11年も路上生活を送っていた猫
保護
その子は、11年間もホームレスとして野良猫生活を送っていた猫でした。
『テディ』と命名されたその猫は、とてもコンディションの悪い状態で動物救済団体に保護されました。
そのため、誰もがテディが生き残れるとは思っていませんでした。
長生き
野良猫は、様々な感染症などの病気にかかってしまうため、その殆どが短命です。
中には長生きをする子もいますが、同団体にとっては、テディほど長生きをした野良猫を保護したのは初めてでした。
路上生活
カナダのノバスコシア州ウィンザーを拠点として活動している”Ivy's Memorial Rescue”のリーサさんと夫のダンさんは、状態の悪い野良猫のテディを保護しました。
テディは11年間、路上生活を続けていた猫です。数人の人達が、テディに餌をあげたり、簡易のシェルターを作ったりして世話をしていました。
ところが、テディが病気になり状態がとても悪くなってしまったため、テディのことをお世話していた人が同団体に助けを求めてきたそうです。
保護したテディは本当に酷い状態で、苦しそうでした。
この状態を獣医が見たら、きっと安楽死を勧めてくるだろうと、誰もが想像しているような状態だったのです。
プラズマ細胞性足底皮膚炎
テディはプラズマ細胞性足底皮膚炎にかかっていました。
症状はかなり進行しており重度でした。
プラズマ細胞性足底皮膚炎について:https://dictionary.petsallright.net/archives/cat/padskin
しかし、彼の免疫細胞はその病気とまだ闘い続けていました。
命に別条がある病気ではないのですが、テディのように重度になると、歩行が困難になったり、他の感染症のリスクも高くなるので路上生活ではもう生き残る事は困難となります。
リラックスしてほしい
リーサさんはテディを自宅に連れて帰り、投薬治療を開始しました。
「シニアのテディの状態は非常に悪かったので回復の見込みはあまり望めませんでしたが、それでも、テディがより良い環境でリラックスできればと思い、私は自宅に連れて帰りました。」とリーサさん。
抵抗
でも、最初の数日間は、とても厳しい状況でした。
テディは薬を嫌い、投薬しようとすると、弱っているとは思えないほどの抵抗を見せたそうです。
投薬のたびに、激しく抵抗するテディにリーサさんは毎回、辛くて涙していたそうです。
でも、テディが必死に生きようとしている姿を見て、こんなことで自分がへこたれていてはいけないと奮起したと言います。
回復
1日3回の投薬を1週間続けたことで、テディの状態はだんだん良くなっていきました。
そして服用の度にリーサさんに激しく抵抗していたテディは、大人しくなりました。
毎回、動物病院にテディを診察に連れて行くために、獣医はテディの回復ぶりに驚いたそうです。
「テディはとても強い精神力を持った猫だという事に私は気づき始めました。通常、野良猫の寿命は平均で4年くらいです。でも、テディはそれをはるかにこえる11年も路上生活で生き延びていたんです。」
とリーサさん。
リーサさんの手厚いケアのおかげでテディは3ポンド(約1.3㎏)も体重が増えました。
最初の頃はテディは入れられたケージから出てくることはありませんでしたが、今ではケージの外に出てベッドで寝るまでリラッスクしているそうです。
ゆっくりとではありますが、テディの体は確実に回復しています。
そして、テディの心も着実に癒されています。
11年という月日
テディは11年という厳しくて長い路上生活で、疲れ果て、免疫力も弱ってしまい、今回のような状態になってしまったのだと思われます。
リーサさんの家でのテディは、徐々に行動範囲が広まっているそうです。
テディにできるだけ新しい生活でのストレスをかけないよう、リーサさん夫妻は最大限の注意を払っています。テディが自由に行き来できるように、部屋のドアは常に開け放してあります。
「11年という長い間、野良猫生活を送ってきたテディは、とても恥ずかしがり屋で神経質な性格になっていました。しかし、テディは徐々に愛情豊かで魅力的な猫に今、変わりつつあります。」
とリサさん。
「テディは、私のベッドで寝るのが大好きで、すっかり私の場所を占領しています。
最初は私になついてきましたが、今では夫にもなついています。」
出会いに感謝
夫妻は、テディが完全に回復するまで治療を続けると言います。
環境の変化がテディの免疫障がいを悪化させる事を夫妻は十分に理解しているので、テディは夫妻がずっとお世話をするそうです。
リーサさんは最後に「私達夫婦はテディと出会えたことにとても感謝しています。」と語りました。
Ivy's Memorial Rescueのフェイスブックページ
最後に
路上で助けを必要としている動物たちを見ても、「自分には助けられないから…」とか「家には連れて帰れないから…」などと見て見ぬふりをする人たちは多いのではないでしょうか?
それは助けを本当に必要としている動物達のことよりも、まず、”自分への守り”、”自分が優先”となってしまうからだと思います。
動物達も1つの”命”です。そこに助けなければならない命があれば、自然に手を差し伸べられる勇気を持ちましょう。
困っている動物達に自然に手を差し伸べられる人たちに共通しているのは、「あなたが私に出会ってくれて感謝します。」という思いです。
これがある意味、人間として生きている中での1つの”気づき”なのではないかと思います。
Teddy - January 9, 2018New video of Teddy!
Ivy's Storyさんの投稿 2018年1月9日火曜日
※尚、この記事及び写真と動画の掲載に関しましてはIvy's Memorial Rescueの承諾を得て行っております。