猫のかかとにハゲを発見!まずはよく観察
- 猫のかかとがカサカサしていないか?
- かかとを舐めていたり痒がっていないか?
- ハゲ方は左右対称か?
猫のかかと部分が毛が薄く、ハゲていると驚いたことがあると思います。元々猫のかかとの皮膚や毛が薄いため、通常であっても黒猫や毛の色が濃い猫ほど目立ち、勘違いしてしまうことも少なくありません。
実際に私も自分の愛猫や友人が飼っている黒猫のかかとがハゲているのではと見間違いしたことがあります。特にかかと部分を気にして舐めていたり痒がっている、皮膚が赤くなるなどの症状がない様子があれば、さほど問題はないと考えられます。
ほとんど、かかとのハゲは問題ないことが多いですが、何らかの原因によってかかと部分がハゲてしまうことがあります。そのため、まずはかかと部分のハゲが赤くカサカサしていないか、舐めていたり痒がっていないか確認しましょう。
またハゲている部分が左右対称や円形状に脱毛していたり、かかと以外にも脱毛がみられ、ハゲている場合は感染性の皮膚病の可能性など何らかの病気が考えられるため、そのような場合は動物病院に受診してください。
猫のかかとのハゲが問題ない場合
かかとが床ずれを起こしてハゲている
皮膚病ではなくても、猫のかかとがハゲてしまうことがあります。
私たち人はかかとを床につけて歩きますが、猫は普段はかかとを浮かせ、つま先だけで歩く動物です。しかし高齢になり体力や筋力が低下していくため、かかとをつけて歩くため床ずれが起き、かかと部分がハゲてしまうことがあります。
座りダコがかかとにできてハゲた
また、次に比較的に多いと考えられるのが体重過多が原因で、座るときにかかとに負担がかかってしまうことです。年齢問わず、猫は座る時はかかと全面を床につけており、かかと部分をメインに体重をかけて支えています。
そのため体重が重くなる分、座る時にかかとの負担が重くかかってしまうためハゲてしまったり、皮膚が硬く厚くなり座りダコができることがあります。高齢や肥満体型により、かかとが擦れたり負担がかかることでハゲてしまうことがあります。
ハゲている事に関しては問題はないと考えられますがその後皮膚が赤くただれたり、潰瘍化することもありますので柔らかいマットを敷いたり、減量させるなどの予防・対策が必要です。
猫のかかとのハゲが病気やケガの場合
猫のかかとのハゲから出血している場合
ハゲているかかと部分に炎症が起きてしまうと痒みが生じることがあります。
痒みが生じると掻きむしったり異常に舐めたり噛んだりすることで、かかとの皮膚がただれて出血することがあります。
痒みを伴う場合は何らかの感染性による皮膚炎やアレルギーなどの可能性があり、その場合はかかと以外にも症状が現れてきます。
猫のかかとのハゲが赤い場合
猫は寒さに弱い動物なので、冬になると暖房の前にいたり温かいホットカーペットの上によく座っている事が多くなると思います。
しかし、温度によっては長時間ホットカーペットなどの上に座ってしまうことで低温ヤケドを起こし、かかと部分の皮膚が赤くハゲてしまうことがあります。
ホットカーペットの温度を調節したり、タオルや毛布などで包み直接当たらないようにすることです。
また、掻きむしったり過度に舐めたりすることで、毛が抜けてハゲてしまったり皮膚が赤くなることがあります。痒みを伴うことが多いため皮膚糸状菌症や疥癬などによる感染やアレルギーによる皮膚炎などの疑いが考えられます。
猫のかかとのハゲがかさぶたになっている場合
皮膚の糜爛や潰瘍の状態が続いた場合に、カサブタができることがあります。
また脱毛によりハゲている皮膚にフケやカサブタが多い場合は猫カビやダニなどの感染による疑いが考えられます。
猫のハゲで疑われる病気
猫の身体のハゲが起こる原因として7つ考えられ、それぞれ紹介したいと思います。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症は別名「猫カビ」といわれる病気で、真菌である皮膚糸状菌が猫に感染することで発症します。ほとんどが接触感染によるもので、皮膚糸状菌に感染している猫との接触や、菌に汚染されている環境下により感染します。抵抗力の低下も感染の原因になります。
主な特徴として顔や耳先、足先やかかと部分が円形状に毛が抜けるのが特徴です。またハゲている部分やその周囲に大量のフケやカサブタがみられたり、強い痒みを伴うこともあります。
ツメダニ症
ツメダニという寄生虫に感染することで発症する病気で主にツメダニに感染している犬や猫などの動物との接触や、ノミやシラミなどの外部寄生虫や靴、シーツなどによる間接的な接触で猫に感染します。
