛みや驚きを感じているのです。
飼い主は静電気というものを知っていますが、猫は何が何だか分からない状態なので、「飼い主が触る=痛い」という風に結びついてしまい、飼い主に対して不信感を高めるかもしれません。
怪我や病気を抱える猫にとってもストレスは体調を崩す引き金になるなどの悪影響を及ぼします。
ホコリや花粉を引きつけアレルギーの原因になる
静電気には、ホコリや花粉を引き寄せてくっつけてしまう性質があります。猫の毛にたくさんのホコリや花粉がついてしまうことで、呼吸や毛づくろいなどで体の中に取り込まれ、アレルギーの発症リスクが高まるのです。
さらには、抜け毛とともにホコリなど消化できない異物を飲み込むことになるので、毛玉ができてしまう可能性も考えられます。
猫の静電気対策
普段の生活で完全に静電気を防ぐのは難しいことかもしれませんが、予防のために飼い主が取り組める行動はたくさんあります。静電気で嫌な思いをしないよう、猫の静電気がすごい場合の対策と静電気の取り方を紹介します。
静電気防止スプレーを使う
ブラッシングは猫の健康な被毛を保つために必要不可欠ですが、ブラシと毛の摩擦によって静電気が起きやすくなってしまいます。そこで、ブラッシング前にあらかじめ猫用の静電気防止スプレーを使って猫の毛への帯電を防ぎましょう。
静電気防止スプレーは市販のものだけでなく、精製水に椿油やオリーブオイルを少量入れた手作りスプレーでも十分代用できます。また、霧吹きや濡れタオルで被毛に潤いを与えてからブラッシングを始めるのも有効です。
猫の静電気防止グッズを使う
最近では、着けているだけで猫の静電気除去が期待できる首輪やネックレスなど、様々な種類の帯電防止グッズが販売されています。
猫が違和感なく着けられるように軽くて締め付けすぎない作りになっているほか、電気を通す「導電性繊維」が織り込まれていてたまった電気を逃してくれるのです。
猫の首輪と同じデザインの飼い主用アクセサリーが付いているタイプもあるので、愛猫を静電気から守りつつお揃いを楽しむこともできますよ。
加湿器で湿度を調整する
静電気の主な発生理由のひとつは「空気の乾燥」ですので、加湿器や濡れたタオルを部屋干しするなどして部屋の湿度を高めておきましょう。
室内の湿度が40〜60%ほどだと猫が快適に過ごせると言われています。静電気が起きやすいのは湿度35%以下なので、猫が過ごしやすい湿度に保っておけばおのずと帯電を防ぐことができるのです。
猫を触る前に放電して予防する
愛猫が甘えてくると思わず手を伸ばしてしまいそうになりますが、一旦グッとこらえて、部屋の壁に触れつつ愛猫を触るようにしてください。帯電したまま猫に触ると、放電が起きて痛みを伴う危険があります。
壁が近くに無い場合は木製の机や棚でも良いので、電気を逃しながら猫に触れることを頭に留めておきましょう。静電気は細いものほど強く放電してしまうので、指先で鼻や体に触れるのではなく、手のひらで撫でると痛くないですよ。
飼い主も保湿をする
猫だけでなく飼い主の手の保湿も重要です。スキンケア用品やハンドクリームを使って、手に水分を与えることでたまっている電気を逃しましょう。
部屋に観葉植物を置く
インテリアの一環として部屋に観葉植物を置いている方も多いのではないでしょうか?
