『ハイシニア猫』に起こる6つの変化

今や10歳を超えたシニア猫の存在は珍しくなく、15歳以上の"ハイシニア猫"を見かける機会も増えましたね。
一見するとイキイキしているように思われますが、15歳を超える猫の体には確実に"老い"の影響が及んでいます。
ここでは15歳を過ぎた『ハイシニア猫』に起こりやすい変化を6つ紹介いたします。なお、今回紹介する変化はシニア猫(7歳〜14歳)においてもぼちぼち見られはじめるものです。
1.関節が硬くなる(関節炎)
猫といえばアクロバットな動きや、しなやかな関節の動きが特徴的です。しかしそんな猫も、加齢によって徐々に関節が硬くなってしまいます。
その兆候が現れはじめるのはだいたい10歳以上、実に12歳以上の90%は何らかの関節炎を持っているといわれています。
SNSで見かけるハイシニアの猫の歩き方がどことなくぎこちないと感じるのは、まさにこの関節炎の影響です。
実際に関節炎の診断を受けたご家庭では、獣医さんの指導の元、痛みのコントロールを行いながら室内パトロールを継続しています。
2.毛繕いや爪とぎができなくなる
ハイシニア猫の多くは、毛繕いや爪とぎが困難になります。実はこれも、先ほどの関節炎が関与しています。
四肢や全身の関節が硬くなると毛繕いの姿勢が維持しにくく、舌が届きにくい箇所が出てきます。また、人間で言う手首付近の関節が硬くなることで器用に爪が研げなくなってしまうのです。
これに伴いハイシニアの猫は、毛並みが悪くなる・巻き爪になるなどのトラブルに見舞われます。
3.反応が鈍くなる
猫も歳を重ねれば難聴になります。聞こえの変化は早ければ7歳頃、つまりシニア期には既に兆候が見られる場合があります。
皆様の愛猫はこれまで通り、耳を頻繁に動かして音を拾っていますか?飼い主さんの呼びかけに対して反応が鈍いと感じることはありませんか?
もし当てはまるようであれば、難聴が始まっているかもしれません。
4.トイレの失敗が増える
度々登場する関節炎は更に、排泄にも影響を及ぼします。特に痛みを伴う場合はトイレに行くこと自体が億劫になったり、困難になったりします。
その結果、トイレの失敗が増えてくるでしょう。重要なのは叱らないことです。最初はトイレの位置を少しだけ変更し、動線が取りやすい工夫をしてあげます。
段差が越えられなくなってきたらステップを置いたり、入口が低いトイレに変更してみてください。あくまでもオムツは最終手段と捉えておきましょう。
移動の介助に関しても、本格的に動けなくなってからにしてください。僅かな距離でも動けるうちは動いてもらう、動かしてあげることに重きをおいてください。
5.認知機能の低下
全ての猫に当てはまるわけではありませんが、15歳を超えるハイシニアの猫には認知症のリスクがあります。
猫の認知機能が低下すると、同じ場所を行き来する・トイレの場所が分からなくなる・家具や棚の隙間から出られなくなる(後退すれば抜けられることが理解できなくなる)などの異変が見られます。
残念ながら、猫の認知機能を回復させる治療法はありません。著しく症状が目立つようになった場合はケージを活用したり、サークルを活用するとお世話が楽になるでしょう。
6.食欲が低下する
これも個体差がありますが、ハイシニアの猫は多かれ少なかれ食事量に変化が見られます。中には食が細くなり、痩せてしまう猫もいます。
現在ハイシニアの猫と暮らしている飼い主さんは、愛猫の食欲をよく観察してみてください。違和感があればかかりつけの動物病院に相談してください。
中には深刻な病気が潜んでいる可能性もあります。
飼い主さんができるサポート

ここからは、ハイシニアの猫に対して飼い主さんができるサポートを紹介いたします。
定期的に爪を切る
ほぼ寝たきりになってしまった猫は、爪とぎはおろか地面を蹴る機会すらなくなってしまいます。
この状態が続くと爪が伸び続け、最終的に重力に逆らえずに巻き爪になります。巻き爪が悪化すると肉球に刺さり、その部位に炎症を引き起こします。
これを防ぐためには定期的な爪切りが効果的です。伸び切る前にカットして整えてあげてくださいね。
こまめにブラッシングをする
毛繕いが困難になってきたら、短毛・長毛問わずこまめにブラッシングをしてあげてください。
ブラッシングには毛並みを整える以外にも血流が良くなるという効果があります。優しくブラシをかけることで気持ち良くスッキリするはずです。
不安な気持ちに寄り添う
ハイシニアの猫は諸々の変化によって『不安』が付きまといます。この不安は認知症にも悪影響を及ぼすため、放置してはなりません。
不安が引き金で鳴いている場合は無視をせず、『大丈夫だよ』『ここにいるよ』と優しく語りかけてください。
飼い主さんの温もりや声かけが一番の安心につながります。
栄養指導を受けておく
徐々に食べられなくなる前に一度、動物病院で栄養指導を受けておくと安心です。
その都度愛猫に合ったフードを紹介してもらったり、食べやすい工夫などのアドバイスがもらえます。
まとめ

最近耳にする機会が増えた『ハイシニア』とは、15歳以上の猫を指す言葉です。
超高齢期に達した猫には、関節の変化・聴覚や視覚の変化・認知機能の変化・食事量の変化などが見られます。
これらの変化はシニア期のうちから出始めるものも多いため、愛猫が10歳を超えたあたりから意識しておくことが大切です。
また、それぞれの変化に伴い、サポートをしてあげてください。ただし、ほぼ全てのことを介助するのは完全に寝たきりになってから。
動けるうちは自ら動ける工夫を、食べられるうちは自力で食べてもらうことも立派なサポートです。
何かができなくなることを飼い主さん自身がネガティブに捉えてしまうと、その気持ちは愛猫にも伝わってしまうでしょう。
不安の積み重ねは認知機能の低下にもつながります。せめて愛猫の前では笑顔でいることを心がけてください。