「キツネネコ」謎多き存在が捕獲
地中海に浮かぶコルシカ島で、不思議な風貌の猫が調査のために捕獲されました。この猫らしき生物は、身体的特徴から「キツネネコ」と呼ばれています。その存在は、以前から地元民に度々目撃されていたようです。
そして、ついにフランス野生動物保護局が捕獲し、その姿を公開しました。
見た目は猫そのものです。しかし、よく見ると猫とは異なる特徴が見て取れます。その特徴は以下のようなものです。
- 幅の大きな耳
- 発達した犬歯
- 胴体や脚が長い
- 尾が長いなど
以上のような特徴は、キツネを彷彿とさせるものがあります。猫のような外見でありながらも、体長は90cmと長く、総合的な身体的特徴を踏まえると「キツネネコ」と呼ばれる理由がよく分かります。
「キツネネコ」は新種の猫!?
フランス野生動物保護局は「キツネネコ」を新たな種類の猫、すなわち新種と主張しています。当局がそう主張する理由は、DNAです。
ヨーロッパに生息する「ヨーロッパヤマネコ」や、アフリカのネコ科動物に非常に近い遺伝子を持ちながらも、完全には一致しないという結果が出たそうです。従来のネコ科動物とは異なるDNAを持つことが「新種」と主張する一番の理由なようです。
ちなみにこの生物からキツネの遺伝子が発見されたという話は出ていません。よって「キツネネコ」はあくまでも身体的特徴から名づけられたもので、キツネと猫の交配種ではないと思われます。そもそもキツネはイヌ科の動物であることから、ネコ科との交配種は起こらないのです。
調査で分かったこと
当局の調査では、以下のようなことが明らかになりました。
- 従来のネコ科動物とは異なるDNAを持つ
- 理論上、「キツネ」と「ネコ」の交配種ではない
- 夜行性である
- 人里離れた森の中に生息しているなど
「キツネネコ」自体は長きに渡りコルシカ島に生息しているようです。
その存在が確認されたのは2008年で、偶然鶏の檻に入り込んだことがきっかけとされています。その後、2016年から2019年の上半期までの間に16頭確認されています。
生息地は人里離れた森の中で、アスコと呼ばれる共同体の近くに位置する場所です。
謎多き生態の実態については、まだ詳細が明らかにはなっていません。
「キツネネコ」は夜行性で、その活動は目立つことがなく、全ての生態を把握することは困難だったようです。
調査のために捕獲されたのは、確認されている16頭のうちメスを含む12頭です。中には、識別番号が記録されたチップを装着した4歳~6歳のオスの個体もいたそうです。
調査された「キツネネコ」はGPS搭載の首輪を装着し、速やかに自然へと解放されました「キツネネコ」の様子は動画をご覧ください。
動画に登場した「キツネネコ」は何度か捕獲されたオスです。緑色の美しい瞳は、残念ながら片方を負傷している様子が見て取れます。負傷の原因は明らかになっていません。ただ、オスということもあり他のオスとケンカしたということも考えられます。
まとめ
現段階では、「キツネネコ」が新種のネコ科動物か否かは正式に解明されていません。猫のようでありながら、どこかキツネのような風貌の生態はまだまだ神秘のベールに包まれた存在なのです。
一体どのような暮らしをしているのでしょうか。猫よりも犬歯が発達している理由はなぜなのでしょうか。挙げれば切りがないほど気になる存在です。今後の調査に期待したいと思います。