猫がツメダニに感染すると、ツメダニが寄生している部分を中心に大量のフケや湿疹・カサブタができ、毛が抜けハゲてしまうことがあります。ほとんどが頭や背中が主に現れてきますが、稀に足先やかかとなどにも出てくることがあります。
疥癬
ヒゼンダニが猫に寄生することで発症する皮膚病です。疥癬は猫以外にも多くの哺乳動物に感染しやすい寄生虫といわれており、人にも感染を起こすこともあります。
猫が疥癬に感染すると主に頭や耳を中心に大量のフケ・カサブタ、脱毛、湿疹などが現れてきます。しかし疥癬は他の皮膚病と比べて激しい痒みを伴うため、激しく掻きむしったり噛んでしまうことで皮膚が傷つき出血することが多いです。
ニキビダニ症
猫では稀ですが、ニキビダニが猫の皮膚(毛穴)に感染・寄生することで皮膚に炎症を起こします。発生部位としては顔や首などですが、お腹や背中、足先やかかとの四肢などにも炎症が起こる場合があります。
ニキビダニに感染するとその部位が赤くただれてしまい、細菌感染が起こると痒みを伴います。掻いてしまうことで毛が抜けてハゲてしまうこともあります。
アレルギー性皮膚炎
皮膚の痒みや脱毛などの症状が続いている場合はアレルギー性の皮膚炎の疑いがあります。人と同様に猫もアレルギーが原因で皮膚に炎症が起きることがあります。
原因であるアレルゲンを吸い込んでしまったり皮膚に付着することで発症します。主に顔や四肢、内股、脇下、お腹部分などの皮膚に症状が現れ、激しい痒みと皮膚の赤み、湿疹が主な症状です。
激しい痒みにより過剰に掻きむしったり舐めて噛んだりすることで毛が抜けてしまい広範囲に及ぶ場合もあります。
痒みの症状が続き、掻いてしまうことで更に状態が悪化し、皮膚が厚くなったり黒ずんでしまうなど慢性化することもあります。アレルギーを引き起こすアレルゲンの要素としては花粉やハウスダスト、ノミやダニ、食べ物などがあげられます。
ストレスによる過剰なグルーミング
皮膚病ではなくてもストレスが原因で過剰なグルーミングにより、毛が抜けてハゲてしまうことがあります。「常同行動」と呼ばれるストレスが引き金に起こる行動で同じ場所をひらすら舐め続ける行動をとります。
ほとんどの場合はお腹周りに多く、毛を舐めたりむしってしまうため広範囲にハゲてしまうことが多いです。猫によってはお腹以外にも腰や背中、四肢などと複数箇所にも見られることもあります。
猫は環境変化に非常に敏感な動物なため、新しい家族が増えたり、引っ越し、部屋の模様替えなどによる生活環境が変わったことが原因によるストレスで引き起こすケースが多いです。
甲状腺機能亢進症または低下症
ハゲている部分が左右対称の場合はホルモン系による病気の疑いが考えられます。その中で猫の喉元にある甲状腺によるホルモンによる病気が原因で毛が薄くなったり抜けてしまいハゲることがあります。
高齢猫に多く発症しやすい甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの量は過剰に分泌されて起こる病気で、人でいえば「バセドウ病」です。
基礎代謝が上がるため同じ食事量でも体重が減少し、その分異常な食事増進傾向になります。他にも落ち着きがなく過剰に鳴いたり、多飲多尿、嘔吐や下痢、被毛がパサつき脱毛によりハゲてしまうなどの症状がみられます。
一方で、逆に甲状腺ホルモンの量が減少する病気の甲状腺機能低下症は人で言うと「橋本病」です。
甲状腺ホルモンは体の代謝を活発にさせる働きを持っているため、甲状腺ホルモンの量が少なくなることで元気がなくなったり、異常に寒がる、太りやすくなる、徐脈、血圧低下、毛が抜けやすくハゲてしまい中々生えてこないなどの症状がみられます。
まとめ
猫のかかと部分は元々皮膚が薄く被毛の量も少ないため普段でもハゲて見えてしまうことがあったり、ほんの些細な事でも毛が抜けてハゲてしまうことがあります。
猫はつま先立ちで歩く動物ですが高齢による筋力低下や肥満による体重過多が原因で、かかと部分が擦れたり重い負担がかかってしまうことでハゲてしまうことがあります。
またストレスによる常同行動により過度なグルーミングが原因でかかと部分などがハゲてしまい広範囲に及ぶこともあります。生活環境の改善や減量させるなど対策をおこなうことで症状が軽減することができます。
しかし、かかとのハゲから出血していたり、皮膚が赤くカサブタができて痒みを伴う場合などは何らかの病気が原因で引き起こしている可能性があり、頭や耳、背中、お腹などに症状が現れます。
場合によっては激しい痒みで掻きむしったり、舐めて噛んでしまうことで皮膚が傷つき化膿してしまう恐れがあり、治るまで時間がかかってしまいます。
またハゲてしまう原因によっては他の猫や人にも感染してしまうものがありますので、少しでも怪しいなと思った場合は動物病院に受診することをすすめます。