猫にレモングラスを与えると危険?
レモングラスはイネ科のハーブで、レモンの香りがします。猫草に似ているためか、レモングラスを好む猫も多いようです。ただし、何事にも適量があり、摂り過ぎると毒になってしまうので注意しましょう。
ここでは、猫が好むレモングラスは猫に与えても危険はないのかを解説していきます。
そのままの状態で少量食べる程度なら大丈夫
レモングラスは、一般的に猫草と呼ばれる植物と同じイネ科の植物です。レモングラスも植物の状態であれば、少量であれば猫が食べても問題ありません。
ただし、レモングラスには猫が大量に摂取すると中毒を起こす可能性のある成分が含まれているので、与えすぎには注意が必要です。
エッセンシャルオイルは中毒に陥る危険性がある
レモングラスの植物から抽出されるエッセンシャルオイル(精油)は、猫に近づけたり、与えたりしてはいけません。なぜなら、芳香剤や合成フレグランスが含まれているため、猫が中毒を起こす危険性があるためです。
また、猫は肉食動物なので、私達のように雑食の人間と代謝の仕組みが違います。人間が問題無く代謝できる「エッセンシャルオイル」に含まれる化学物質を猫は上手く代謝できません。
エッセンシャルオイルは、色々な植物の成分を抽出して濃縮していますが、その植物の中には猫が摂取すると中毒症状を起こす物も含まれている場合もあります。
実際にエッセンシャルオイルを摂取して猫が死亡したという事例があります。
レモングラスが引き起こす猫の注意すべき症状
少量であれば、猫がレモングラスを食べても問題ありません。しかし、レモングラスを摂取することによって引き起こす、注意すべき症状についても知っておきましょう。
食べ過ぎると猫に起こる症状
レモングラスを植物のままでも食べ過ぎると下記の症状を引き起こす可能性があります。
胃や食道を傷つける
レモングラスのようなイネ科の植物は成長しすぎると固くなります。猫が硬い物を食べ過ぎると、胃や食道を傷つける危険性があり、それによって嘔吐や食欲低下につながる可能性もあります。
過剰な嘔吐や食欲低下など
レモングラスや猫草のような植物は、食べることで胃を刺激し嘔吐を起こします。胃腸を整えることを期待できる植物ですが、食べ過ぎると過剰な嘔吐をして食欲が低下する可能性があります。
腸に詰まらせる
植物のまま食べさせすぎてしまうと、腸に詰まらせてしまう可能性があります。その場合、腸内から自然と排出されれば良いのですが、最悪は開腹手術になることもあります。
あまり噛まずに丸呑みしがちな猫には、与えすぎには注意しましょう。
精油の誤飲やアロマによる猫の危険な中毒症状
精油(エッセンシャルオイル)の誤飲やアロマの摂取は、これらに芳香剤が含まれているため香りを嗅ぐだけで中毒症状を起こします。
リラックスするため、つい加湿器やアロマディフューザーで部屋に精油やアロマを焚いてしまいますよね。しかし、拡散させることで猫の皮膚から体内に入りこみ中毒を引き起こす可能性があります。
猫が精油の誤飲や、アロマを摂取すると下記の中毒症状がみられます。
流涎(りゅうぜん)
口の中に含んだ精油などの刺激を和らげようとして、よだれが多く分泌されます。
水分やフードを食べると落ち着くということもあるようですが、口に含んでしまった場合は刺激物ですので必ず動物病院で受診するようにしましょう。
下痢
猫が精油を誤飲してしまうと、上手く代謝できないためお腹の調子が悪くなり下痢になることもあります。
嘔吐
精油を誤飲してしまったりアロマを嗅いでしまうと、人間よりも嗅覚が優れている猫にとって刺激が強すぎるため嘔吐することもあります。
食欲低下
下痢や嘔吐などの症状が続くと、食欲不振になることがあります。
レモングラスで猫の体調が悪化した時の対処法
猫にレモングラスを与えて、体調が悪化してしまった時の対処法をご紹介します。
与える量を減らす
猫がレモングラスを食べ過ぎて体調を崩した場合は、与える量を調節しましょう。レモングラスを出しっぱなしにしておくと、猫が食べてしまうので、与えないときは片付けておきましょう。
