猫が物に頭を押し当てる『ヘッドプレッシング』が危険な理由3つ 見逃せない症状や取るべき対処法も解説

猫が物に頭を押し当てる『ヘッドプレッシング』が危険な理由3つ 見逃せない症状や取るべき対処法も解説

猫が床や壁などに頭を押し当てたままじっとしているヘッドプレッシング。不思議なことしているな、と見逃してしまいそうな行動ですが、実は脳や神経系の重大な異常を示すサインかもしれないのです。今回はヘッドプレッシングが危険な3つの理由と対処法を解説します。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

ヘッドプレッシングが危険な3つの理由

ソファーに頭を押しつける猫

ヘッドプレッシングとは、床や壁などに頭を押し当てるような行動のことです。猫のほか、犬や牛、ヤギなどでも見られます。猫の場合は「ごめん寝」と似ているため見過ごされることがありますが、重大な病気のサインである可能性も低くはありません。ヘッドプレッシングが危険だといわれる3つの理由を紹介します。

1.脳疾患が原因になっている

ヘッドプレッシングは、脳炎や脳腫瘍、脳卒中といった脳疾患が原因で見られることがあります。これらの病気によって頭部に不快感や痛みが生じると、それを紛らわせようとして壁や床などの固いものに頭を押し当てると考えられています。

また、加齢や上記の疾患によって生じる認知症様の症状として、ヘッドプレッシングをしている可能性もあります。

脳疾患の中には進行が早いものもあり、発見が遅れると治療が難しくなることがあります。一見すると「なんとなく元気がない」程度に見えても、実際には神経系に深刻な異常が生じている可能性が否定できません。

2.中毒症状を起こしている

有毒物質の誤飲・誤食による中毒もヘッドプレッシングの原因になります。中毒によっては、脳や神経系に影響を与えるため、ヘッドプレッシング以外にもさまざまな神経症状を引き起こすことが知られています。

また、肝臓の機能低下によって体内に蓄積した毒素が脳に影響を与える「肝性脳症」もヘッドプレッシングの原因になります。肝性脳症では運動失調や無目的な徘徊、最終的には痙攣や昏睡に至る危険もあります。

3.頭を強く打った可能性がある

高所からの落下や衝突など、頭部に強い衝撃を受けた後にヘッドプレッシングが見られることがあります。頭部外傷は外側からわかりにくいうえ、猫は痛みを隠す傾向があるため、飼い主さんが気づかないうちに症状が進行していることも少なくありません。

時間差で症状が現れることもあるため、頭を打った瞬間を見ていなくても、ヘッドプレッシングが見られる場合は、他の疾患も考慮し、自己判断せずに受診することが大切です。

ヘッドプレッシングの見逃せない症状

猫の横顔のアップ

ヘッドプレッシングと思われる症状が見られたら、それだけでも受診の理由になりますが、以下の症状もあわせて見られる場合はとくに危険度が高い状態です。

  • 名前を呼んでも反応が薄い
  • 視線が合わない
  • 同じ場所を行ったり来たりする
  • 円を描くように歩く
  • 痙攣発作を起こす
  • 壁を見つめてじっとしている
  • 元気食欲がない

これらの症状は、意識レベルが低下しているときや神経系に重大な異常が起きているときにあらわれる症状です。速やかに動物病院を受診する必要があります。

また、床や壁に頭をつけてうずくまる姿勢は「ごめん寝」と似ているため、見分けるのが難しいことがあります。判断のポイントは、症状が長時間であることや、眠っていないにもかかわらず床や壁に押しつけていること、そしてヘッドプレッシング以外にも異常な症状が見られることです。

ヘッドプレッシングの対処法

聴診器をあてられている猫

ヘッドプレッシングは一刻を争う事態の場合も少なくありません。飼い主さんにできる唯一のことは、様子見をせずに速やかに動物病院に連れて行くことです。

受診の際には、どんな体勢でどれくらいの時間ヘッドプレッシングをしているか、直前になにがあったかを確認しておきます。また、ヘッドプレッシングの様子を動画で撮影しておくと診断に役立つ可能性があります。

誤飲・誤食の疑いがある場合は、いつ、なにを、どれくらい口にしたか確認し、パッケージがあれば持参しましょう。

まとめ

扉を見つめている猫

ヘッドプレッシングは、脳疾患や中毒、頭部外傷など、いずれも緊急性の高い状況で見られる異常行動です。体勢によっては、ごめん寝と見た目が似ているため見過ごされやすい点に注意が必要です。判断に迷った場合は自己判断せずに、動物病院を受診することをおすすめします。

また、愛猫の「いつもと違う」に気づけるのは、日々そばで見ている飼い主さんだけです。小さな違和感を見逃さず、早めに対応することが病気の早期発見や早期治療につながります。

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