【獣医師監修】猫に栗を与えても大丈夫!与える際の注意点から栄養素の成分・適量まで解説

【獣医師監修】猫に栗を与えても大丈夫!与える際の注意点から栄養素の成分・適量まで解説

猫は栗を食べても大丈夫?適切な与え方と注意点を解説。栗は猫に与えても良い食材ですが、尿路結石への配慮や肥満防止のため、量と調理法が重要です。皮の剥き方や茹で方、体重別の適量、アレルギーのリスクまで、愛猫に安全に秋の味覚を楽しんでもらう知識を網羅しています。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫は栗を食べても大丈夫?

栗がのったお皿のそばで伏せている猫

栗は猫に与えても問題ない食材です。

栗には猫にとって有害な成分は含まれておらず、秋の味覚として一緒に楽しむことができます。ただし、与え方や量には注意が必要です。

栗は炭水化物を主成分としており、適切な処理をすれば一部は猫のエネルギー源となります。基本的にはおやつ程度の少量にとどめることが大切です。

まずは栗が猫にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。

栗の栄養素と猫への健康効果

ざるの上に置かれたたくさんの栗

栗には猫の健康をサポートするさまざまな栄養素が含まれています。代表的な栄養素とその働きを理解することで、より安心して与えることができます。

カリウムによる細胞の維持

カリウムは、体内の細胞の浸透圧を調整し、水分バランスを保つ働きを持つミネラルです。猫の健康な神経伝達や筋肉の動きをサポートする重要な役割を担っています。

ただし、慢性腎臓病が進行している場合は、尿の排泄機能が低下し、体内のカリウムバランスが変化しやすいため注意が必要です。

食物繊維による整腸作用

栗に含まれる食物繊維は、腸内環境を整えて便秘を予防する効果が期待できます。

特に毛繕いで飲み込んだ毛を排出する助けにもなるため、適度な摂取は消化器の健康に役立つ可能性があります。

ビタミンCによる抗酸化作用

栗は加熱しても壊れにくいビタミンCを豊富に含んでいます。ビタミンCには体内の酸化を防ぐ抗酸化作用があり、免疫力の維持や皮膚の健康をサポートする効果があります。

猫は体内でビタミンCを合成できるため不足は起きにくいですが、加齢やストレスの増加、病気の影響などによって消費量が増えることがあるため、食事から摂取することで補助的に働く可能性があります。

猫に栗を与える際の注意点

栗に鼻先を近づけている猫

安全な食材である栗ですが、与え方を間違えると健康を害する恐れがあります。以下の点に十分注意して、猫の体調に合わせた判断をしてください。

アレルギーに注意

初めて栗を与える際は、アレルギー反応が出ないか少量から試してください。

スコティッシュフォールドやマンチカンなど、どんな猫種でも個体差によってアレルギーを持つ可能性があります。皮膚の痒みや下痢が見られた場合は、すぐに中止しましょう。

尿路結石に注意

栗にはマグネシウムやリンなどのミネラルが含まれています。

これらを過剰に摂取すると、猫に多い疾患である尿路結石(腎臓や膀胱に石ができる病気)を引き起こすリスクが高まります。特に過去に結石を患ったことがある猫には控えてください。

肥満につながるため与えすぎない

栗はデンプン質が多く、野菜や果物の中でも非常に高カロリーな食材です。

日常的にたくさん与えてしまうと、すぐにカロリーオーバーとなり肥満の原因になります。肥満は糖尿病などの病気を招くため、注意が必要です。

のどに詰まらないようにする

栗は食感がホクホクしているため、大きな塊のまま食べると喉や食道に詰まらせる危険があります。

特に丸飲みしてしまう癖のある猫や、喉が細い子猫、飲み込む力(嚥下機能)が衰えたシニア猫に与える際は細心の注意を払ってください。

人間用に加工された栗は与えない

甘露煮やマロングラッセ、栗きんとんなど、人間用に味付けされた加工品は絶対に与えないでください。大量の砂糖や添加物は猫の体に大きな負担をかけます。

また、外側に塩分が付いている場合も腎臓への負担となるため厳禁です。

下痢や消化器が弱っている猫には与えない

消化器官が未発達な子猫や、加齢で機能が低下した老猫、現在下痢をしている猫には与えないでください。

栗に含まれる豊富な食物繊維が、かえって胃腸の負担となり、症状を悪化させる可能性があるためです。

猫に栗を食べさせる際の与え方・調理法

鍋で栗を茹でている様子

猫に栗を与えるときは、生のままではなく必ず適切に調理する必要があります。消化を助け、安全に食べるための手順を守りましょう。

鬼皮・渋皮は取り除き実の部分を与える

栗の硬い外皮(鬼皮)と、渋みのある内側の皮(渋皮)は、猫にとって消化が非常に悪いです。

渋皮にはタンニンが多く含まれ、胃腸を刺激することもあります。これらはすべて取り除き、黄色い実の部分だけを与えるようにしてください。

水で茹でる

調理法は、水からしっかり茹でる方法が最適です。味付けは一切不要ですので、塩や砂糖を入れずに真水で柔らかくなるまで加熱してください。

蒸したり焼いたりする場合も、中心まで火が通って柔らかくなっていることを確認しましょう。

十分に冷ましてから与える

加熱直後の栗は内部に熱を溜め込んでいます。猫は熱い食べ物が苦手なだけでなく、口内の火傷の原因にもなります。

人肌程度の温度、あるいは常温までしっかりと冷ましてからお皿に出してあげてください。

小さくカットもしくは潰して与える

安全のために、茹でた栗は細かく刻むか、スプーンの背などでペースト状に潰して与えましょう。

ドライフードのトッピングとして混ぜてあげると、喉に詰まるリスクをさらに減らすことができます。

猫に栗を食べさせる際の適量

飼い主の手からおやつをもらっている猫

猫に栗を与える量は、1日の総摂取カロリーの10%以内が目安とされていますが、栗は高カロリーなためさらに少なく抑えるのが賢明です。

一般的な成猫(体重4kg程度)であれば、1回に与える量は5g〜10g程度、栗1粒の1/4〜1/2個分に留めましょう。以下の表は、猫の体重別の目安量とカロリーの参考です。

猫の体重 1日の目安量(栗の実) カロリー目安
3kg(小柄な猫) 約5g(1/4個程度) 約8kcal
5kg(標準的な猫) 約10g(1/2個程度) 約16kcal

あくまでおやつとしての量であり、主食の栄養バランスを崩さない範囲で調整してください。

まとめ

ざるの上に置かれた栗と周りに散らばるいがぐり

栗は適切な調理と量を守れば、猫に与えても大丈夫な食材です。

ただし、栗はカリウムや食物繊維などの栄養を含んでいますが、猫にとって必須の食材ではなく、高カロリーでミネラルも含まれるため、与えすぎには十分注意しましょう。

皮を丁寧に取り除き、細かく潰して、愛猫の体調を見ながら秋の味覚を楽しんでください。もし栗を食べた後に少しでも異変を感じたら、すぐに獣医師の診察を受けるようにしましょう。