猫はパイナップルを食べても大丈夫?

結論から申し上げますと、パイナップルは猫に与えても問題ない食材です。猫にとって中毒を引き起こす危険な成分は含まれていないため、安心してください。
私たち人間がおいしく食べているときに、愛猫が甘い香りに誘われて興味を示すことがあります。そのような場合、適切な処理を施したものであれば、おやつとして少量をおすそ分けすることが可能です。
ただし、猫は本来肉食動物であるため、植物性の食べ物の消化吸収が得意というわけではありません。栄養面で必須の食材ではないため、あくまで嗜好品やコミュニケーションの一環として捉えてください。
パイナップルの栄養素と猫への健康効果

パイナップルには、猫の健康維持に役立ついくつかの栄養素が含まれています。ここでは主な栄養素と、それが猫の体にどのようなメリットをもたらす可能性があるのかを解説します。
ブロメライン(タンパク質分解酵素)
パイナップルの最大の特徴とも言えるのが、ブロメラインという酵素です。これはタンパク質の分解を助ける働きがあり、肉食である猫の消化をサポートする効果が期待できます。
また、現時点で明確な科学的根拠は十分ではありませんが、毛づくろいで飲み込んでしまった被毛が胃の中で固まるのを防ぐ可能性も示唆されています。
食物繊維
パイナップルには食物繊維も含まれています。適度な食物繊維は腸内環境を整え、便秘の解消に役立ちます。
特に運動量が落ちてきたシニア猫や、完全室内飼育で運動不足になりがちな猫にとって、お腹の調子を整えるサポート役として機能することがあります。
ビタミンC
ビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力の維持や老化防止に役立つ栄養素です。
健康な猫は体内でビタミンCを合成できますが、年齢を重ねたり体調を崩したりしている時は合成能力が落ちることがあるため、食事から補うことがプラスに働く場合があります。
水分
生のパイナップルは約85%が水分で構成されています。猫はあまり水を飲まない個体も多く、特に夏場は脱水症状や尿路結石のリスクが高まります。
おやつとして与える分であればごく少量に限られますが、美味しく食べることで自然と水分補給ができるため、水を飲むのが苦手な猫にとっては、水分摂取の補助的な役割を果たします。
猫にパイナップルを与える際の注意点

パイナップルは安全な食材ですが、与え方を間違えると体調不良の原因になります。以下の点に十分に注意して与えるようにしましょう。
アレルギーに注意する
稀にですが、パイナップルに対してアレルギー反応を示す猫がいます。初めて与える際は、ごく少量からスタートし、食べた後の様子を観察してください。
口の周りを痒がる、皮膚が赤くなる、下痢や嘔吐をするといった症状が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
高血糖や糖尿病の猫は要注意
パイナップルは果物の中でも比較的糖分が多い食材です。糖質の過剰摂取は肥満につながるだけでなく、血糖値を急上昇させるリスクがあります。
特に、糖尿病の治療を受けている猫や、肥満気味でダイエットが必要な猫には、原則として与えない方が賢明です。
胃腸の弱い猫には与えない
パイナップルに含まれる酸味成分や豊富な食物繊維は、胃腸が敏感な猫にとっては刺激が強すぎることがあります。
消化不良を起こして下痢や軟便になる可能性があるため、普段からお腹を壊しやすい猫や、消化機能が未発達な子猫、衰えている老猫には控えた方が無難です。
缶詰のパイナップルはNG
今回「大丈夫」としているのは、あくまで「生のパイナップル」に限ります。人間用に加工された缶詰やドライフルーツは絶対に与えないでください。
缶詰はシロップ漬けにされており、猫にとって糖分過多です。保存料などの添加物が含まれている場合もあるため、必ず生の果実を選ぶようにしましょう。
猫にパイナップルを食べさせる際の与え方・調理法

猫にパイナップルを与える際は、人間が食べるサイズそのままでは危険です。猫が食べやすく、消化しやすいようにひと手間加えることが大切です。
細かく切って与える
猫は食べ物をあまり噛まずに丸呑みする習性があります。大きな塊のまま与えると、喉に詰まらせて窒息する恐れがあり大変危険です。
1cm角よりもさらに小さく、粗みじん切りのような状態まで細かく刻んであげてください。フードのトッピングとして混ぜるのも良い方法です。
芯と皮を取り除く
パイナップルの皮は硬くて鋭いため、口の中や消化器官を傷つける可能性があります。また、中心にある芯の部分も繊維が硬く、猫にとっては消化しにくい部位です。
これらは必ず完全に取り除き、人間が食べる柔らかい果肉の部分だけを選んで与えるように徹底してください。
ミキサーにかけてジュースにして与える
固形物を食べるのが苦手な猫や、消化機能への負担を減らしたい場合は、ミキサーにかけてジュース状にするのがおすすめです。
少量の水と一緒に攪拌してピューレ状にすれば、舐めて摂取できるため誤嚥のリスクも減ります。水分補給としてもより効果的になります。
猫にパイナップルを食べさせる際の適量

猫に与えても良いパイナップルの量は、ごくわずかです。体重4kg程度の一般的な成猫であれば、1回に与える量は「小さじ1杯程度(約5g〜10g)」を目安にしてください。
カロリーで換算すると、猫のおやつは1日の総摂取カロリーの10%以内に収めるのが基本ですが、パイナップルは糖分が多いため、さらに少なめに見積もる必要があります。
人間にとっての一口サイズでも、体の小さな猫にとっては大量の糖分と繊維質になります。「ほんの少し香りを楽しむ程度」と心得て、与えすぎないように注意しましょう。
まとめ

パイナップルは、与え方と量を守れば猫にとって害のない食材です。ブロメラインによる消化サポートや水分補給といったメリットも期待できます。
しかし、高糖質であることや、芯や皮の処理が必要であることなど、注意すべき点も多くあります。特に缶詰ではなく生の果実を選ぶことは必須条件です。
愛猫の健康状態や体質をよく考慮した上で、アレルギーなどに注意しながら、コミュニケーションの一つとして上手に取り入れてみてください。