観葉植物は見ているだけで癒されますが、実は静電気対策にもなるのです。観葉植物からはマイナスイオンが出ていて、猫の毛や皮膚にたまっているプラスの電気を減らしてくれます。
さらには、根から吸収した水分を空気中に出す「蒸散」という働きのおかげで、湿度をほどよく調整してくれるのです。ただし、猫が口にすると中毒を起こす観葉植物もあるため、置く前にしっかり確認してください。
猫が触れるものを静電気が起きにくい素材に変える
カーペット・ラグ・猫用ベッドなど、猫が触れる機会の多いものを静電気が起きにくい素材に変えるのも一つの手です。
アクリル繊維やポリエステルなどの化学繊維は帯電しやすいので、木綿やウール素材に変えたり、静電気予防のできるベッドカバーを被せたりすると静電気を抑えられます。
猫の静電気防止グッズおすすめ5選
猫を飼育している筆者が選ぶ、大切な愛猫を静電気から守るおすすめグッズを5つ紹介します。気軽に購入しやすいamazonや楽天から選びましたので、毎年バチバチに悩まされている方、猫の静電気を取りたい方はぜひお役立てください。
LION クイック&リッチ ブラッシングトリートメント ノンフレグランス
ブラッシング時に被毛から10cmほど離してスプレーすることで、絡まりや摩擦を軽減し、静電気の発生を抑えてくれます。毛玉の発生も少なくなりサラサラな手触りに。
ブラシや手に抜けた毛が付きやすいですが、それだけ抜け毛除去の効果が高いと言えます。直接スプレーが苦手な子には、手に付けてから被毛になじませましょう。
jindai 小型犬・猫用 静電気軽減ネックレス
amazon・楽天共に評価が高かった、静電気を軽減してくれる首輪です。導電性繊維が織り込まれていて、ゆるやかに電気を空気中に逃してくれます。
装着の時に毛に埋もれないように着用する必要があるため、長毛種の猫は着け方を工夫すると良いでしょう。着脱とサイズ調節が簡単なので、様々な大きさの猫に向いています。
【フラワーリング】 ANTI SHOCK静電気防止ヘアブレスレット
こちらは飼い主さん向けの静電気除去グッズで、ヘアアクセとしてもブレスレットとしても使える、猫と星のモチーフが可愛らしい商品です。
腕に着用していると猫を撫でてもバチッとしないというレビューが多く好評ですが、効果には個人差があります。普通のアクセサリーとして付けてもすてきなので、気になっている方は試してみてはいかがでしょうか。
ファーミネーター 大型猫 L 長毛種用
健康な毛は傷つけずに抜け毛だけをスッキリ取り除いてくれるファーミネーター。長毛種用と短毛種用があり、帯電しやすい長毛種の猫や毛量の多い猫におすすめの商品です。
優しく撫でるだけで抜け毛が取れ、ワンプッシュで取れた毛を捨てられる優れもの。部屋の掃除も楽になり一石二鳥です。皮膚が弱い猫やアレルギーを持った猫への使用は控えましょう。
IDOG&ICAT Botania IDOG&ICAT Botania ラウンドベッド アイドッグ アイドッグ ボタニカル
Botaniaという、植物由来の保湿加工がされており、ベタつかないのに被毛の乾燥を防ぎ静電気を発生させにくくしてくれます。寝ているだけで毛艶がアップするのもうれしいポイントです。
あらかじめメーカーの社犬・社猫が試してから商品化されているので安心の品質です。封を開けてすぐは臭いを感じるかもしれないですが、天日干しをすると問題なく使えますよ。
静電気対策 レザーアニマルチャーム
犬・猫・クマの3種類の動物がモチーフとなっている静電気除去キーホルダーです。電気を通す性質の縫い糸を使っていて、触るだけで体にたまった電気を逃してくれます。
外出から帰ってきた時にドアノブに触れるのが不安だという方にもってこいでしょう。ずっと触っていられるわけではありませんが、いざと言う時に心強いアイテムですね。
猫の静電気がひどい時の注意点
静電気が起こると、猫が痛い思いをしたり痒みを引き起こしたりと悪影響を及ぼすことが考えられます。中には静電気の刺激が好きという猫もいますが、ストレスを抱えて不安になる猫は多いでしょう。
そうならないためにも、猫の静電気がひどい場合に注意したいポイントと解決策をお伝えします。
静電気の刺激で痒みが出てしまう
猫が帯電しているとホコリや花粉の他にノミやダニも引き寄せ、被毛や皮膚に付着した時に強い痒みを引き起こします。
痒みから何度も舐めることで乾燥や脱毛につながるほか、アレルギー体質の猫は肌荒れを起こすこともあるので注意が必要です。被毛の保湿をしっかり行い、ブラッシング時などの摩擦で帯電しないよう対策をしましょう。
痛みに敏感な猫のストレス要因になる
猫が静電気で感じる刺激や痛みには個体差がありますが、まだ小さい子猫や痛みが苦手な猫だと、「飼い主に叩かれた?」と思ってストレスになってしまうかもしれません。
飼い主が触る時に頻繁にバチッとしていると、いずれ嫌われる心配もあるので、猫に痛みと不安を与えないよう、静電気を逃してから触れ合いましょう。
まとめ
人間と同じく猫にも静電気は発生します。特に空気が乾燥しやすい冬場に、飼い主の着ている衣服や猫用ベッドなどとの摩擦によってためこんだ電気がバチバチと放たれるのです。
静電気による痛みは飼い主への不信感につながるほか、毛玉の原因、アレルギーの発症、皮膚トラブルなど様々な悪影響を及ぼします。日頃から以下のような対策を取ることで、猫が快適に過ごせるようになります。
- 静電気防止スプレーやグッズの活用
- 湿度40〜60%になるように部屋を加湿
- 壁や木製家具にタッチしながら猫に触れる
- 猫も飼い主も保湿をする
- 猫が触れる機会の多いものの素材を見直す
猫との時間を心置きなく楽しむためにも、私たちができることから始めていきましょう。