猫との始まりは唐突に
きっかけは、整骨院を営む友人からの1通のメールでした。
そこに通う患者さんが猫の『みぞれ』を保護しており、整骨院に引き取り手募集の張り紙を貼らせてほしいとお願いしに来た時に、その友人が以前から私が猫を飼いたいと話していたのを思い出して、声をかけてくれたのです。
猫を飼いたいと思ってペット可の賃貸を借りたが実行には移せていなかった私にとって、その話は運命のように感じました。
お相手は元飼い猫のおてんば娘
保護された時に、みぞれは首輪やマイクロチップはなかったものの、すでに避妊手術を終えており、周囲で保護猫活動をしてい方々に確認しても過去に保護されたことがなかったため、元飼い猫だろうと判断されました。
推定1歳のみぞれは、保護先で飼われている10歳を超える猫たち2匹とは仲良くなれず、75歳の一人暮らしをされている保護した方が、みぞれと先住猫の双方に気を遣いながら、面倒を見ていたそうです。
粗相やいたずらはしないものの常に走り回って遊びたがる元気なおてんば娘で、体力と気力がもたないと保護した方はおっしゃっていました。
周りからの反対を押し切り、お迎えを決意
みぞれを引き取る話をもらった時、私は周りにいる猫を飼った経験がある人に状況を説明して、相談にのってもらいました。
そのうちのほとんどの人に「絶対にやめておけ。未経験で一人暮らしで、成猫の面倒が見れるわけがない」と反対しました。そのため、私はみぞれの面会直前は「私では荷が重いと断ろうか」という気持ちがありました。
ですが、いざ保護していた方のお宅でみぞれと面会し、私に向かってそっと伸ばしてきた白い前足を手に取った時、断るなんて考えは吹き飛んでしまいました。経験者から反対されていたことは頭の隅にはありましたが、”今この手を取らなかったら、私は絶対後悔する。
”そう感じた私は、保護した方とそのご友人さんの手を借り、「あなたとみぞれのやりとりを見ていたら、大丈夫だと思えた」という言葉に背中を押されながら、面談から1週間後にはみぞれを家に引き取りました。
毎晩の大運動会開催で寝不足
深夜から早朝にかけて、部屋中を走り回り、寝れない日が続いた時は大変でした。
私が寝る前におもちゃで30分くらい遊んでも、深夜3時くらいには覚醒し、唸り声をあげながらハイテンションで走り回っていました。寝ている私を踏むことはしょっちゅう、時には私の布団に潜ってきて、噛みついたり引っ掻いてくることもありました。
寝返りをうつ私の手足にロックオンしており、その時は怖くて睡眠どころではありません。みぞれが疲れ果てて大人しくなるのをトイレに引きこもって待ち、朝を迎えた日も何度かありました。
転職という大きな決断をする勇気をもらいました
みぞれを引き取ってまだ日が浅いある日、会社で嫌なことがあってひどく落ち込んで帰ってきた時ことです。私はその日、最低限のことだけしてすぐに布団に入って、こっそり泣いていました。
そうしたら、いつもは寝ている私にお構い無しに部屋中を走り回るみぞれが、その日の夜はずっと私の枕元に座っていました。そして時折、私の顔や髪にそっと前足で触れて、舐めてきたのです。慰めてくれているんだと思うと、余計涙が溢れて止まりませんでした。
みぞれを守るため、本来であればしばらくは転職を控えた方が賢明です。ですが、私はその夜を過ごして、こうして慰めてくれるこの子と笑って過ごしたいと強く思うようになりました。
貯金はあるし、この子とならこの先も一緒に乗り越えられる。その思いで自分を奮い立たせ、私はずっと辞めたいと思っていた会社に辞表を出すことができました。
みぞれの現在の様子
いつでも一緒にいたがる甘えん坊
▲隙あらば膝にのってお昼寝▲
私がみぞれを引き取ってからまもなく1ヶ月を迎えます。今も気まぐれに噛まれそうになることはありますが、最近は私の生活リズムに合わせてくれていて、深夜の大運動会は開催されていません。それどころか、私が寝るときにはいつも一緒にベッドで寝ています。
また、私の後ろをついてくることも多く、この記事を書いている今も、足元や後ろのキャットタワーに座って「かまって!」と言わんがばかりに、鳴いてみたり前足で背中をつついてきたりしてきます。
保護されていた時のみぞれを知る人たちはそんな私たちの生活に驚いていますが、私にはまだ1ヶ月しか一緒にいないということが不思議に思ってしまうほど、みぞれがいるのが当たり前になっています。
▲かまって!と猛アピール▲
遊び方に磨きがかかってきました
マイブームはヘアゴムで遊ぶことです。試しにフリスビーのように投げて「持ってきて」っと言ったところ、ヘアゴムをくわえて私の前まで持ってきてくれるようになりました。現在は連続4回が最高記録です。
遊びたい時には、そのヘアゴムを含むお気に入りのおもちゃをしまっているウォークインクローゼット前で、高い声で鳴いておねだりしてきます。
▲取ってこい成功!▲
まとめ
猫を飼った経験がない・一人暮らし、という理由で里親になりたくても躊躇してしまう、断られるという話はよく耳にします。
確かに猫のことを思えば、少しでも面倒見れる人数や飼い主の経験が充実している人たちが引き取る方がよいことだと思います。
しかし、保護先を求めている猫は後を絶たないのが現実です。経験・知識・環境、もちろんそれらをおろそかにしてはいけませんが、何よりも「この子と暮らしたい」という強い思いが必要不可欠だと私は考えています。
この記事が、少しでも猫を引き取りたいと考えている方々の後押しになれば幸いです。
▲家に来て、初めて眠ったみぞれ▲