猫が発症しやすい病気5選

病気を発症した際の症状の重さには、猫の年齢や体力によっても差がありますが、発症しやすい病気を気にしておくことで、似たような症状が出た際に異変に気づきやすくなると同時に病院を受診しやすくなります。
ここでは、特に注意したい病気の概要や症状の現れ方について解説します。日頃の様子を観察する際の参考にしてください。
1.慢性腎臓病
腎臓は血液中の老廃物をろ過し、体内の不要物をまとめて尿として捨てる機能があります。腎臓に炎症が起きたり、結石・嚢胞・腫瘍などが生じたりすることで、このろ過機能が低下すると、本来なら尿として排出されるはずの尿毒素が体内に蓄積され、各臓器・組織を傷めていくのです。
猫の慢性腎臓病は、加齢に伴い増加するといわれていますが、一方で、先天的な腎臓の異常や感染症などが関係して、若齢の猫でも発症する可能性があります。
飼い主が気づきやすい症状のひとつが、多飲多尿です。飲水量や尿量が急に増え、進行すると食欲不振、体重減少、吐き気などの症状が現れます。「急に水をよく飲むようになった」「おしっこの量が増えた」と感じた段階で、早めに診察を受けてください。
2.猫下部尿路疾患
猫下部尿路疾患(FLUTD)とは、膀胱や尿道に起きるトラブルの総称で、膀胱炎や尿路結石、尿路閉塞などは猫には特に多い病気だといわれています。その中でも尿路閉塞で、完全に尿が出なくなると、わずか24〜48時間ほどで命に関わる緊急事態になることがあります。
短時間のうちに何度もトイレに行く、尿が出にくい・出ない、排尿時に鳴く、血尿が出る、下腹部を舐め続けるといった症状(動作)が見られます。体を舐め続けるのは、陰部や下腹部の痛みや違和感、残尿感から来るものだといわれています。
これらの病気のときには、進行速度がわからないため、「え?またトイレ?」と感じた段階ですぐに動物病院を受診するくらいでも大げさではありません。
3.歯肉炎・歯周炎
3歳以上の猫の約8割は、歯周病・歯肉炎になっているといわれるほど発生頻度の高い病気です。
歯ぐきの縁が赤くなる初期状態を「歯肉炎」といい、歯肉炎が悪化して歯の根っこや歯槽骨まで炎症が広がった状態が「歯周炎」です。これらを総称して「歯周病」と呼びます。
歯肉炎・歯周炎になる要因は、単に歯磨き不足で歯垢が蓄積したからだけではなく、猫カリシウイルスや猫エイズ、猫白血病などの感染症が歯肉炎を引き起こすことがあります。加齢や持病による免疫低下や個体の体質も影響します。
口の中に炎症が起こると、歯ぐきの赤みや口臭が目立ちます。症状が軽いうちに歯磨き習慣ができると、改善されることもありますが、悪化すると歯ぐきからの出血やよだれ、痛みによる食欲不振、歯の脱落などが起こります。違和感から口を掻くため、前足の内側が汚れていることもあります。
よだれや食欲不振がなくても、「なんだか最近口臭が強いな」と感じた段階で、一度病院で診てもらい獣医師から自宅でできる対策のアドバイスをもらいましょう。
4.猫風邪
あるとき、突然発症することがある猫風邪。くしゃみや鼻水、目の不調、食欲不振や発熱も見られることがあります。場合によっては口内炎を引き起こすこともあります。
原因は、猫ヘルペスやカリシなどのウイルス感染ですが、これらは感染力が非常に強く、多頭飼い家庭などは、一匹がかかるとあっという間にほかの猫たちへ広がってしまいます。さらに、一度感染すると体内にウイルスが残り、ストレスや体調不良で再発しやすい特徴もあります。
ワクチンで重症化を防ぐことができますが、感染自体は防げません。ストレスや寒さによる免疫力低下などで再発することもあることから、具合が悪くなったらすぐに病院へ行き、重症化を抑える処置をしてもらいましょう。
5.心筋症(特に肥大型心筋症)
猫の心筋症(特に肥大型心筋症)は、心臓の筋肉が厚くなることで心室が狭くなり、全身へ血液を効率よく送れなくなる病気です。純血種などの品種に関わらず発生頻度の高い病気ですが、遺伝的な要因も影響することから、特定の猫種で発症リスクが高まることが知られています。
初期には無症状で元気も食欲もふつうにあります。進行するとあまり遊ばなくなったり、平常時の呼吸数の増加や、口呼吸(開口呼吸)が見られたりします。なお、犬と違って猫がハァハァと口呼吸をしている場合は、すでに重篤な呼吸困難に陥っている非常に危険なサインです。重症化すると、血栓による後ろ足の麻痺や激痛が現れ、突然死する危険もあります。
猫は体調不良を隠すため、飼い主が気づく症状が出ている時点ですでに中期〜重症段階へ進行しているケースが多くあります。心筋症は、無症状の段階で血液検査やエコー検査でわかりますので、症状がなくても定期健診の機会に一度調べてもらうとよいでしょう。
猫の健康を守るためにできること

どんな猫でも病気になるリスクはあります。そんな中で愛猫の健康を守るためには、5つのポイントがあります。
- 猫にはどんな病気があるかを知っておくこと
- 日頃からの観察
- 生活環境を整える
- 予防の実施
- 検査による早期発見
これらは決して難しいことではありません。
猫は不調を隠す習性があるため、病気が進行するまで外見上の変化がわかりにくい傾向があります。飼い主が病気や初期症状を知っておくことで、日常の小さな違和感に気づきやすくなります。
また、猫のストレス軽減や適切な室温調節など、免疫力を維持するために生活環境を整えておくことは大切です。猫専用の寝床や快適な冷暖房などは、健康のためにも欠かせないのです。
そして、歯磨きやワクチン接種など、病気を引き起こさないための予防も積極的に行いましょう。歯磨きは難しいと思われがちですが、根気よくやることで慣れる猫も多くいます。飼い主が諦めないことが一番重要です。
そして気になることは、定期健診のときなどに獣医師に相談しても良いでしょう。定期健診は、
年に1度(シニアはできれば年に2回)が推奨されていますので、ワクチン接種のタイミングで受けると忘れずに済みます。
まとめ

いつでも健康でいたい愛猫ですが、猫は慢性腎臓病や尿路疾患、歯周病など、さまざまな病気にかかる可能性があります。中には、病気になっていても、目立った症状が出にくいことがあります。
特に猫は不調を隠すため、日頃から様子をよく観察することがとても大切です。しかし、観察する際には、何が異変なのかを知っておく必要があります。
一見、猫は元気そうでも異変を知らずに様子を見ることはできませんから、飼い主も病気の知識を身につけ、予防や早期発見につなげていきましょう。また、猫に異変があった際には、躊躇することなく動物病院に相談するようにしましょう。