猫は紅茶を飲むのはNG?飲んだ時の対処法や成分の影響

猫は紅茶を飲むのはNG?飲んだ時の対処法や成分の影響

猫が紅茶を飲んでしまった!そんなことがおこったら焦ってしまいますよね。猫にわざわざ紅茶を飲ませる方はいらっしゃらないでしょうが、飼い主様の紅茶を盗み飲みをしてしまうことがあるかもしれません。いったい、猫は紅茶を飲んでも大丈夫なのでしょうか?また、飲んだときはどのような影響があるのでしょうか?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫は紅茶はNG

猫と紅茶

結論からいいますと、猫は紅茶を飲んではいけません。その理由として紅茶の中には猫にとって有害な成分が数多く含まれているということです。紅茶を飲む以外にも、猫がティーバッグの茶葉を食べることも危険です。茶葉には紅茶以上に有害な成分が含まれているほか、腸に詰まることにより腸閉塞を引き起こす危険もあります。

紅茶はクッキーやケーキといったお菓子に使われることもありますが、こちらも茶葉が入っているため駄目です。基本的に、猫に紅茶を使った製品は与えてはいけないと覚えておきましょう。

紅茶に含まれる成分の影響

カップに近づいている猫

猫にとって危険な「カフェイン」

紅茶の中でもっとも気を付けたいのがこちらのカフェインです。コーヒーに多く含まれているイメージですが、紅茶にもカフェインは含まれています。ヒトにとって適量のカフェインはほどよく脳を刺激してくれる大変いいものですが、猫にとっては危険な成分でしかありません。

もし猫がカフェインを摂取してしまうと、心筋と中枢神経が過剰に刺激されてしまい、呼吸困難や痙攣などのカフェイン中毒に陥ってしまいます。

カフェイン中毒とは

紅茶にはカフェインが含まれています。このカフェインには精神刺激薬の1つともいわれている興奮作用をもっています。 猫がカフェインを摂取すると心臓の筋肉である心筋と脳と脊髄にあたる中枢神経系を直接刺激させるため様々な症状が現れてきます。

  • 頻脈(脈が速くなる)、不整脈
  • 呼吸が速くなる
  • 異常な興奮(落ち着きがない)
  • 体の震え
  • ケイレン
  • 全身の血管が拡張することで全身性のうっ血、出血をおこす

猫のカフェインの致死量

カフェインの致死量は体重1Kgあたり150㎎なので、平均的な猫でも2~3Lほどの紅茶で死に至ります。猫がそれだけ大量の紅茶を飲むことはほぼないでしょうし、少々紅茶をなめたくらいで死に至ることも少ないでしょう。

しかし、中毒症状を引き起こすカフェイン量は個体差があります。猫ちゃんによっては少量の紅茶でカフェイン中毒に陥る可能性もありますので、猫ちゃんに紅茶を与えないように気をつけましょう。

紅茶に含まれるシュウ酸

紅茶に含まれる成分の中で猫にとって危険なのは「シュウ酸」と「カフェイン」です。そのうちのシュウ酸は摂取しすぎると結石の原因になることで知られています。このシュウ酸は結石になりやすく、尿石症の原因となり尿路結石になってしまうのです。尿路結石は尿路に詰まってしまうと尿が出なくなり尿毒症から亡くなることもあります。

シュウ酸カルシウム結晶はストルバイト結晶と違い、処方食などでも溶かすことができません。もしも膀胱内に結石ができた場合は手術で取り出す場合もあります。それだけシュウ酸は猫にとって危険な成分だといえます。

シュウ酸のほかにもマグネシウムやミネラルといった成分も猫の結石の原因となります。紅茶以外にもお茶にはこれらの成分が含まれていますので、注意をするようにしましょう。

猫が紅茶を飲んでしまった時の対処法

紅茶を飲んでしまうとカフェイン中毒を起こす危険性があるため、猫に紅茶を口にしないように注意してください。

動物病院へ

しかし万が一、猫が誤ってテーブルの上に置いてあった紅茶を飲んでしまうことがあるかもしれません。その場合は呼吸が速くないか、異様な興奮状態やケイレンなどのカフェイン中毒を起こしていないか注意しましょう。

ですが飼い主さんの自己判断で応急処置することで返って重症化する恐れもあるため必ず動物病院に連絡をし、紅茶を飲んだ量や時間、猫の状態などを伝えてください。

コーヒーよりかは紅茶は含まれているカフェインの量が少ないですが、中毒致死量は猫の体重も関係するため特に体が小さい子猫や体重が軽い猫は注意が必要です。

また子猫と成猫でもカフェイン中毒が重症化するスピードも違います。紅茶に含まれているカフェインの量は多くはありませんが、場合によっては時間が経った頃に症状が現れたり、重症化する危険もあるため様子見過ぎないようにしてください。

紅茶以外で猫に与えても大丈夫なお茶

紅茶をじっと見ている猫

紅茶にはカフェインが含まれているため猫に与えることはできませんが、カフェインの含まれていないお茶ならば与えても問題がない場合もあります。

たとえばカフェインの含まれていない麦茶は、猫が飲んでも問題ないと言われています。麦茶には尿路結石の原因であるマグネシウムが含まれてはいますが、コップ一杯程度なら問題ない程度の含有量です。決して麦茶をぜひ飲ませてあげたいというわけではありませんが、愛猫が飲みたがっている場合は少しおすそ分けをしてあげてもいいでしょう。そのほかにも猫に与えてもいいお茶はこれだけあります。

  • 黒豆茶
  • カモミールティー
  • ミントティー
  • ローズティー
  • たんぽぽ茶
  • はとむぎ茶

これらのお茶は与えてもいいとは言われていますが、常用はダメです。お茶の中には麦茶同様、マグネシウムやミネラルが含まれていますので毎日与えていると腎臓病や肝臓病に原因になるほか、尿路結石の危険もあります。与えるときは少量をときどき与える程度にとどめましょう。

まとめ

くつろいでいる猫

猫に紅茶を与えるのは危険です。午後の優雅なひとときを愛猫と一緒に過ごしたいという思いから、少しだけ猫に紅茶をおすそ分けしてあげたい気持ちになる方もいらっしゃるかもしれませんが、その少しだけが取り返しのつかない事態を引き起こす可能性もあります。愛猫の健康のためにも、紅茶を与えないように十分に気をつけましょう。また、紅茶以外のお茶もカフェインの有無やミネラルやマグネシウムといった結石の原因となる成分の危険性をしっかりと理解して、猫に与えるかどうか考えるようにしてくださいね。

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