レモングラスや猫草は、少量であれば、胃を刺激して毛玉を吐かせたり、腸を整えたりする効果が期待できます。
しかし、レモングラスを猫に与えるのを控える場合は、ブラッシングの回数を増やす、食物繊維を多く含む食事に切り替えるなどで対策ができます。
子猫や胃腸の弱い猫には与えない
猫は肉食動物なので植物をほとんど消化できません。子猫や胃腸の弱い猫はレモングラスをうまく消化できていないことがあるので与えないようにしましょう。
元気が無かったり嘔吐が多い場合は動物病院へ
レモングラスを食べた後、元気をなくしたり、大量に吐いたりした場合は、できるだけ早く獣医師の診察を受けさせましょう。
食べ物が胃に詰まっているか、レモングラスが体と相性が悪くうまく消化されていない可能性があります。獣医師に状況を伝え、解決策を出してもらいましょう。
レモングラスの健康リスクから猫を守るための対策
レモングラスは少量であれば食べても問題ありません。しかし、体調を崩す可能性があることや、レモングラス関連の植物による中毒の危険性があるため、取り扱いには注意が必要です。
ここでは、レモングラスによる健康リスクから猫を守るための対策についてご紹介します。
一度に食べ過ぎないように摂取量をコントロールする
レモングラスを食べ過ぎると、胃が刺激されることがあります。そのため、過度の嘔吐や下痢を引き起こす可能性があるため、人が猫に与える量をできるだけ抑える必要があります。
猫がレモングラスに興味を示した場合は、隠すなどして食べられないようにコントロールしましょう。
食べることに過剰な執着を見せる場合は病気も疑う
猫がレモングラスを食べることに過剰に執着している場合、病気を患っている可能性があります。
例えば、甲状腺から分泌されるホルモンが過剰になることで起こる「甲状腺機能亢進症」という病気による異常な食欲増進を疑った方が良いでしょう。
甲状腺機能亢進症は高齢の猫に多い病気ですので、年齢の割にたくさん食べたがるということに気づいたら、動物病院で診てもらうとよいでしょう。
甲状腺機能亢進症の治療は、甲状腺ホルモンの過剰分泌を防ぐ薬物療法や、甲状腺の摘出が主なものです。また、ストレスによる嚥下障害で、猫が普段の食事とは違うレモングラスに執着している可能性もあります。
猫はストレスを身体で表現する傾向があり、いつもと違うものを食べたがることがあります。
室内に精油やアロマグッズを置かない
精油やアロマは誤飲だけではなく、空間に拡散しているだけでも皮膚から体内に吸収し中毒を起こす可能性がありとても危険です。
そのため精油やアロマグッズは猫がいる場合は、そもそも置かないことも大切な猫の命を守るためには大切です。
日頃から抜け毛対策のためにブラッシングする
毛玉予防や猫のおやつとして、植物のままの猫草やレモングラスを与えている方もいるでしょう。しかし、レモングラスなどの植物の過剰摂取は猫にとって有害ですので、なるべく与えないようにすることをおすすめします。
例えば、日頃からブラッシングをしてあげると、毛玉の予防になりますし、飼い主とのスキンシップにもなり、ストレスの軽減にもつながります。
ブラッシングでも同様の効果が期待できますので、必ずしもレモングラスを与える必要はないでしょう。
まとめ
レモングラスは、一般的に猫草と呼ばれるイネ科の植物です。そのため、植物のままであれば与えても問題ありません。
しかし、レモングラスの成分を濃縮した「精油」や「アロマグッズ」には芳香剤が含まれており、誤って口にすると最悪の場合、死に至る可能性があります。
また、空間に拡散させただけでも皮膚から体内に入り、中毒症状を起こす可能性があるので、猫がいる場合はそもそも置かないようにする配慮が必要です。
レモングラスを与えすぎると、過度の嘔吐や下痢などの症状が出ることがあるので、与える量は少量にして、食べ過ぎないように飼い主がコントロールすることが必要です。