1.狭くて静かな空間からはじめる

人間の感覚では「家の中は安全だし安心」と思いますが、外暮らしの猫にとって、家の中はすべてが未知の世界です。
壁も天井も、生活音も、室内という空間はこれまでとはまったく違います。広い場所に慣れている外猫なので、「室内でも開放してあげた方がよいのでは」と思うかもしれませんが、実際は一気に不安を増やしかねません。
お迎えした直後は、ケージや一室など、限られた空間からはじめましょう。猫が見渡せる範囲が狭い方が、猫は状況を把握しやすくなるものです。「ここなら安全かもしれない」と感じるほどの広さがポイントでしょう。
2.触らない覚悟をもつ

猫をお迎えすると喜びのあまり触りたくなるものです。また「早く慣れてほしい」「怖くないことを伝えたい」など、よかれと思って撫でたり声をかけたりしたくなります。
しかし猫にとっては、人間に触れられること自体が不慣れ。過去の経験によっては「捕まえられる」「危険なことをされる」と、警戒する猫も少なくありません。
したがって、最初は無理に触ろうとしないのが鉄則。撫でようと手を伸ばしたり、距離を縮めたりすることも避けましょう。
さらに目を合わせたりじっと見つめたりするのも控えめに。猫は野生動物の気質があるので、長く目を合わせる行動が威圧や警戒につながりやすいのです。
早く仲良くなりたいという気持ちはわかりますが、猫が環境に慣れるまでは猫ファースト。人から積極的に関わろうとせず、何もしないように見える時間を大切にしましょう。
3.ごはんとトイレは最優先

外で暮らしていた猫が飼い猫としての暮らしに慣れるためには、まず「安心できる基本」を整える必要があります。その安心材料の軸になるのが、ごはんとトイレです。
まず、餌場やトイレを設置する場所は、できるだけ静かで落ち着けるところにしましょう。猫は警戒するような場所では食事や排泄をしたがらないので、人の出入りが多い場所や大きな音がする場所は避けるのがベストです。
また「触らない覚悟」は必要ですが、ごはんやトイレのお世話では、どうしても猫の近くに行かなくてはなりません。そんなときは、猫を驚かせないようにするのがコツ。大きな声を出さないようにし、器を静かに置くなど、ゆっくりとした動作を心がけるとよいでしょう。
なお、フードの種類はあれこれ変えず、もし保護前に食べていたものがわかるようなら、できるだけ同じものを与えると安心してくれますよ。
毎日のごはんやトイレのお世話は、信頼関係を築く大切なきっかけにもなります。焦らず静かに接することを意識するとよいでしょう。
4.生活音に少しずつ慣れてもらう

外で暮らしていた猫にとって、家の中の生活音ははじめて聞く音ばかり。掃除機や洗濯機、ドライヤーやテレビの音、人の話し声など、人間には当たり前の音でも、猫には大きな刺激になります。
特に、家の中で暮らしたばかりの頃は、それらの生活音が突然聞こえて驚いて隠れてしまうことも少なくありません。
しかし、猫は学習できる動物なので、飼い主さんの行動から出る音を予測できるようになります。はじめは驚いていた猫も「この音は危険ではない」と理解できるようになれば、次第に落ち着いて過ごせる時間が増えていきます。
最初は、なるべく音が遠くに聞こえるように、掃除をする部屋から出したり、洗濯機を回すときはドアをしめたりなど、なるべく音との距離を離してあげるのがコツ。「聞かせない」のではなく、怖がらない程度に音を聞かせて、ゆっくり環境に慣れてもらいましょう。
5.逃げ場を作る

もともと外で暮らしていた猫には、「いつでも逃げられる」と感じさせてあげることも大切です。なぜなら、猫は逃げ場がないと強い不安やストレスを感じてしまうからです。
家の中の生活を知らない猫にとってはじめて暮らす室内は、「得体の知れないもの(人間や生活音)などから逃げられない」という不安な場所です。したがって、人間の生活目線とは異なる高い位置に居場所を作ったり、身を隠せる場所があると、猫にとっての安全基地になるでしょう。
キャットタワーや猫ハウス、屋根つきの猫ベッドなど、猫が怖いと感じたときにすぐ隠れられる場所があるだけで、猫の緊張はやわらぎますよ。
まとめ

外で暮らしていた猫を家族として迎えるときは「早く慣れてもらいたい」「すぐに仲良くなりたい」と、つい積極的に行動しがちです。
しかし外で暮らしてきた猫にとっては、家の中の環境そのものが大きな変化。「急がば回れ」という言葉のように、焦らず見守り続けることが環境に慣れる早道となります。
慣れるまでの時間には個体差があり、数日で距離が縮まる猫もいれば、数か月かかる猫もいます。猫の「ここは安全かも!」という気持ちが毎日積み重なることで、猫にとってその家が本当に居場所になっていきますよ。