猫にカモミールは危険じゃない
カモミールは猫にとって安全なハーブとされ、少量であればフードや飲み水に混ぜることもできます。カモミールは猫にとってさまざまな効果が期待でき、作用も穏やかなため、高品質な材料を使用して作られている「プレミアムキャットフード」の原材料にも含まれていることがあります。
カモミールは春先に白い小さな花を咲かせる、りんごのような香りがするハーブです。古くから薬草として利用され、日本には19世紀頃にヨーロッパから持ち込まれました。現在ではカモミールティーとして手軽に飲用されるなど馴染みの深いハーブですので、猫との生活に取り入れている方も多いでしょう。
猫がカモミールから得られる効果
- 安眠効果
- リラックス効果
- 抗炎症作用
- 口臭予防
- 利尿作用
カモミールは気分を落ち着かせる作用や、リラックス効果があることで知られています。抗炎症作用も期待でき、胃腸が弱っている時や皮膚のトラブルがある時などには、症状を穏やかにしてくれるようです。
猫は飼い主の接し方や環境の変化などでストレスを感じやすい動物なので、カモミールを取り入れることで、猫の緊張を穏やかにすることができるかもしれません。猫に与えるときはカモミールの生花を細かく刻んだものや、乾燥させて細かくしたものをフードに混ぜます。カモミールティーは薄めたものを与えるようにしましょう。
猫の皮膚に炎症やかゆみがある場合は、カモミールティーをコットンなどに含ませ患部にやさしくあててあげると、皮膚の状態を整える効果があるようです。
猫にカモミールを与える際の注意点
キク科のアレルギーを持つ猫には与えない
特定の植物にアレルギー反応を示す猫もいます。カモミールはキク科に分類されており、過去にキク科の植物でアレルギー反応が出た経験がある猫には、カモミールを与えてはいけません。
キク科の植物にはブタクサやヨモギなどがあります。これらの植物を口に含んだり触れたりした時にかゆがる、毛が抜ける、くしゃみや鼻水が出る、などの症状が見られたら注意が必要です。
アロマオイルを与えるのはNG
カモミールに限らずアロマオイルや精油を猫に与えてはいけません。近年の研究でネコ科の動物は、精油の成分を代謝するのに必要な「UDP-グルクロン酸転移酵素」を体内で十分に作れないことがわかってきました。他の動物では無害とされているものでも、猫の体内では解毒することができず、中毒症状を引き起こしてしまいます。
アロマオイルにはハーブから抽出される精油が含まれています。ハーブの種類によって精油の成分が異なりますが、そのうち、ピネン、リモネン、フェノール類、ケトン類は特に猫に対する毒性が高いといわています。カモミールの精油はケトン類に属しますので、猫には使用することができません。誤って口にしてしまうと重大な事故となりかねませんので、猫がいる場所にアロマオイルや精油は置かないようにしましょう。また猫がいる空間での芳香浴もおすすめできません。
カモミール以外で猫に毒となるハーブや植物
ラベンダー
ラベンダーは非常に香りが良く、人気のある植物ですが、猫にとっては大変危険なハーブです。食べるだけではなく匂いを嗅ぐだけでも、腎臓や肝臓に影響を与えるといわれています。ラベンダーによる中毒症状を引き起こすと、嘔吐や筋肉の痙攣、運動失調などの症状が現れるので、猫のいる家庭では育てないほうがよいでしょう。
ラベンダーには複数の種類がありますが、猫にとって危険なものはアングスティフォリア系やデンタータ系などの6種類だといわれています。
ユーカリ
コアラが好んで食べることで有名なユーカリですが、およそ600種類あり、中には毒性のあるものもあります。ユーカリの葉に含まれる「青酸配糖体」は青梅に含まれている毒素と同じもので、下痢や嘔吐などの胃腸症状を引き起こします。
ユーカリは精油で使うこともありますが、成分にピネンを含みます。猫が舐めたり触れたりすることは危険ですので、管理には厳重な注意が必要です。
ポインセチア
クリスマスフラワーの別名があるポインセチアですが、葉と樹液にフォルボールエステルという毒が含まれています。猫が口にすると、肝臓や腎臓に大きな負担をかけ、下痢や嘔吐、腹痛や発熱を引き起こします。また樹液に触れると皮膚炎や水疱を引き起こすので注意しましょう。
シクラメン
寒い時期に室内で育てることが多いシクラメンも猫にとっては危険な植物です。花だけではなく葉や根にも毒性が含まれており、嘔吐、下痢などの胃腸障害や神経麻痺を引き起こすといわれています。大量に摂取すると痙攣や全身の痺れなどの症状が現れ、最悪の場合は死に至りますので、猫のいる部屋に置かない方がよいでしょう。
まとめ
カモミールは猫にとって安全とされるハーブです。気持ちを穏やかにさせ、炎症を穏やかにするといった作用が知られており「人気のあるハーブ」ですが、薬のように即効性のあるものではありません。あくまで嗜好品のひとつとして取り入れましょう。猫の中にはカモミールの匂いを嫌がる猫もいますので、使用する時は愛猫の様子を良く観察してください。
ハーブの中には猫にとって非常に有毒なものも存在します。正しい知識がないと命に関わる場合もありますので、使用する際には注意しましょう。