猫の泌尿器系の問題が近年増加中
猫と泌尿器の問題は「切っても切り離せないもの」という事は、愛猫家の方ならご存知の事だと思います。
主な病気としては、腎臓病、尿石、膀胱炎、などが挙げられますが、近年ではストレスが原因で起こる「特発性膀胱炎」などもあり、泌尿器の問題で、愛猫が動物病院のお世話になった、という方も多いそうです。
そんな中、猫の「不適切な排泄」と言われる、「おしっこに関する問題行動」で悩みを抱えられている方が増えています。実は私も、愛猫の「不適切な排泄」で悩んでいた1人です。
今回は猫の「不適切な排泄」でお悩みの方の参考になるように、私の経験を交え、この問題の対策について説明したいと思います。
「不適切な排泄」とは?
そもそも不適切な排泄とは、トイレ以外の場所で粗相をしてしまう事を言います。冒頭では、「問題行動」という括りで書きましたが、全てが問題行動に当てはまるわけではありません。泌尿器関係の病気の場合でも同じような症状をしめす事もあります。
そのため、どちらに問題があるにせよ、獣医さんに相談する時は、初めに尿検査を行います。病的な問題であれば、病気自体を治療する事で、「不適切な排泄」を改善される事もあります。
尿検査をしても、血液検査をしても、明らかに異常もなかった場合、問題行動も鑑別には入って来ます。そのような場合、飼い主さんのお話がとても重要になってきます。
例えば、
- 最近猫砂を変えた、トイレを変えた
- トイレの位置を変えた
- 家族が増えた
- 同居の猫を迎えた
など、「猫の環境に変化がなかったか?」がキーポイントになります。なので、相談する獣医には些細な事でも話しておいた方が良いでしょう。中には、マーキング行動の場合もあるので、トイレの仕方もしっかり確認する事が大切です。
そして、猫は思っているよりも繊細で、トイレの環境には敏感だという事を覚えておきましょう。
「不適切な排泄」我が家の場合
我が家の愛猫は動物病院から迎え入れました。その病院ではペットシーツをトイレ変わりにしていた、と聞いていたため、我が家でもそのままの環境を再現するために、ペットシーツを敷き、更にトイレを1つ設置しました。
最初の頃は、ペットシーツでおしっこをしてくれていましたが、一緒に暮らす内に、私たちの寝る布団の上でも、おしっこをするようになってしまいました。
徐々にその頻度が増し、その被害は家族全員の布団にまでおよび、愛猫の粗相に毎晩のように悩まされて眠る日々になってしまいました。
付け焼刃の対策では効果なし
「このままではまずい!」と思い、トイレを私の部屋に持ってきたり、お部屋に入れないようにしたりと対策してみました。しかし、対策が原因で別の問題が起きました。私の部屋でないとおしっこが出なくなってしまったんです。更に、お部屋から締め出されるのがいやなのか、お部屋の前で何度も鳴いていました。
そんな切ない鳴き声を聞くと、どうしてもドアを開けてしまい…そして結局布団でトイレをされる、という事が暫く続きました。
原因はどこにあるのか?
おしっこの匂いが原因ではないか?と、お布団を何度も変えてみたり、匂い消しや猫が嫌いな匂いが出るグッズを置いてみたりもしましたが一向に改善せず。しまいにはこっちが根負けして、おしっこをされてもいいように、高価な防水の布団カバーを買ってしまいました。
知識はあるものの、何が原因なのか特定がなかなか難しく、困り果てていました。私自身が獣医なので、もちろん初めに尿検査を行いましたが、結果何も出ず。ストレス性の特発性膀胱炎を疑い、それに配慮したご飯をあげてみたりもしましたが、特に変化もなく。愛猫の口に合わず食欲が落ちたため直ぐにやめました。
ここまでくると病気の可能性は低く、「問題行動」として解決方法を考える事にしました。そして、この時気が付いたのが、布団で排尿するのは「毎回」ではなかった事。時には、ちゃんとトイレでする事もあったんです。
解決方法は「トイレの数を増やす」
そんなこんなで、「そもそも、トイレ自体が気にくわないのではないか?」と考えるようになりました。そして、行動学を調べる中で、猫のトイレの数は、「猫の数+1つ」という事を知り、さっそく試してみました。
新しいトイレを買って愛猫のおしっこの匂いをつけ、もともとあったトイレの隣に並べてみました。すると、不思議な事にピタっと布団への排泄がおさまったのです。
どうやら、愛猫の好みに合ったようで、うんち用のトイレとおしっこ用のトイレを分けて使うようになりました。とても綺麗好きだったようです。
まとめ
不適切な排泄は、ただの問題行動だけではありません。その中には病気からくるものもある事、具合の悪いサインである事は常に考えなければなりません。飼い主さんもそこをしっかり覚えていなければなりません。
その一方で、猫はとても繊細な事、トイレへのこだわりが強い事をお分かり頂けたかと思います。
そして、何か環境の変化がなかったか考えてみて下さい。人にとっては些細な事でも猫にとっては大きな事だったりする事もあります。
そして、皆さんにお願したい事があります。粗相をしてしまっても、決して愛猫を怒らないであげて下さい。なかなか難しいかもしれませんが、それが更に問題行動を助長する事になりかねません。
問題行動と言われるものは、猫の言葉が分からない私たちへのサインだとも思います。何か伝えたい事、不満な事がある事が多いかと思います。大変かもしれませんが、広い心で受け止めて頂けるといいのかなと思います。